fc2ブログ

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

最新トラックバック


剣と魔法と竜と異世界

  1. 2022.05.05(Thu) _09:42:20
  2. 剣と魔法と竜と異世界
<第10話>

「待たせてしまってすまないね。思っていた以上に時間は掛かってしまった…」
エレノアは、一時的に魔力量を抑え込むサークレットをエリックに渡しながら言った。
「構わないさ…。無理を言った俺が悪いんだし。それよりも、この国を始めとする貴族たちがあんなにも欲に塗れて腐っていたとは…」
エリックは、エレノアから今まで知らなかったことを知らされ、一から国を変える必要性がありそうだと思ったのである。
「落ち着いたら、礼代わりに何か届けさせるよ」
そうエリックは言うと、シルヴィアの待つ目の前にあるファンシーショップへと向かったのである。
「アレ?シルちゃん?」
クマのぬいぐるみが欲しがっていたことから、辺りを見渡すものの、シルヴィアの姿は無かったのである。
ちょうど、店内へと見回りに来た、店を経営するオスカルがやって来た。
「おや?殿下。どうかしましたか?」
「あ、ああ。ここに弟。いや、青のグラデーションの掛かった銀髪の女の子を見掛けなかったか?」
「銀髪の女の子…?」
「ああ。3歳前後なんだが…」
「うーん。女の子ねぇ………見掛けなかったかなぁ」
「そうか。どこに行ったんだ…シルちゃん」
エリックは、メモに気付かず、他のぬいぐるみの所かなと思いながら、オスカルにも捜して貰いつつ、うさぎや仔猫等などのぬいぐるみの所へと向かったのである。





モーンストルムの森にある小屋へと連れ去られてしまった、シルヴィアは、皮製の猿轡を噛まされながら、後ろ手に縄できつく締め上げられ、目一杯と縄で足は開かせられていた。

「大人しくいい子にしないと痛い目に遭わせるぞ」
泣き濡れているシルヴィアに男の一人は、シルヴィアの羽織っているローブを黄色い悲鳴を上げながら引き裂いたのである。

彼らは主である、ラグルスターン帝国の皇帝、ヘカトンゲイル・Z・ラグルスターンから、シルヴィアを捕らえて来るようにと命を受けていた。

「んんっー!」
「ふっ…幼児の割には凄まじい色香を放つじゃないか」
無意識の中で放つシルヴィアの色香に男たちは不敵そうな笑みを向けながら、可憐にピンク色に染まる小さな花芯の根本に縄で締め上げてしまうと、何一つ馴らされていない小さな蕾に無理矢理と指を突き上げていく。
「んっんんー!」
「処女だな。まあ、当然といえば当然だな…」
円を描くようにしながら、ヒクヒクと収縮を繰り返すようになった蕾を解かしてしまうと、指を引き抜くと、男の欲望に似せた淫具を蕾に宛がう。
「ほ~ら。玩具をあげるからね」
そんなのいらないとシルヴィアは泣き濡れながら男に声にならない声を漏らすものの、淫具を宛がう男は、一気に突き刺したのである。
「んんんっーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
「そうか。そんなに良かったのか」
呻き声を上げるシルヴィアに男たちは高らかに笑いつつ、鉄製の貞操帯をシルヴィアの下半身に嵌め込むと、シルヴィアをラグルスターン帝国へと連れて行った。

その際、連れて行かれる瞬間、シルヴィアは無意識状態の中、血と創造魔法で、自らのクローンを作り上げたのである。





「で、殿下…!」
オスカルは、エリックと共にシルヴィアを店内で捜していたものの、メモらしきモノを見付け、それを見せたのである。
「こ、これは…ラグルスターン帝国の文字だ。シルちゃん…」
目の前だからとエリックは安心していたものの、目を離していた間にシルヴィアがラグルスターン帝国の者に連れ去られてしまったのだということから、罠だと知りつつ、単身でモーンストルムの森へと向かったのである。





「良くぞ捕らえて来たものじゃ…」
待ちに待ったぞ…とヘカトンゲイルは、老いを全く感じないその高まる自らの欲望を撫でながら、シルヴィアを捕らえて来た男たちに礼を言った。
「はっ…。有り難き幸せでございます」
「して…シルヴィアはどこじゃ?」
「はい。例の場で繋げております」
男たちはそう言うと、ヘカトンゲイルは例の場である、ここから西へと離れた塔トルティミアへと急ぎ足で向かったのである。
「ふっ…不老の皇帝…か」
「だが、不死ではない。あの力を手にさえすれば、皇帝は不老不死という栄光を手にするであろう」
「…そうだな」
その場に残された男たちは、礼として貰った金貨1000万枚を思うままに使うことにしたのである。



「ううぅ………」
トルティミアで、上から吊るされている鎖でシルヴィアは両腕を繋げられながら、高まり続けていた、ヘカトンゲイルの欲望を無理矢理と口の中へと咥えさせられていた。
「あの日、お前を見掛けた時からずっと手に入れたいと思っておった…。漸くと手に入れることが出来たものじゃ…」
実に15年余りと待たされたものじゃ…とヘカトンゲイルは、シルヴィアの髪を撫でながら言った。
だが、その耐えられない行為にシルヴィアは思わずと顔を背けようとするものの、頭を掴まれてしまったのである。
「逃げても無駄じゃぞ…。お前はもうワシのモノじゃからな。まあよい…。そっちの口も満足させてやらねばのぉ…」
そうヘカトンゲイルは言うと、待機していた男たちに取り付けられたままになっていた、貞操帯と淫具を外させながら、しやすいようにシルヴィアの体を押さえ付けたのである。
「玩具よりもイイ物をくれてやるぞ…」
弱々しくヒクヒクと息衝く蕾にヘカトンゲイルは欲望を宛がうと、僅かに花が開いた瞬間、欲望を一気に貫いたのである。
「ひっ!いちゃい!いや…ああああああ…!!!!!」
「幼児の体の割には良い締め付けじゃのぉ…」
ヘカトンゲイルこそ、体は不老で20代の全盛期のままであるものの、長い年月の末、言葉遣いだけは老人へとなってしまったのである。
「よしよし…いい子じゃ。いい子に出来た褒美をくれてやるとしようかのぉ」
息衝く蕾に二度三度と問わずとヘカトンゲイルは精液を放った後、シルヴィアにお尻を突き出すような姿勢へと男たちの手で締め上げさせたのである。
「ううぅ…もう…できないの…」
「ふふ…大人しくしておればいいんじゃ。出来ないことは無いからのぉ…」
蕾から溢れんばかりの白濁した花蜜を流し続ける、シルヴィアにヘカトンゲイルは、先の尖った注ぎ口のカップを秘所である胚珠に突き刺したのである。
「やっ…!いちゃいの…ひっく…ひっく…」
「いい子にするんじゃ…」
ヘカトンゲイルは、泣き濡れているシルヴィアに言いながら、球体の珠を流し入れていく。
「ううぅ………」
「良いじゃろう?ほれほれ…もっと流し込むぞ」
更に珠を中へと流し込むと、にやりと不敵な笑みを向けながら、ヘカトンゲイルは、ギュウと胚珠に蓋をしたのである。
「お腹…いや。ポンポンの具合はどうじゃ?」
「ううぅ………ポンポンいっぱい…いちゃいの………」
「そうかそうか…。それは良い反応じゃな。どれ、もっとイイことをしてやろうかのぉ」
シルヴィアに休む間も与えないまま、15年という長い月日を待っていたヘカトンゲイルは、男に下半身の中心前後に綱で締め上げさせると、立つのがやっとというシルヴィアを立たせたのである。
「もう…や…なの…」
「そう言われるとますます無理じゃのぉ…。まあよいわ。その可愛い声が聞けなくなるが仕方ないのぉ」
「ううぅ…!」
「ほら。痛い目に遭わすぞ!」
「んんっ………」
ヘカトンゲイルはそう言いつつ、男から丸い球体の付いた、銀製の猿轡を無理矢理とシルヴィアに噛ませながら、綱を左右に激しく引かせたのだ。
「んっんんんっーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
「ククク…これはこれで良さそうじゃのぉ」
泣き崩れながら、呻き声を漏らしている、シルヴィアに高らかにヘカトンゲイルは笑いながら、ポンッと蓋が外れると、ドクドクとねっとりと糸を引きながら珠を吐き出してしまうと、シルヴィアは、泣き濡れながら、冷たい床下に倒れ込んでしまったのである。
「さてと…ボチボチとワシは休ませてもらうが、しっかりと警備の方も怠るんじゃないぞ」
「はい。分かっております」
ヘカトンゲイルは、名残惜しげにシルヴィアをチラリと見ると、トルティミアを後にしたのである。





「…一足遅かったか。クソ…俺が目を離さなければ!」
モーンストルムの森の奥にある小屋へとエリックは漸くと辿り着いたものの、既にここから更に連れ去られてしまった跡であった。
「やっと来てくれましたか。レイオス兄様。いえ、エリック様」
「っ!だ、誰だ?お前は!?」
人の気配なんて感じなかったことから、思わずとエリックは、鞘から剣を抜き放ったのである。
「誰って失礼ですね。まあ、仕方ないといえば仕方ないのですが…これでお分かりかと思います」
青年はそう言いながら、額の印をエリックに見せたのである。
「ま、まさか…お前はシルヴィア!?」
「はい。正確には少し違いますが、僕は父…いえ。シルヴィア様の血と創造魔法で生み出されたばかりのクローンです」
「く、クローンだと…。な、ならば…どうして、シルヴィアがここから連れ去られてしまったのならば、すぐに助けに行ってやれなかったんだ」
「それは、まだ僕は生み出されている最中だったからです。僕がもう少し早く生み出されていれば、すぐにも行っていました」
「そ、そうか。それはすまなかった。で、シルヴィアが連れて行かれたのか分かっているんだろうな?」
「勿論です。急ぎましょう」
青年は、エリックの察し通りで、シルヴィアは、ここから更に北にある、大国であるラグルスターン帝国へと共に走り続けたのである。

何たってエリックは、ラグルスターン帝国へと一度も行ったことがない故にテレポートでは行けず、走っていくしか他に無かったのだった。
馬を使えば良かったものの、モーンストルムの森は、大型モンスターがうようよといる中で、馬の命を落としかねないことであったのである。





「んんっ…んんんっ…」
エリックとクローンがこちらへと寝ずに向かっている中、シルヴィアは、朝早くからヘカトンゲイルの王室で、相手をさせられていた。
「少しはいい子に出来るようになって来たではないか?シルヴィアよ…」
「そのようですね。こちらの口も大分と良くなって来ましたよ」
ヘカトンゲイルに仕える男の一人は、ヒクヒクと息衝く蕾に指を突き入れながら返したのである。
「よしよし…そろそろ良さそうじゃのぉ」
「ひっ!や…あああああああああああ…!!!!!!!」
十分に濡らされた欲望をシルヴィアの蕾へと貫くと、昨夜同様、ヘカトンゲイルは、ドクドクと灼熱のように熱い精液を解き放ったのである。
「いい子じゃ…。今宵のパーティが楽しみじゃのぉ」
泣き濡れながら、ヒクヒクと身を震わせているシルヴィアを見ながら、ヘカトンゲイルは、男にパーティ用に仕立てて来るようにと命じると、シルヴィアは男に再び、トルティミアの塔へと戻したのである。


「ううぅ………たしゅけて…おにいちゃま………つぅ!」
シルヴィアは弱々しく悲痛の声を漏らすものの、パーティ用の体へと男たちに仕立てられていく。
下半身の中心である蕾には、閉じられないように張り型を取り付けられ、胚珠には、媚薬を投与すると、男たちは、辛うじて臍が隠れる長さしかないローブをシルヴィアに羽織らせながら、最後に銀製の猿轡を噛ませると、今宵のパーティが行われる、王座の間へと連れ出したのである。





「クソッ…邪魔だ!」
エリックは、次から次へと襲い掛かって来る、ケルベロスやキメラを始めとする大型モンスターを、目覚めたばかりの≪破壊魔法≫を通して倒していく。
「エリック様。そんなに破壊の力を使っていたら、いざという時が使えなくなりますよ」
精霊魔法だけで、大型モンスターを相手にしながらクローンは言った。
「それはそうだけど、キリが無いだろう」
「…それはそうですけど」
クローンは、心配しつつも今は少しでも早く帝国へと向かうために、茨の道を切り拓いていくしかないのだと思いながら、エリックと共にひたすらに走って行った。





「んんっーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
アレから毎晩、王座の間の中心で、シルヴィアは“人”という形で上から吊るされている鉄枷で両手足を戒められながら、甲冑を覆った貴族の男たちに相手をさせられていた。
「ほ~ら。踊っておくれ」
貴族の男は、甲冑したまま、欲望をシルヴィアの蕾に突き上げながら、並々とその中に射精をしていく。
「んっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
言われるままにシルヴィアは、泣き濡れながら、淫らに不自由な体を振りながら落ちるという、正に踊れということを繰り返されていた。
代わり代わりに男たちに突き上げられ、貴族の女たちによる拍手が行われようとした瞬間、怒りを露わにした、エリックとクローンが駆け付けたのである。
「よ、良くも俺のシルヴィアに何を…何をした!ヘカトンゲイル!」
モンスターの血で汚れた剣を、王座へと座っている、ヘカトンゲイルの首へとエリックは向けながら言い放った。
「ふっ…見たままのことよ。良くもまあ…あの森を抜けて来たものじゃ」
「お蔭様でな。今、ここで貴様を殺す…!」
「それは無理じゃな…本体のワシはここにはおらぬ」
にやりとヘカトンゲイルは言うと、自らエリックの剣に刺されると、倒れ込んだのである。
「クソッ…!」
「ふっ…エリック殿下ですな。ここは大人しく我々に殺されて貰いましょうか」
貴族たちはシルヴィアを囲むようにしながら剣を抜き放った。
「お前たちの相手なんぞ…俺の…俺たちの敵ではない」
「ええ、そうです」
クローンもまた、剣を抜きながら、自身に襲い掛かっていた貴族たちを沈めながら、エリックの所へと駆け寄ったのである。
「それはどうかな?このガキがどうなってもいいのかな?」
枷を解いたシルヴィアを盾にした男は、シルヴィアに剣を向けつつ言った。
「き、貴様ら…!」
「ううぅ………(お…にい…ちゃま…)」
虚ろな目でシルヴィアはエリックを見ながら、エリックは安心しろと微笑みを返すと、クローンと共にものの5分を掛けずに貴族たちを切り裂いたのである。
もう、エリックは、相手が貴族だろうと容赦していなかった。
例え、相手が女だろうと、貴族の女たちもまた、斬り倒されたのである。


「シルちゃん…シルヴィア…」
鞘に剣を納めながら、エリックはそっとシルヴィアに噛まされている猿轡と共に張り型を外したのである。
「お…にい…ちゃま………どこ?」
「ここにいるぞ…シルちゃん」
「ううぅ…みえないの…おにいちゃま…あのね…くらいの…」
「シルちゃん…」
「どうやら一時的に失明されているのかと思われます。とにかく今はこの場から離れましょう。いつ、本体が戻って来るのか分かりませんから」
「…それもそうだな」
クローンに言われるまま、エリックは意識を手放してしまった、シルヴィアを抱き上げると、テレポート魔法で、その場から掻き消えたのである。


「シルちゃん…ごめん」
城へと連れ戻したシルヴィアを、たっぷりのお湯で身体中至る場所を綺麗にさせると、ベッドへと寝かしながら、クローンの手で今は治療魔法を掛けられていた。
「エリック様のせいではありませんから…」
僕がもっと早くに創造魔法の呼び掛けに気付いていれば…とクローンは、内出血を始めとするシルヴィアの至る所に付けられた跡を消していく。
「マリウスから言われていたにも関わらず、俺としたことが…!」
「エリック様。今は声を荒げないでください」
「す、すまない」
すまなそうにエリックは言うと、何とかシルヴィアは気が付いたのである。
「ここはどこなの…?ううぅ…こわい…こわいの…ひっく…ひっく…」
恐怖がシルヴィアの中に駆け巡り、シルヴィアは泣き崩れ始めた。
「父上…。大丈夫。ここはもうお城の中ですから」
「だれなの…?こわい…」
シルヴィアはガタガタと震え出した。
「僕はあなたのクローンです」
「そうだぞ…シルちゃん。自分自身に怖いはないだろう?」
「つぅ…あたまがしゅごくいちゃいの………」
「父上…」
今は無理もないということから、クローンは、シルヴィアに≪安眠魔法≫(スリーピング・ヒール)で眠らせたのである。
「さすがだな…」
「ええ。元々、治療魔法は得意ですから」
クローンはそう言うと、コンコンッと軽いノックと共にマリウスは、部屋へと入って来たのである。
スポンサーサイト





テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
  1. edit

剣と魔法と竜と異世界

  1. 2021.10.17(Sun) _13:53:48
  2. 剣と魔法と竜と異世界
<第9話>

「何じゃ?エリックよ」
突如、王座の間へとやって来た、エリックにアルヴィスは言った。
「何ではありません!父上。これは…どういうことですか!?」
「どういうことって…これは娯楽じゃ」
「娯楽?そんな訳が無いでしょう。レズモンド様もアヴァール様もグリフィス様もジェノファ様もそれにフェイまでもが…これが娯楽だと言えるのですか!?」
「ああ。その通り…娯楽ですぞ。エリック王子」
「そう。この国の娯楽といえば、昔からこれさ。エリック殿下」
「こ、これが娯楽な訳があるわけがないでしょう!まだ、年端もいかない少女たちを弄んでどこが娯楽ですか!」
エリックは、怒りを露わにしながら言った。
「ふむ…。まだ、エリック王子は娯楽を知らないといえる」
「そ、それに…15年という長い時の中で…シルヴィアを…シルヴィアを…地下に閉じ込めておいて…良く平気でいられますね…父上!」
「何だ。あの化け物のことを思い出してしまったのか…エリックよ」
「ば、化け物ですって…!?あんなにも可愛がっていたシルヴィアを…!」
「そうじゃ…。額に忌々しい銀青竜の印に目覚めてしまった以上、アレを化け物以外に何と呼ぶんじゃ?最もその印のお蔭で異世界からやって来る人間は増え、娯楽が増えたがのぉ」
寧ろ、感謝するべきじゃぞ…とアルヴィスは、エリックの肩に手を置いて言ったのである。
「ゆ、許せない…許せないぞ…幾ら父上であっても、その発言は許しません!」
エリックは怒りの中、額から金と赤に輝く印が浮かび上がったのである。
「こ、コレは………」
「………破壊」
エリックは、一言発しただけで、アルヴィスを意図も簡単に破壊させてしまったのである。
「ま、待て…エリック王子」
「そ、そうだ…殿下。こ、ここは…穏便に話し合おうじゃないか」
レズモンドたちは恐れながら言うが、エリックはこの場にいる貴族たちを破壊魔法で、この世から消し去ったのである。
「え、エリック…王子殿下」
「何だ…ってあ、アレ?お、俺………」
マリウスの声で何とか我に戻ったエリックは、周りを見渡した。
「とうとう…エリック殿下も目覚められてしもうたか」
「な、何が?」
何が目覚めたのかさっぱりと分からないエリックにマリウスは、懐から手鏡を出したのである。
「額を良く見てご覧ください。殿下」
「こ、これは………金赤竜レイグルス。破壊の象徴と呼ばれた竜じゃないか」
「そうじゃ。その破壊の力を使われ、父君や貴族たちをその手に掛けてしまったのじゃ…」
「どうすれば…いい?俺の罪は…」
「気にすることはない。この国は昔から腐っておったのじゃ。特に貴族たちは欲の塊だったのじゃ…。じゃが、まだこれだけでは終わらぬぞ…」
「そう…か。はっ!シルヴィアの所に行かなければ」
王である父が死んだ以上、封印は解けた筈だと思いながら、エリックはテレポートでシルヴィアの元へと向かった。
その場に残された、少女たちは、マリウスによってメイド総勢で治療を当てさせたのである。


「シルちゃん。待たせたね。ここから出よう」
エリックは、一人で大人しく絵本を読んでいた、シルヴィアの所へと戻って来るなり言った。
「ひっ!ち、ちがうの!おにいちゃまじゃないのー!」
「シルヴィア…。俺だって」
幾らエリックは言っても、シルヴィアは泣き崩れるばかりであった。
無理もないだろう。
今のエリックは、印に目覚めたばかりで、碧眼だった目は赤色、髪も赤のグラデーションが掛かった金髪へと変貌していたのである。印も当然ながら、浮かんだ状態のままであった。
「そ、そうか…。俺、印に目覚めたばかりで、少しばかり容姿が変わってしまったんだったな」
溢れ出す魔力を抑えるため、エリックはいつもの魔力量へと抑え込むと、元に戻ったのである。
「おにいちゃま…だったの?しゃっきのしゅがたも」
「そうだよ。俺もシルちゃんと同じように目覚めたんだ。これで、シルちゃんを一人には絶対にさせないからな」
「ホント…?おにいちゃま…ずっと…いっしょ?」
「ああ。これからはずっと…一緒だ。シルちゃん。ずっと寂しい思いをさせてごめんな…。今日はそんなシルちゃんのためにクマのぬいぐるみを買ってあげるから」
「ホント!?ボク、クマさん…ずっとほしかったの」
恐らくはここに閉じ込めて以来、欲しいモノは何一つと与えられなかったのだろうと思いながら、エリックはここからシルヴィアを連れ出すことが出来たのである。

城下町へと行く前にシルヴィアの身なりを整えることから始まった。
元々、腰辺りまで伸ばしていたシルヴィアの髪は、15年の間に10メートル近い長さへと伸びていたことから、元の長さまで切り、体も綺麗にすると、真新しい白を基調とした、ローブへと身に包んだのである。

「おにいちゃま。おまたせなのー!」
「あ、ああ…じゃあ。行こうか」
マリウスからくれぐれも気を付けるようにと念を押されながら、俺はシルヴィアの小さな手を取ると、城下町へと向かったのである。


(一体、いつまで見張ればいいんだ?)
(知るか。あのお方はあるガキに興味があるのだからな)
(確か名前は…シルヴィアというガキだったな)
(そうそう。んっ?アレは…)
黒服に身を包んだ男たちは、15年という月日を見張っていることから言った。
「本当に嬉しそうだな。シルちゃん」
「うん!だっておにいちゃまにずっとあいたかったもん」
「そうだ。ファンシーショップの前に魔力制御のサークレットを買ってあげないとな」
「サーキュレット?」
「そう。今のままだとシルちゃんは、膨大な魔力は制御出来ないだろう?せめて今の魔力量を100分の1ぐらいまで抑えないとさ」
「うー…ボク、いちゅもせーぎょのとっくんしていりゅの。でも、うまくできないのー」
「そのための魔力制御のサークレットだから、サークレットすれば問題ないから」
「ホントー?おにいちゃま」
「ああ。それにサークレットの店の前はファンシーショップだから」
迷うことはないさとエリックは言うと、シルヴィアは早く行きたくて急かしたのである。

「やっと見付けたぞ…あのガキだ」
「ああ。一人になった所を捕らえるぞ」
「…それにしても見張りを続けることに約15年。長かったな」
「………そうだな」
黒服の男たちは、シルヴィアを見付けて呟くと、気付かれないように尾行を始めたのである。


カランカランと鐘が鳴らしながら、エリックは、魔導具を扱う“ヴォルシェーブニク”という、元・魔導士をしていた、エレノア・エインバーグの店を訪れたのである。

「おや。いらっしゃい。エリック殿下」
「あ、ああ…。エレノアの腕を見込んで頼みがあるんだが、この子…シルヴィアの魔力を抑えるサークレットを作ってくれないだろうか」
「ううぅ…こわいの…おにいちゃま」
「シルちゃん。大丈夫。怖くないから」
「そうだよ。おじさんは怖くないからね。ちょいと魔力量を見せておくれ……………!」
優しげに40代半ばのエレノアは、シルヴィアの魔力量を見て言葉を失ってしまったのである。
「ど、どうなんだ?エレノア」
「こ、コレは…私の手では到底ですが、負えませんな…」
「ひっく……ひっく……」
初めての人に触れられ、シルヴィアは泣き崩れそうになっていた。
「シルちゃん…」
「ふむ…。どうしたものか。せめて、100分の1。いや、1億分の1…いやいや。参ったね…」
同じ魔力量であれば、魔導具を作ってあげないでもないが、さすがに計り知れない魔力量であるが故にエレノアは、手を挙げてしまったのである。
「そう…。では、一時的だけでも抑えることが出来るサークレットは?」
「一時的か…。それならば…作れないことはないな。少し時間は掛かるが、今すぐ作ってあげよう」
「では、宜しく頼む。シルちゃん…。出来るまでの間、ファンシーショップで一番可愛いクマさんを選んで来ておいで」
「うん。わかったのー。えらんでくりゅのー」
嬉しそうにしながら、シルヴィアは目の前の店であるファンシーショップへと走って行った。
「ふっ…可愛いものですな。殿下の妹君は…」
「あっ…いや。弟なんだ。俺と同じ18歳だ」
「そ、そうなのかい。そうかい…。色々と辛いことを受けて来たんだろうね…」
「ああ…。俺なんかに比べ物にならないぐらいだ」
というよりも、ついさっきまでシルヴィアの記憶をセイラによって思い出させてくれるまで、何を暢気に俺は剣や魔法の特訓ばかりしていたんだと後悔しかないのだと、エリックは声には出さずに返したのである。


「んーっと…どれにしようかなぁ」
シルヴィアは、ファンシーショップで、数あるクマのぬいぐるみを見ながら、一番可愛いモノを探していた。
「あっ!これが…んっ!」
シルヴィアが手に取った途端、黒服の男たちはシルヴィアを囲むようにしながら、一人の男がシルヴィアの口元を抑えながら、懐に拳を打つと、シルヴィアは気を失ってしまったのである。
「よし…。ずらかるぞ」
書置きの小さなメモだけ残すと、男たちはシルヴィアを布で包むと共にモーンストルムの森へと走って行ったのである。





テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
  1. edit

剣と魔法と竜と異世界

  1. 2021.09.05(Sun) _13:24:48
  2. 剣と魔法と竜と異世界
<第7話>
(苦手な方は、ご遠慮お願いします。マウスドラッグ式です)

その日の晩、シルヴィアは目覚める度に泣き崩れながら、何度も寝落ちを繰り返していた。
だが、シルヴィアは気付いていなかったのである。
無意識の中で、銀青竜の失われた魔法である≪消滅魔法≫によって、異世界から転移者及び転生者が各国へと広まっているということに。


女子供の大半は、貴族たちの性奴隷及び性玩具として弄ばれ、男の大半は街作りへと朝から晩まで働かせられていたのである。


そんなことを知り由もない、アルヴィスに言われるまま、エリシアによってシルヴィアの記憶を消されてしまったレイオスは、教育係の仙人であるマリウスの下、勉学に励んでいた。

「いいですかな?レイオス王子。文字は…」
3歳になったばかりのレイオスは、文字の読み書きを習っていた。
「うーん。むずかしいな」
「全くシルヴィア様はすぐに覚えられたというのに…」
「シルヴィア?だれ?いつもせんせいはいうけど、そのこはだれなの?」
「い、いや…な、何でもないですぞ。続きに戻りますかな」
(そうであったな…。あの日、レイオス様はシルヴィア様の記憶を消されてしまったのですな…。アルヴィス王も何て残酷なことを為さるのじゃ…。幾らバランシアに閉じ込めている以上、大きな被害は抑えているとはいえ、異世界からやって来る者は増えたものじゃ…。ワシが言った所であの日から暴君と化した王は変わらぬ。ここはレイオス様をしっかりと育てなくてはのぉ…)
心の中でマリウスは呟きながら、レイオスの教育指導に戻ったのである。
合間を見てシルヴィアにも同じ教育を施していた。




一方、マジックフォスター王国から近くの森にある、モーンストルムの森で、彷徨っていた所を捕らえられしまった、異世界の10代半ばの少女たちは、貴族たちが開催する奴隷市場で売り出されていた。
「さあさあ、本日の奴隷は10人。高値が付いたら買い取り完了だ!」
後ろ手に縄を縛られながら、下半身は剥き出しの極薄のローブを羽織らされ、視線を下に落とした少女たちが姿を見せたのである。
それぞれ、胸にナンバーと共に額には異世界語で“奴隷”という文字で、刺青を入れられてしまっていた。
「まずはナンバー1番からじっくりとご覧ください!」
2人の男にナンバー1と呼ばれた、茶髪に青い目をした少女は体を押さえ付けられながら、下半身の中心である蕾を男の指を突き入れられてしまったのである。
「いや…!や、やめ…て…あ、あああああ………!!!!!」
「ご覧ください。処女である証です!さあさあ、幾らで買うかい!?」
少女の悲鳴に男は聞き耳持たないまま、進行を進めていく。
「金貨10枚!」「いや!金貨20!」「いーや!金貨50枚!」
次から次へと高値が付く中、「金貨100万枚!」という有力貴族の一人である、レズモンド・C・フォルスターンは、その奴隷を買い取ったのである。
奴隷として買われた、少女は男に下半身の中心である蕾に淫具を取り付けられると、買い取った貴族である、レズモンドに連れられて行った。
次から次へと異世界の少女たちは、有力貴族たちに高値で買われ、その日の奴隷市場は幕を閉じたのである。


奴隷市場で買われたばかりの少女たちは、早速と貴族たちの相手をさせられていた。
レズモンド・C・フォルスターンに買われた、ナンバー1と刺青を入れられた少女は、上から吊るされている鎖で足を目一杯と開かせられながら、馴らしとして、ラグルスターン帝国で買われていた、奴隷種族であるオークの欲望を咥えさせられていた。
「ううぅ………」
「ほーら。そいつを外して欲しかったら、ちゃんと舌と喉を使え」
レズモンドは、少女に取り付けられた淫具の方を指差しながら言った。
ただ、少女は外して欲しくて、言われるままに従うしか無かったのである。
「ふふ…。今日も良いお買い物をしましたわね」
「ああ。どうだ?お前も何かするかい?」
「そうですわね。今日は買い物で良い蝋が手に入りましたし、何本入るのか試してみたいですわ」
レズモンドの奥方であるアレニドは、使用人に今日買ったばかりの蝋燭を用意して来るようにと指示しながら言った。
「ふっ…。お前も相当、物好きな女だ。これだから同じ貴族は相性が良いといえる」
「そうですわね。そういう所がわたくし、あなたに惚れたのですわ」
「俺もだ…」
2人が会話をしている内に使用人は、束になっている蝋燭を持って来たのである。
「よしよし…いい子だ」
今日の馴らしはこの位でいいだろうとレズモンドは言いながら、魔法で、ガチャと音を立てながら、淫具を外したのである。
「はぁ……はぁ……い、いや…!や、やめて…ください…つぅ!」
息を漏らしながら少女は言うものの、淫具で開かせられたヒクヒクと息衝く蕾にアレニドは、蝋燭を突き刺していく。
「ほら…これで10本目ですわよ」
アレニドは、少女の蕾の中に蝋燭を15cm余しながら突き刺したのである。
「ククク…良い眺めだ」
「ええ。後は踊って下さればいいだけですわ」
アレニドはそう言いながら、精霊魔法であるファイアを唱えると、蝋燭は静かに燃え始めた。
「ほら。踊らないと体に火が燃え移りますわよ」
「ううぅ…あ、あああああああ………!!!!!!!!!!」
言われるままに少女は一日中、火を消そうと、悲鳴を上げながら、ジャラジャラと鎖を鳴らしつつ、もがき続けたのであった。


また、有力貴族の一人である、アヴァール・R・カルバシオンに同じく金貨100万枚で買われた、ナンバー2の刺青を入れられた、金褐色と同時に金目の少女は、後ろ手に縄を縛られたまま、モップの柄を蕾に突き入れられながら、屋敷内を掃除させられていた。
「後5周、拭き掃除だ」
屋敷に戻ってすぐアヴァールは、ナンバー2の少女を奴隷のように扱っていた。
「う、ううぅ………」
「ほら。まだまだここが汚れていますわ」
アヴァールの奥方であるロザリアは、ワインをわざと床に零しながら床掃除をさせた。
「よしよし…いい子だ」
「あ、あうぅぅぅ…!!!!!」
ロザリアからワインの瓶を受け取ったアヴァールは、下半身の秘所である胚珠に深々と押し込んでいく。
「ふふ…イイ声で鳴きますわね」
「そうだな…。拭き掃除もこの位してそろそろ満足させてやらねばな…」
モップの柄を魔法で外しながら、アヴァールは高まる欲望を開かれたままになっている、少女の蕾に突き刺したのである。
「ひっ!い、いや…あああああああ………!」
「たっぷりと味わえよ…。貴様なんぞに滅多に味わえぬモノだからな」
そうアヴァールは言いながら、二度三度問わずとその中に何度も精液を放ったのである。

反抗すればする程に酷い目に遭っていた、少女たちは貴族たちの言いなりであった。
当然ながら少女たちは魔法も使えず、満足させるまで続けられていた。


同時刻、有力貴族のグリフィス・M・エルドリッヒにそれぞれ金貨200万枚ずつで買われた、ナンバー3、4の黒髪と青い目の双子の少女2人は、屋敷の地下で、お尻を突き出すような姿勢のまま、枷で両手足を嵌められていた。
「ふっ…なかなかイイ眺めだ」
グリフィスは、葉巻を吹きながら言うと「持って来たよ。父さん」と言う彼の息子であるフェイ・K・エルドリッヒは、地下へと何かを持って降りて来たのである。
「よしよし…大分と溜まっていたな」
「はい。魔導具の加工に失敗した珠を捨てずに取っておいて良かったね。父さん」
その会話を聞きながら、双子の少女はゾッと青ざめていく。
少女のいた世界の国では、魔導具は戦の魔除けとして使われているのである。
悪いことを防いでくれるという、お守りとして使われているということから、使い方を誤れば、タダでは済まないということであった。
「さてと…そろそろ準備は出来たかな」
淫具を取り付けたままになっている、2人の淫具を魔法で外したのである。
「なかなかイイ感じみたいだよ。父さん」
2人の傍にいた、フェイは拡がり具合に問題ないことから言った。
「では、後は頼んだぞ。フェイ」
「はい。父さん。さてと…たっぷりと可愛がってあげるよ…」
「「い、いやあああああああああ…!!!!!!!!!!!!!」」
穏やかな目から一気に冷めた目へと変わると、フェイは山盛りになっている珠に手を取ると、悲鳴を上げ続ける、2人の息衝く蕾に並々と押し込んでいったのである。





それから15年余りが過ぎた、ある日の午後。
18歳へとなった、レイオスは、王である父から成人名として「エリック」という名を与えられ、10歳の頃から勉学の合間に剣と魔法の訓練に勤しんでいた。

ガキィィィィィィィィィィィン!!!!!

「ふっ…まだまだ技が甘いぞ。レイオス…いや、エリック王子」
エリックの剣の相手をしていた、ルトガーは軽く汗を拭きながら言った。
彼は、昔、剣聖のルトガーと呼ばれ、各国を回っていた、凄腕の戦士であった。
そんな彼の下、エリックは剣の腕を上げようと、剣技を磨いていた。
「そうは言っても、ルトガーの剣技は読みにくいんだから仕方ないだろ。確か剣って地下にあったんだよな」
「ああ。とりあえず、今日の訓練はここまでにしよう」
「そう。でも、俺はまだまだ続けるよ」
「そうか。余り無理はするなよ」
もっと強くなりたいことから、折れてしまった剣の代わりに新しい剣を取りにエリックは、地下へと向かい始めた。
「ん?アレはセイラ…か」
このような場所に向かない、現メイド長であるセイラ・シアールが地下にてカートを運ぶ姿を目撃したのである。
エリックの母であるエリシア、そして、セイラの母であるリエラは、何かを切っ掛けに15年程前に姿を消してしまったらしいということだけは、エリックの耳にも入っていたのだが、理由を幾ら父アルヴィスに尋ねても、教えてくれなかったのだった。
「どうしてこのような所へセイラが?とりあえず、後を追ってみよう」
セイラに気付かれないよう、エリックはセイラの後を追い掛けたのである。



テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
  1. edit

剣と魔法と竜と異世界

  1. 2021.09.05(Sun) _13:23:16
  2. 剣と魔法と竜と異世界
<第6話>

「うーん。これもいいな」
今宵の帝国とのパーティで、シルヴィアに着せたい服選びにレイオスは、夢中になっていた。

「そろそろお城に戻らないとパーティに間に合わなくなりますぞ。レイオス王子殿下」
「分かっているよ。じゃあ…これにするよ」
「…殿下。シルヴィア殿下はそなたと同じく男ですぞ。そのような服は到底似合わないかと思いますが」
「えっ!?そ、そうだったの?シルちゃん。ずっと女の子みたいな服を着ていたから」
「まあ、そう思ってしまうのも無理はないですな。ふむ…これが宜しかろう」
男女共に着用可能なローブにマリウスは手に取った。
「マリウスせんせーもひとのことがいえないじゃん。このローブのいろはピンクだよ?」
「そ、そうであったな。ご主人。このローブでブルー系は無いだろうか?」
マリウスは、ここにはピンク色しかないことから、店主に訊ねた。
「誠にすみませんが、生憎と今はピンクしか無いのですが…」
「そうかの…。仕方ないのぉ」
「でも、シルちゃんはブルーよりもピンクがにあうとおもう」
「そうじゃな…。じゃあ、これを包んでくれるかの」
「はい。分かりました」
マリウスは懐から金貨5枚を支払うと、包んで貰ったローブを持ってレイオスと共に城へと戻ったのである。


「しゅごくきれーなの」
パーティが始まる前にやっと起きたシルヴィアは、早速とマリウスが選んで着たローブにメイドたちに着替えられながら言った。
「よかった。これはマリウスせんせーがえらんでくれたんだよ」
「そうなんだ。ボク、ピンクだいしゅきなの」
「へぇー…シルちゃんはピンクがだいすきなんだ」
「うん!キレーないろだもん」
「後は御髪を整えて完了ですわね」
メイドの女性たちは、腰辺りまで伸びているシルヴィアの金髪にトリートメントを始めとするモノを付けながら、パーティの支度を整えていく。
「後はレイオス王子殿下ですね」
「えっ…!?ぼ、ボクはこのままでいいよ」
「いけません。レイオス様もキチンとした格好をしなければいけませんよ」
「そうなの。おにいちゃまもしゅるの」
「はいはい。わかったよ」
メイドやシルヴィアに言われるまま、レイオスもパーティ用に着替えると、シルヴィアと一緒にパーティ会場へと向かった。


「しゅっごいひとなの」
今まで家族及びメイド数名しか見て来なかったシルヴィアは、100を超える圧倒的な人数に驚きながら言った。
「そうだね。おかあしゃまのところまでまいごにならないようにてをつなごう。シルちゃん」
「うん。おにいちゃま」
一回り大きいレイオスに手を繋がれながら、シルヴィアは母であるエリシアの所へと向かうものの、パーティ会場に仔猫を見付けたのである。
「おにいちゃま。にゃんにゃんがいるの」
「あっ!ホントだ。にゃんにゃん…ケガしているね」
「うん。にゃんにゃん…もうだいじょーぶだよ」
怪我をしている仔猫をそっとシルヴィアは抱き上げると、無意識の中で治療魔法を施したのである。
だが、次の瞬間、シルヴィアの額に銀と青の色合いによる竜みたいな印が浮かばせながら、髪は、青のグラデーションの掛かった銀髪へと化し、碧眼だった目の色も青く澄んだ目へとなっていったのである。
「し、シルちゃん?」
「ん?どーしたの?おにいちゃま。ボク、どっかへんなの?」
「う、ううん…。なんでもないよ。シルちゃん」
(いつもの…シルちゃんでいいんだよね。ひたいにへんなしるし…あったかなぁ?)
心の中でレイオスは不思議そうに呟きながら、シルヴィアをエリシアの所へと連れ出した。
「やっと来たか。レイオス…し、シルヴィア…!」
アルヴィスはラグルスターン帝国の皇帝、ヘカトンゲイル・Z・ラグルスターンとの会話を中断しながら、思わずとシルヴィアを見て顔色を変えてしまったのである。
「んー?どうしたの?おとうしゃま」
「シルヴィア。付いて来なさい」
「ひっ!い、いちゃいのー!おとうしゃま」
「いいから付いて来るんだ」
まだ幼いシルヴィアをグイグイと引き摺るようにしながら、アルヴィスはその場から離れた。
(アレは…銀青竜の印のようじゃな。まさか、このような場所で見付けられるとは思いもしなかったぞ)
心の中でヘカトンゲイルは、にやりと不敵そうな笑みをしていた。
「ねー?シルちゃんはどこにつれていかれたの?おかあしゃま」
「…レイオス。大丈夫。すぐに戻って来るから」
「…うん」
「そうですぞ。レイオス王子殿下」
ヘカトンゲイルは、兄上ならば、泣いてはいけないのだと付け加えながら言った。
「は、はい…」
「しっかりとしておりますな。レイオス王子は」
「ええ。とてもシルヴィアと同じ3歳になろうとしている子とは思えませんわ。ヘカトンゲイル様」
「そうですな…」
エリシアとヘカトンゲイルは、談笑しながらレイオスは、シルヴィアのことを心配していた。



「いちゃいのー!おとうしゃま」
アルヴィスに手を引っ張られながら、シルヴィアは地下へと連れ出されていた。
奥へと続く場所へと辿り着くと、アルヴィスは何やら唱えると扉が出現したのである。
扉の向こうには、簡易のベッドとテーブルとイス、そして、浴室があるだけであった。
「二度とここから出るではないぞ……………この化け物が」
冷たい口調でアルヴィスはそう言うと、シルヴィアは糸が切れたように泣き出しながら、元のように何も無かったかのように扉を封印したのである。



「あっ!おとうしゃま。シルちゃんは?」
戻って来たアルヴィスにレイオスは、シルヴィアのことが気になって言った。
「レイオス…か。シルヴィアのことは忘れなさい」
「えっ!?ど、どうして…?」
「いいから忘れるんだ。エリシア…」
「………は、はい。我がクレアツィオーネの名に置いてこの技を為す………メモリアル・オブ・イレイス」
エリシアはアルヴィスに言われるまま、レイオスにシルヴィアの記憶を消し去ってしまったのである。
「あ、アレ?ボク…なにをいおうとしたんだろう?アレ?おかあしゃま。どうしてないているの?」
「…何でもないわ。レイオス」
ちょっと夜風に当たって来るとエリシアはそう言うと、そのまま、この場に戻って来ることは無かったのである。



「うえええええええええええええええええええええええん!!!!!!!ここからだしてほしーの!!!!!」
一人残された、シルヴィアは泣き崩れながら、扉に向かって叩くものの、ビクともしなかったのである。
それ処かますますとシルヴィアの額に記されてしまった、銀と青に輝く竜の印、つまり、銀青竜シルヴィーナの印が輝きが増すばかりであった。
「うええええええええええええええええええええええええん!!!!!!!ボク、いいこにしゅるのー!だしてなのー!うえええええええええええん!!!!!!!!!」
ひたすらにシルヴィアは、泣き崩れていた。
「ううぅ…ひっく…ひっく…おにいちゃま…ひっく…ひっく…うえええええええええん!!!」
地下に近付く何かに気付かず、シルヴィアは泣き止むかと思ったら、泣き止む気配は見せなかったのである。
そして、奥に向かって誰かが何かを呟くと、その中へと入って来たのである。
「…シルヴィア」
「お、おかあしゃま…?」
「ごめんなさい…。シルヴィア。あなたを庇えなかった私を赦して…」
シルヴィアをそっとエリシアは抱き締めながら、優しげに言った。
「おかあしゃま………」
「もう…大丈夫。あなたは私が絶対に守ってみせるから…」
エリシアはそう言いながら、メイド長のリエラ・シアールに簡単な食事をカートに載せながら、入って来たのである。
「さあ、もう大丈夫ですから…何かお口に入れないと体に毒ですよ」
朝、ミルクと同盟国であるラグルスターン帝国から入って来たばかりの豆のスープとパンしか口にしていないことから、リエラはテーブルの上にパーティで出されていた、食事の一部を並べたのである。
「ううぅ………」
「大丈夫。お父様に行ってここから出してあげるから」
まずは食事を摂らなければと思いながら、エリシアは泣き崩れるシルヴィアにそっと頭を撫でながら言った。
「うん………おかあしゃま」
シルヴィアは言われるまま、少しだけ食事に口を付けたのである。
「おかあしゃま…。ボク、どっかへんなの?おとうしゃまに…バケモノっていわれたの…。なにもわりゅいことなんてしていないの…」
「シルヴィア………」
永遠という終わりのない時を生きることになってしまった、シルヴィアにどう声を掛けていいのか、エリシアは分からないまま、ただ、ひたすらにシルヴィアを優しげに接することしか出来なかったのである。
「シルヴィアはいい子だから悪い子じゃないわ…。さあ、ここから出ましょう」
エリシアは少しばかりと泣き止んだシルヴィアの小さな手を取ると、ここから出ようとエリシアは部屋から出るものの、ピリッ!とシルヴィアは部屋から出ることが叶わなかったのである。
「ひっ…!いちゃいの…うえええええええええええええん!!!!!!」
アルヴィスの張った、結界魔法によってシルヴィアは、ここから出ることが叶わず、シルヴィアは再び泣き出してしまったのである。
(これは…結界を張った者しか解けない魔法だわ。何て残酷なことを…。このまま、シルヴィアは一生、ここから出られないというの…?)
「ひっく…ひっく…おかあしゃま…おにいちゃまに…レイオシュおにいちゃまにあいたいの…」
経った一人の兄であるレイオスに会いたいと言いながら、シルヴィアは泣き疲れから眠りの中に引き込まれていった。
「エリシア様。今宵はもう遅いですから…」
今日の所は看ますので…とリエラは、シルヴィアをベッドへと寝かしながら言った。
「え、ええ…分かったわ」
このままここにいたら、いずれバレてしまうが故にエリシアは、王室へと戻って行ったのである。


テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
  1. edit

剣と魔法と竜と異世界

  1. 2021.06.09(Wed) _10:00:04
  2. 剣と魔法と竜と異世界
<第5話>

「いらっしゃい!何するね!?」
「そうねぇ…。ラルク牛2kg、もらえるかしら?」
「あたしは全種1kgずつね」

市場はあちこちと自分たちの牧場で育てた肉を販売し、食べ物屋は見事に肉の丸焼きしか無かった。また、数え切れない程の魔導具を扱う店があったのである。

「国の大半は城で療養していると聞いていたけど、すっごく活気溢れる城下町ですね」
リリアは、エリックに城下町を案内されながら言った。
「ああ。病気療養は基本的に幼児か高齢だからな…」
「え、エリックさんとシル…んっ!」
「そこまでだ。あいつの名は城下町では言わないでくれ」
エリックは、リリアの口元を手で押さえながら言った。
「す、すみません…」
「言わなかったこっちが悪いさ…」
「大事にされている方…なんですね。それよりも…市場や食べ物屋は見事に肉ばっかりですね」
「それしか無いからな…。とりあえず、静かな所に行くか」
「そうですね」
エリックに言われるまま、リリアは人通りの少ないギルドの中にある喫茶店へと向かった。

「あら?エリック様。珍しいですね」
ギルドの受付女性は、エリックを見るなり言った。
「ああ。奥のテーブル、借りていいかな?」
「はい。どうぞ」

「こんな所まで連れ出して用事って何ですか?」
城の中では話せないことだろうけど…とリリアは思いながら言った。
「ああ。お前にこの世界のことを言っておこうと思ってな」
「この世界?あー…確かにこの世界のことって何も分かっていなかったんですよね」
エリックは、飲み物としてミルクをギルドの受付女性に2つ頼みながら言った。

というよりも、飲み物はミルクしかないんだよね。と思わずと心の中で、リリアは思ってしまった。

「まず、この世界は“クレアツィオーネ・スパーダ・セヘル・ドラゴニア”と呼ばれる世界だ」
「く、クレア…ああもう舌が噛みそうです」
「創造の世界…だけでいいさ。お前たちの世界風で言うならば、創造と剣と魔法と竜の世界…と言って良いだろう」
「そ、その名前。ゲームでありましたよ。まさか、この世界ってゲームの世界!?」
「ゲーム?それは何だ?」
「ぼく…じゃなかった。私のいた世界の娯楽の一つです。悪い国を打ち倒すという良くある戦争ゲームだったんですけど、途中放棄したんですよね」
「そうか。とりあえず、この世界は、クレアツィオーネ・スパーダ・セヘル・ドラゴニアと呼ばれる世界だということを頭の隅に置いてくれ」
「は、はい」
「で、ここから大事な話なんだが…。お前も俺たちと同じく失われた魔法を扱う印を持つ人間なんだな」
「そ、そうみたいですね。ここに来る前は全然無かったんですけど。というよりも、この世界に転移されるまで、魔法なんて全然使えなかったんですけどね…」
「恐らくはこの世界に来た時、自分の中に隠されている、マナ或いは気を引き出すことが出来たのだろう」
「そうですか…。やっぱり環境なのかなぁ…」
「そうかも知れないな。この世界はで、お前が朝、あの魔法を使った様子を見たんだが、使い慣れているって感覚だったが、本当にお前のいた世界では魔法が使えないのか…」
「もし、使えるのならば、ぼくを徹底的にイジメていた連中に向けて放っていただろうし…」
「そうか…」
「うん。ぼくの容姿は、生まれつき目立つから」
何たって髪は生まれつきプラチナブラウンだし、目だってオッドアイの左右対称で、右は青、左は黒なんだよね…。

「だからイジメられていたって言っていたんだな…下らん理由だ」
「そう言ってくれたのは、家族である兄だけですよ…。あっ…タメ口系ですみません」
「別に構わないさ。その方がお前も楽だろう。もっと楽に喋ってくれていい」
「あ、ありがとう。敬語が不慣れだからどうしようと思っていたんだ…ぼく」
「俺だって王族らしかぬ言葉遣いだからな。形だけとはいえ、国民の皆には仮にも王家なんだから形だけでもキチンとして下さいって五月蠅く言われているんだよな…」
「大変だね…。形だけでもって」
「ああ。で、印の話に戻すか。すっかりと話は逸れてしまったからな」
「うん。印って何?竜みたいな形をしていたけど…」
右胸に突如と浮かんだ印に気になっていることから、リリアは尋ねた。
「そう。昨日、俺の持つ印を見せたが、これはかつてこの世界に無数いたという圧倒的な力を持つ竜だ。何者かが何らかの形で竜たちを封印したと伝えられ、それから幾年の時が経ち、失われた魔法と共に竜の印に目覚めるんだ」
「失われた魔法って普通の人には使えないの?」
「そうだ。普通は自然の火・水・風・土・雷という精霊魔法に加え、傷や毒などを癒す治療魔法だからな」
「だから…この世界にイメージしただけでファイア・ボールが使えたって訳なんだ」
「そういうことだ。で、その時、お前は印に目覚めたのだと思う。印を持つ者は竜の生まれ変わりとも呼ばれているからな。目覚める理由は特にないとも聞く。俺は怒りのままに目覚めてしまったが…」
「そうなんだ。それにしてもさ?話は変わるけど、この国って食べ物は肉とアルクスの苺だけなの?飲み物もミルクだけ?」
「ああ。今から900年以上前に全ての国との関わりは絶って以来、ずっとそうだな」
「どうして絶ってしまったの?」
「ああ…。少しばかりと重い話になるが、話すとしようか」
エリックはそう言いながら「今から996年前のある日のことだ…」と昔話を語り始めたのである。





今から996年前のある日、生まれてすぐ病気療養していた、シルヴィアは元気になったことから、城の中にある空中庭園へと遊びに来ていた。

「はやくなの~!レイオシュおにいちゃま!おかあしゃま!」
元気に走り回りながら、シルヴィアは嬉しそうにしながら言った。

レイオシュとは、レイオスのことで、エリックの幼名である。
舌足らずであるシルヴィアは、レイオスと言えず、レイオシュと言うクセが付いていた。

「シルちゃん。そんなにいそいではしるところぶの」
「だいじょーぶなの。おにいちゃま」
「まあまあ。仕方ないわ。シルヴィアはあなたと違って生まれてすぐ病気でずっと療養していたのですから」
生まれてすぐ膨大な魔力を持つが故にシルヴィアは、“魔の病”に侵されてしまったのである。そのため、シルヴィアは隔離された部屋で、3年近い長い間、静養を余儀なくされてしまったのだった。
「うん…そうだね」
「それよりもシルヴィア。今宵はラグルスターン帝国とのパーティだから余り無理はしちゃ駄目よ」
「うん。わかっているの。おかあしゃま!おにいちゃま!はやくきてほしーの!しゅっごくきれーなおはなをみちゅけたのー」
シルヴィアは、色取り取りに咲くコスモスに見惚れながら言った。
「ホントだ。すごくきれーだね」
「ねーねーおかあしゃま。このおはなのなまえ、なになの?」
「このお花はね…コスモスというのよ。凄く綺麗でしょう。お母様の一番好きなお花なのよ」
「そうなんだ。このおはな…コシュモシュっていうの」
「シルちゃん。コシュモシュじゃなくコスモスだよ」
「コスモシュ?」
「そうじゃなくて…」
「レイオス。仕方ないわ。まだ、シルヴィアには難しい言葉は出来ないわ」
「そうだね。ごめん。シルちゃん」
「うー…ボク、ねむいの」
病み上がりであるが故に外で久々にはしゃいだことから、シルヴィアは何度も目を擦りながら言った。
「そんなに目を擦ったら、赤くなるわよ。シルヴィア。まだ、パーティまで時間はあるし、お部屋でゆっくり休みましょうか」
「うん…」
そっと双子の兄弟の母であるエリシア・R・マジックフォスターは、シルヴィアを抱き上げると、シルヴィアは眠りの中に引き込まれてしまったのである。
「ねちゃった…」
「無理もないわ。パーティの時間までまだ5時間余りあるからそれまでの間、ゆっくりと寝かせてあげましょう」
「うん。そうだね」
もうすぐ3歳になろうというのに、一回りも小さいシルヴィアを見ながら、空中庭園を後にしたのである。


「シルヴィアは寝ているのか…」
公務で余り顔を合わすことが少ないシルヴィアを見ながら、マジックフォスター王国の王であるアルヴィス・J・マジックフォスターは、起こさないようにしながら言った。
「ええ。久々のお外でしたから…」
「そうか。レイオスはどうした?」
「レイオスならシルヴィアの服を見にマリウス様と城下町へと出掛けましたわ。今宵はパーティですもの」
「そうだな。エリシア…パーティが始まったら、なるべくシルヴィアから目を離さないでくれ」
「はい。分かりました」
ラグルスターン帝国の皇帝は、噂ではシルヴィアのような幼子に興味を持っていると聞いているが故にアルヴィスは、エリシアに念を押したのであった。



テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
  1. edit

剣と魔法と竜と異世界

  1. 2021.05.23(Sun) _11:55:53
  2. 剣と魔法と竜と異世界
<第4話>

「さ、さすがに1000人以上の料理は疲れた…。この世界に来て早々、料理をする羽目になるとは…」
リリアは、コリコリッと肩を鳴らしながら、溜め息を吐いて言った。

オマケに現代において多くの国で使われている、コンロの代わりに異世界あるあるというか、中世の時代ではごく普通に当たり前に使っていたという、薪を使った料理で火加減って難しいなと思ったけど、ペコラさんが上手く弱火、中火としてくれて助かったけどさ…。

「お疲れさん。味見しながら作っていたけど、ホントにアンタのいた世界は凄いさね」
ペコラは、レタスとトマトとキュウリのマヨネーズサラダ、ミルクで煮込んだ野菜たっぷりスープ、ジャガイモとタマネギを使ったハッシュドポテト、デザートにアルクスの苺を使った苺アイスを見ながら言った。
「ま、まだまだ料理はいっぱいありますけどね」
なるべくシルヴィアのために肉を使った料理は極力と控えたことから、苺アイス以外、リリアは自身のいた世界と全くと変わりのない味が出来たことからホッとしつつ言った。

「さてと、あの方々の分以外は部屋に転送しようかね。量が量だから」
「転送?」
「そうさ。まあ、見たら分かるさ」
ペコラはそう言いながら、人数分に分けられた食事と食器を各部屋へと転送魔法で、運んだのである。
「へぇー…こんな魔法があるんですね」
「そうさ。まぁ、あたしは普通の家庭魔法しか使えないけどね。さてと、ここから問題さ。あの方々のお口に合うといいんだけどねぇ…」
「きっと合いますよ。多分」

内心、気になりながら、リリアはペコラと共に今は飾りでしかないとはいえ、王家は王家だからということから、王家専用のホールへと食事を載せたカートを押しながら、向かい始めたのである。 



一方、マジックフォスター王国の城の中庭で、シルヴィアは朝から自ら進んでしない中、魔力制御に励んでいた。
「むむむ………」
「よし。この調子でゆっくり…」
エリックは、シルヴィアの小さな手に青く輝く丸い球体が出来掛けていることから言った。
「うー………も、もう…ダメなの………」
後もう一歩という状態で、球体は割れてしまったのである。
「もう少しだったな。シルヴィア」
「うん…。でも、きょーはしょうめちゅはしなかったよ?ボク、しゅごい?」
「ああ。凄いぞ。シルちゃん。さあ、中に戻って朝飯にしようか」
「また…きょーもあさからおにくなの?」
泣き出しそうになりながら、シルヴィアは額に魔力制御用のサークレットを嵌められつつ言った。
「シルちゃん。好き嫌いしていると、大きくならないぞ?」
「うー…いちゅもいうの。ボク、いちゅになったら、おにいちゃまみたいにおっきくなるの?」
「好き嫌いせずに良く食べることだよ。シルヴィア」
「うー…だって…ボク。おにく…きらい。くちゃいもん」
「ふぅ…。何とかシルちゃんでも食べられる物があるといいんだけどな。とりあえず、戻ったら着替えような」
「…うん」
エリックに手を引かれながら、シルヴィアはゆっくりとした足取りで、城の中へと歩き出したのである。


「ふぅ…コレでいいかな」
リリアは、ペコラと共にホールのテーブルに出来たての料理を並べながら言った。
「そうさね。で、隣のテーブルはあたしらの席さ。昨日は部屋に直接と持って行ったけど、今日からここのテーブルを使って食べるよ」
「そ、そうなんですか。な、何だか緊張します」
「気にしなくていいさ」
ペコラはそう言うと、白髭を蓄えた気難しい感じのするマリウスが入って来たのである。
「おはようございます。マリウス様」
「うむ。そちらのお嬢さんは昨日、エリック様に転移されて来たリリア殿じゃな」
「あ、はい。え、えっと…」
「シルヴィア様の教育係のマリウスじゃ。そんなに畏まらなくていいぞ。お二人も席に座ると良かろう」
「あ、ありがとうございます」
「さて、座ろうか?リリア」
「は、はい…」
マリウスに言われるまま、リリアとペコラは席に着いたのである。
「リリア殿。この場をお借りして謝罪させて頂く。シルヴィア様の額に記されておる銀青竜のお力で、そなたの世界を消滅させてしもうた。誠にすまなかったのぉ…」
「い、いえ。別に気にしていませんから」
「そうかの…てっきりと気にしておるかと思ったのじゃが。それはそうとじゃが、今日のこれらはこの国では見られない料理のようじゃが…」
「そうなんですよ。これはこのリリアが召喚魔法で召喚された異世界の食材を使った、異世界料理でしてね…」
「ふむ…。これならば、シルヴィア様のお口に合うじゃろう…」
マリウスはそう言いながら、お召し物に着替えて来た、シルヴィアと共にエリック、サフィールがホールへと入って来たのである。

「おはようございます。皆様」
「ああ。おはよう。ほら、シルヴィアも挨拶を」
「おはようなの…」
先程と様子は打って変わって、肉が続いた1000年近くということからアルクスの苺以外、食事に興味を余り示さなくなったシルヴィアは、サフィールの服の裾を握り締めたまま言った。
(か、かわいい…)
思わずとリリアは心の中で、シルヴィアを見て呟いた。
シルヴィアは、白とピンクを取り入れたローブを羽織っていたのである。
長髪の髪は梳かれ、ご丁寧にリボン付きの三つ編みまでされていたのだった。
「何だか見たことのない料理が並べられていますね…」
「そうだな。コレってもしかして、リリアのいた世界の料理…か?」
「は、はい。シルヴィアちゃん…じゃなかった。シルヴィアさんはお肉が食べられないみたいなので、野菜を使った料理です。た、ただ…その料理は余り得意じゃないので、不味かったら、正直に教えてください」
「ヤサイってなに?」
「主に草じゃな。草の根っこだったり葉の部分だったりと様々じゃ。この国の食糧は今の所は肉だけじゃが、世界には色々な食材があると聞いたことがあるぞ」
「く、詳しいですね」
「マリウスは知識豊富の仙人だからな…」
「ねー?くちゃくないよね?ねー?」
肉独特の臭みは無いのかどうか知りたくてシルヴィアは、不思議そうに聞いた。
「はい。ただ、野菜独特のクセはあると思います」
そう、野菜によっては独特の臭みがあるのだ。
敢えて、臭いと言うときっと、シルヴィアは食べてくれないと思いながら、リリアは気遣って言った。
「そーなの…。あのね?リリアおねえちゃま。また、あまいあめだしてほしーの」
「あ、あめ。これから朝食ですし、甘いモノは…」
「それもそうだな。口の中の味が甘いままだと、ヤサイの味が分からないかも知れないからな」
「うー…わかったの」
「じゃあ…冷めない内に頂きましょうかのぉ」
「「我らクレアツィオーネ神よ。此度の食事をありがとうございます」
エリックたちから遅れながらシルヴィアは「ありがとうなの」と舌足らずで言った。
(えっ?この世界って食事の際、この挨拶なんですか?)
耳打ちでペコラにリリアは尋ねた。
(そうさ。別にアンタはアンタでいいよ。無理に合わす必要はないさ)
「まずはこのスープから頂いてみましょうかのぉ」
「そうだな…」
マリウスに言われるまま、エリックは手前にある野菜たっぷりのミルクスープにスプーンで掬いながら、食べてみた。
だが、シルヴィアは警戒心が強く周りの反応を見てからのようで、口に入れようとしなかった。
「ん…こ、コレは………!」
「ど、どうですか?」
恐る恐るリリアは、エリックの反応に気になりながら聞いてみた。
「素晴らしい味だな。奥深い味だ…。今まで肉の丸焼きしかなかったが、昨日、リリアからもらったアメと同じく全くの別物だな」
「そうじゃな…。ヤサイがこれほどの味だったとはのぉ。草という概念しか無かったが、我が国でも育ててみるのも悪くないかも知れぬのぉ」
「そうですね。父上も食べてみてください。とても美味しいですよ」
「ホントー…?」
「ええ。少し熱いので、良くふぅーふぅーしてから食べてください」
「や、やっぱり…小さな子どものような」
「そう見えてしまうのは分かるけど、あたしらよりもサフィール様たちは何百倍も生きているよ」
「まあな…。気が付いたら、もうすぐ俺とシルヴィアは999歳だし」
「僕ももうすぐ984です」
「ワシはもう分からん。1万までは数えておったのじゃがのぉ…。それはそうと、シルヴィア様。スプーンは握り拳で持つモノではありませんぞ」
「うー…むずかしーの」
「今日ぐらいはいいじゃないか?また、癇癪を起こして無意識にしてしまったら…」
「………そうじゃな」
「で、でしたら…」
≪出でよ…矯正用のスプーン&フォーク≫
リリアはふと子どもの頃、使っていたモノを思い出しながら、召喚魔法で出してみた。

コレって子どもの頃、良く使わされたんだよね。
特に箸なんて10歳まで使っていたよ。

「はい。これを使ってみてください」
リリアはシルヴィアに渡しながら言った。
「どーやってちゅかうの?」
「コレはですね…」
(改めて見て思ったけど、シルヴィアちゃんって小さいね…)
「うー…もちにくいのー」
「シルちゃん。まずは指をここに置いてごらん」
「す、すみません」
「いやいや。気にしなくていい。それよりも朝早くからペコラと一緒に料理をさせてすまなかったな。人を雇えば楽になるだろうけど、生憎と今は国民の多くは病気で倒れてしまって余裕がないんだ…」
「後でどんな病気なのか教えてくださいね。医学は料理と違って全然ダメですけど」
「ああ。それよりも…このオレンジ色のヤツ。なかなか美味いな」
「あ、これはハッシュドポテトです。ぼく…じゃなかった。私、野菜料理の中で一番好きなんですよ」
「後は父上に持ち方を教えていくので、リリアも食べてくださいね。さっきから様子を見ているだけでしたから」
「あ、はい。お言葉に甘えて…」
(サフィールって人。シルヴィアちゃんの息子…なんですよね。なのに持ち方はちゃんとしているなんて…)
リリアは心の中で思いながら、言われるままにペコラと共に朝食を食べ始めたのである。
「これでいいかな…。じゃあ…シルちゃん。食べてごらん」
「うん…。あちゅ!ふぅーふぅー」
まだ多少なりとも持ち方は怪しいものの、シルヴィアはスープに口を含んだ。
「ど、どうかな?口に合うかな?」
「んー…!おいしーの。しゅっごくヤサイ、おいしーの」
「良かった…」
「そうさね。これからはヤサイを使った料理をしていこうかね」
だが、順調にスープを口にしていたシルヴィアは、マヨネーズソースの掛かったサラダである赤い野菜のパプリカとトマトを見て青ざめてしまった。
「どうした?シルちゃん」
「あかい…こわい…」
「父上…。大丈夫。大丈夫ですよ…」
「どうかしたんですか?」
「あ、ああ…。ちょっと…な。サフィール。いつものように頼んだぞ」
エリックはそう言うと、青ざめながら震えているシルヴィアを抱き上げると、テレポートでその場から掻き消えたのである。
「まだまだ時間は掛かりそうじゃのぉ…」
「そうだな。こればかりはゆっくりと時間を掛けるしか無いさ」
「す、すみません。私としたことがすっかりと忘れてしまって…」
「いや。別にペコラのせいじゃないさ。気にしなくていい」
「どういうことですか?シルヴィアさんは赤に反応していたみたいですけど?」
「あ、ああ…。今はこの場で話すような内容じゃないからな。それに後で用事に付き合ってくれないか?」
「用事…ですか?」
「ああ。別に大したことじゃないさ」
朝食を済ますと、リリアはエリックに連れられるまま、城下町へと共に向かったのである。




テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
  1. edit

剣と魔法と竜と異世界

  1. 2021.05.15(Sat) _10:46:54
  2. 剣と魔法と竜と異世界
<第3話>

「いつもすみません」
サフィールは、ペコラから水差しとタオルを用意されながら言った。

「別に構いませんよ。私としたことが、いつものように丸焼きを用意してしまったばかりに…」
「いえいえ。この国の食事はそれしか知られていないのだから仕方ありませんし…」

いつ、どこで、誰が、大国であるラグルスターン帝国との手引きで、国同士の裏切りがあるかも知れぬ他国との交流をここ900年以上持たず、この国で肉を使った料理といえば、シンプルに丸焼きしか知られていないが故に日に日に国は、病気で倒れる人間が増えて来ている現状を何とかしなければと常に思っているものの、なかなか上手くいかずにいるのであった。

「それですけど、サフィール王。今日は嬉しいお知らせがあるんですよ」
「何ですか?」
「実は今日、モーンストルムの森で、シルヴィア様を助けて下さったあのリリアという子はご存知ですよね」
「ええ。森で父上を助けて下さった子ですね」
「あの子、失われた魔法の一つ…召喚魔法を使えるんですよ。リリアが出してくれたこのチョウミリョウというモノで、いつもの丸焼きの肉に味変が出来ましてね」
「味変…?何ですか?」
「試しに少々ですが、お味見してみますか?」
「はい。では……………こ、これは。ち、父上。起きてください」
サフィールは味に興味を持ち、目を輝かせながら、眠っているシルヴィアを起こした。
「んー…?なに?フィー…ボク、ねむいのー…」
「父上。少々でいいので、これらを舐めて頂けませんか?」
「フィー…こわくない?」
「ええ、大丈夫。怖くありませんから」
「そうですよ。不安でしたら…このアルクスの苺にこの甘いサトウをお掛けしましょうか?」
只でさえ、甘いアルクスの苺を更に甘くしてあげようかとペコラは言った。
「うん。かけてほしーの」
甘いという言葉に弱いシルヴィアは、甘いモノに目がないことからサトウという調味料に興味を持ちながら言うと、ペコラはサトウをアルクスの苺に振り掛けたのである。
「では、食べてみてください」
「うん…!しゅっごいの!しゅごくあまくなったのー!」
「少しは元気が出たようですね。父上」
「うん!ボク、あまいのはだいしゅきなのー!ねー?コレなに?」
甘い以外に他の調味料があることにシルヴィアは気付いて言った。
「ええ。これはシオといって…」
「うええええええええん…!きちゅいの」
「あのリリアという子曰くシオは、塩辛い味だそうで、ほんの一振りと肉に掛けるだけで画期的だったんですよ」
「それは凄いですね。父上、大丈夫ですか?」
「ううー…だいじょーぶじゃないの…」
「少しシルヴィア様には、刺激が強かったみたいですね」
「うー…いろんなあじがありゅの…」
「そうですね。このチョウミリョウは我が国に役立ちそうですね」
「ええ。他にも色々とあるかも知れませんが、あのリリアという子は国の未来を変えてくれるかも知れませんね」
「うー…ねむいの………」
眠りの中に引き込まれそうになっている、シルヴィアは耐え切れず、うとうとすると、眠ってしまった。
「寝てしまいましたね…」
「無理もありませんよ。今朝は膨大な魔力を一気に放出してしまったのですから」
その小さな身体に溢れんばかりの魔力のキャパシティーを持つシルヴィアにサフィールはそう言いながら、そっと布団を掛け直したのである。
「では、夜分に失礼しました」
「いえいえ。いつも貴重なお時間に来て下さり、ありがとうございます」
「それとサフィール様。一応、今となってはもう王家は象徴的とはいえ、もっとラフな言葉遣いを為さって下さい。下々に示しが付きませんよ」
「そうは言ってもこれが素なので…」
「それでもです。幾らあなた様はシルヴィア様のクローンといえ、エリック様はこの国の未来を担う者なのですから」
「はぁ…分かりました。なるべく努力します。いえ、努力するよ」
「まあ、いいでしょう。では、お休みなさい」
水差しとタオルだけ置いたまま、ペコラは部屋を後にしたのである。

「もう少しラフな言葉遣い…か。そうは言われてもこれが素なんですよね」
どうすれば言葉遣いはラフでいられるのか、自分には分からなかったのである。先程の言葉遣いも国民の言葉を参考にして言ったに過ぎなかったのだった。



チュンチュン
小鳥の囀りと共に窓から明るい日差しが差し込み始めていた。

「んー!今日は始業式………ってそっか。ぼくは異世界に転移されたんだった」
リリアは伸び~と腕を伸ばしながら、辺りを見渡しながら呟いた。
「それにしても、この世界の人たちって…ぼくの髪とか目の色とか気にしていない感じだったなぁ」

何たってぼくは、生まれつきでプラチナブラウンの髪だし、目は青の右目に黒の左目というオッドアイなんだよね。
両親や兄貴たちは、黒髪だったし、黒目だけどさ。
ぼくだけだった。
いわゆる隔世遺伝ってヤツなのかなぁ。
ぼくには、祖父母はいなかったから分からないけど。
そのせいか、小学校の頃からさ?
目立つ容姿のせいで、イジメのターゲットに遭っていたんだよね。
高校の志望校は、何とか合格することは出来たんだけど、入学早々と異世界に転移って無いわー…。
それにしても、この世界の食事内容。
肉をただ単に焼いただけって…。野菜とか欲しいね。

コンコンッ…昨夜同様、ノックしながらペコラと名乗った女性は、部屋へと入って来たのである。

「おや?起きてたのかい?おはよう。リリア」
「あ、はい。おはようございます。え、えっと…確かペコラさんでしたよね」
「そうさ。それはそうと、ちょいと例の印を確認させて貰っていいかい?さすがにエリック様に確認させる訳にはいかないだろうし、同性ならいいさね?」
「え、えっと…確認って?」
「何、すぐに終わるさ。さあ、ローブを脱いでくれないかい?じゃないと分からないからね」

ペコラに言われるまま、ぼくは昨夜から羽織っている、白のローブを脱いだ。
昨夜、チラッと見たけれど、コレのことなのかな。とぼくは思った。

「じゃあ、失礼するさね………こ、コレは…!」
「ど、どうしたんですか!?ペコラさん」
「こ、コレは………エリック様の仰っていた通り、この世界に伝わる竜の印の一つ、金銀竜の印さね!」
「金銀竜の印…?何ですか?それ?」
「思っていた通りコレは失われた魔法の一つ、召喚の力を司る竜の印さ。とりあえず、もうローブは羽織っていいさね」
「へぇー…そうなんですか。召喚魔法ってこの世界では失われた魔法なんですか。異世界ならあるある魔法だと思っていたんですけど」
「あたしも詳しくは知らないんだけど、この世界には昔、竜が沢山いたらしく、竜たちの持つ魔法を何らかの形で封印され、何か切っ掛けに人間の中に竜の力を得るらしいのさ」
「そうなんですか。良く分からないけど」
「別に気にしなくていいさ。で、リリア。昨日のチョウミリョウというモノの使い方を教えてくれないさね?」
「使い方…ですか?いいですよ。それに肉以外も食べたいですし…」
「肉以外と言われても、この国は肉が特産みたいなモノで、肉の他はアルクスの苺だし、それ以外は無いんだけどねぇ…」
「そ、そうなんですか!?じゃあ、召喚魔法で簡単に調理出来そうな野菜を出していいですか?」
「ヤサイ?何だい?」
「まあ、実際に見た方が早いんで…」
≪出でよ…レタス&トマト≫
まさか、昨日から連発で召喚魔法を使うとは思いもしなかった。
オマケにイメージ通りって何!?って見事な魔法に自分でもビックリなんだよね。
「コレが…ヤサイかい?」
「あ、はい。他にもまだまだあるんですけど…」
「そ、そうなのかい。そ、そうだ!コレならシルヴィア様のお口に合うかも知れないさね」
「ど、どういうことですか?」
「シルヴィア様は酷く肉に関しては毛嫌いされていてね。ここ1000年近くもロクに食事を摂っていないんだよ」
「そ、それは…拙いね。食事はちゃんと摂らないと大きくならないでしょう」
「その通りさね。ただ、あの子はもう成長することはないんだけどね。3歳位の時に銀青竜の印に目覚められて以来、ずっとあの容姿を保っているそうだから」
「そ、そうなんですか。その竜の印に目覚めると、不老不死の呪いと同時にその竜の持つ力を使えるようになるってことなんですか?」
「そうさね。あたしは不老不死なんて好きじゃないんだけど、アンタのその召喚魔法は気に入ったさ。何たってシルヴィア様は消滅、エリック様に至っては破壊だからねぇ…。兄弟揃って物騒な印に目覚めてしまったモノだよ」
「確かに物騒ですね。破壊と消滅ってどう違うのか良く分かりませんけど」
「そうさね。それはそうと、さっきも言ったようにチョウミリョウの使い方を教えてくれるかい?この世界に来て早々と頼むモノではないんだけど」
「あ、はい。え、えっと…」
「台所に付いて来ておくれ」
ペコラに言われるまま、ぼくはスニーカーを履くと、城にある台所へと向かったのである。


「す、すっごい肉の量…」
台所には、一体、何kgあるんだろうと思いたくなる肉が並べられていた。
ペコラ曰くで、今はこの城で病気療養している国民は多く滞在していることから、ざっと千人の食事を用意しなければいけない状況ということであった。

「病気って何の病気なんですか?」
「それが良く分からないんだよ。ここ何百年も前から病気に倒れる人が増えてね。かくいうあたしも今は気力でカバーしている現状さ」
「そうなんですか。まあ、こう肉ばっかりだと栄養は偏るし、病気になっても可笑しくないかも知れませんね」
「そ、そうなのかい?」
「はい。でしたら、まだ時間はあります?」
「時間ならまだまだあるさ。何をするつもりだい?」
「はい。こうなったら、ぼくも余り料理ってのは得意じゃないんですが、本を見ながらであれば分かるかも知れないんで、野菜を使った料理を作ろうと思います」
ぼくはそう決めると、召喚魔法で良く読んでいた『料理パパ』全巻と野菜を召喚すると、すぐに出来る簡単な野菜料理を所々とペコラに聞かれながら、作り始めたのである。


テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
  1. edit

剣と魔法と竜と異世界

  1. 2021.05.07(Fri) _10:41:48
  2. 剣と魔法と竜と異世界
<第2話>

サフィールによって私室のベッドへと寝かされた、シルヴィアは未だ震えは治まらず、泣き崩れていた。

「ううぅー………ひっく…ひっく…こわいの…」
「大丈夫。大丈夫ですから…」

あの日のことを未だ忘れられず、深く心の闇へと引き摺っているシルヴィアにサフィールは呪文のように繰り返し言い続けていた。

「サフィール。シルヴィアの様子はどうだ?」
エリックは、これなら食べられるのではないかと思いながら、大好きなアルクスの苺を持って来たことから言った。
「…また、熱が出ています。この調子だと熱はもっと上がるかも知れません」
「そうか…。幾ら俺たちはある印のお蔭で何も食べなくても問題は無いとはいえ、食べられそうになったら、食べさせてやってくれ」
「はい。分かりました」
「シルヴィア…。お前の心の傷が少しでも癒える日が来るといいな」
エリックは、優しげにシルヴィアの頭を撫でながら呟くと、今日、城へと連れて来たリリアの様子を見るためにその場を静かに後にした。


「調味料を掛けるだけで、こんなにも味があるとはねぇ…」
「うん。まさか一振りするだけで、この味気ない肉にすんごく旨味が広がりましたね」
リリアとペコラは、一口サイズに切り分けた、丸焼きの肉に塩や胡椒、マヨネーズ、ポン酢等などと調味料を掛けながら言った。
「特にこの塩。いいさね。旨味が広がるさね。ラルク牛は本来、こんな味をしているのさね」
「塩は素材の旨味を引き立つ調味料って言われているんですよ。調理の仕方次第では、すんごく大事なんです。掛け過ぎは良くないんですけどね。それはそうと、かなり残しちゃってごめんなさい」
「別にいいさね。ついついとあたしとしたことが作り過ぎてしまうからね」
ペコラはそう言った途端、コンコンッと軽いノックと共に金髪に緑掛かった青い目のした青年が部屋に入って来たのである。
「なかなか話は弾んでいるようだな」
「こ、これはエリック様。大変失礼な所を…」
「いや。構わないさ。それよりも…これらは何だ?」
テーブルの上に見たことのない文字で書かれた、粉末の入れ物や液状の入れ物を見ながらエリックと呼ばれた青年は言った。
「これですか?これはさっきこのリリアが失われた魔法の一つである召喚魔法で出してくれたモノですよ」
「はい。この何とかの肉は味気ないモノだったので、私の世界にある調味料を出してみたんです」
「チョウミリョウ…?」
「はい。少し舐めてみますか?」
「あ、ああ………こ、これは………!」
ペコラに言われるまま、エリックは塩を少し舐めてみた。
「これは、不思議な味だな。今まで感じたことのない味だ」
「塩は海水で造るんですよ。海の水ってすんごく塩辛いから」
「「海の水…?」」
「えっ!?し、知らないんですか?え、えっと…」
「すまない。そういえば、名前は名乗っていなかったな。俺はエリック。エリック・R・マジックフォスターだ。マジックフォスター王国の国王代理だ」
「こ、国王代理…!?す、すみません」
「いや。気にしなくていいさ。国王代理といっても、この国は、今はもう王家は象徴でしかないからな…。それよりも、リリア…だったか。この世界へと転移させてすまなかった」
「て、転移…?ど、どういうことですか?」
「あ、ああ…。今朝、シルヴィアが魔力暴走してしまい、リアルティ・ワールドが消滅する寸前、ちょうど外にいたお前をこの世界に転移させたんだ」
「そ、そうなんですか。そ、その…リアルティ何とかって?」
「ああ…お前のいた世界だ。俺たちはそう呼んでいるだけだから」
「すまないね。あたしがいつものように食事を用意したばかりに…」
「いや。ペコラのせいじゃないさ。それよりもシルヴィアの看病をしてくれないか?また、熱を出したようだ」
「はい。分かりました」
ペコラはテーブルの上を片付けると、カートを押しながら部屋を後にしたのである。
「どうも俺は複数の相手を会話するのが苦手でな…」
「私もです」
「そうか。俺とお前は気が合いそうだな…。それはおいといて、お前は失われた魔法である召喚魔法を使うのだな」
「失われた魔法…?そういえば、さっきのペコラさんもそう言っていたような」
「ああ。この世界の魔法は、基本的に自然の源である精霊魔法と治療魔法の二つなんだが、印を持つ者は不老不死と共にこのような印を体のどこかに記されているんだ」
エリックはそう言いながら、額に金と赤に輝く竜みたいな印を浮かばせたのである。
「へ、へぇー…そうなんですか。印って言われても良く分からないし、何よりもこの世界に転移されるまで、魔法なんて使えなかったんですけど?」
「そうなのか?お前のいた世界では魔法が扱える時代になったのかと思っていたのだが」
「そう言われても魔法なんてアニメやゲームなんかの架空の世界だけだし、500年ぐらい前は魔女狩りとかあった時代みたいですけどね…」
「そうか…。というよりもそう言うしか出来ないんだよな。すまない」
「別にいいですよ。それに魔法が使える世界なら大歓迎でしたから。ぼくのいた世界なんて退屈でしかなかったし、学校にいたら、また、イジメ問題も遭っただろうし…」
何たってぼくの髪は、生まれた時からプラチナブラウンだし、目だってオッドアイの右は青、左は黒だから、絶対に容姿を理由に高校でもイジメのターゲットにされていたに違いないのだから…とリリアは思いながら言った。
「…色々と辛い思いをお前もして来たのだな。それにしても、お前のキャパシティーはあいつ並というよりも同じのようだな」
「キャパシティー…?」
「ああ。魔力の許容量さ。お前は魔力を制御したことは…」
「ありませんよ。というよりもさっきも言ったように魔法はこの世界に転移されて初めて使った訳ですし」
「だよな…。まあ、この世界の魔法は大体、イメージさえ掴むことが出来たら、誰でも出来るからな…」
「そうなんですか。だから…森でファイア・ボールを放った時、イメージ通りだったんですね」
「そういうことだ。そういえば、礼を言っていなかったな。モーンストルムの森で、シルヴィアを助けてくれてありがとう」
「いえいえ。いきなりとこの世界に転移されて早々、あのデカい犬に襲われそうになっていただけですから。アレ?森に会った時、髪色と目の色は違うような」
今を思い出せば、良く咄嗟に魔法なんて出来たモノだよね…とリリアは思った。
「ああ。森では印を使って捜していたからな。普段はこういう色なんだ。で、お前のいたモーンストルムの森は、日に日にモンスターが徘徊して危険な森になっているからな…。とんでもない場所に転移させてしまったな」
「ベ、別にいいですよ。こうして助かった訳ですし」
「それもそうだな…。どうやらお前は心配はいらないようだな。魔力の制御は出来ているようだ」
「そ、そうなんですか?出来ているって感じは無いけれど…」
「無意識か?だったら、制御をまず覚えた方が良さそうだな…。シルヴィアみたいになってもらったら困るからな」
「どういうことですか?」
「あ、ああ…。魔力の制御が出来なければ、下手したら、世界そのものを消滅させてしまう場合があるんだ。最も消滅魔法は、失われた魔法の一つで、シルヴィアの額に記されている、銀青竜の力しか持たないのだがな…」
「こ、怖いですね…。制御ってどうするんですか?」
「それはだな…」
エリックは、魔力の制御方法を言葉で説明するよりも、実際にした方が早いということから、まるで、それは、竜の七つの球のマンガに似た感じの気を抑えるみたいな方法で制御方法を伝えた。
「じゃあ…やってみな」
「は、はい…。あ・アレ?」
「アッサリだな。普段は今のキャパシティーに抑えておけばいい。じゃないと、身を滅ぼすことになり兼ねないからな…」
「そ、そうですね。ということは、その…シルヴィアという子は?」
「あ、ああ…。膨大過ぎる魔力を抑え切れず、毎日のように暴走を繰り返し、今朝は教育係のマリウスにきつく叱られて耐え切れずに魔力解放と同時に印の力を制御出来ないまま、消滅させてしまったんだ…」
「大変…ですね。何とか制御出来るといいですね」
「そうだな。アレコレ1000年近く掛かっているがな」
「1・1・1・1000年…!?」
「あー…俺とシルヴィアは今年で999歳なんだ。さっきも言ったようにこの印の呪いで、不老不死で死することが出来ないんだ。お前の体のどこかにある筈なんだが、後でペコラに頼むとしよう。今日の所はゆっくりとこの部屋で休んでくれ」
「は、はい。お休みなさい。そ、それと…これ」
リリアは召喚魔法で、シルヴィアが喜ぶであろう“イチゴ味の飴”をエリックに渡した。
「これは何だ?」
「飴です。シルヴィアちゃん…じゃなかった。シルヴィアさんは甘いモノが好きみたいなので…」
「ああ。あいつは無類の甘いモノ好きだからな。有り難く受け取っておくが、もう1個か2個…出してくれないか?この飴というモノ、俺も気になるんだが…」
「は、はい…」
リリアは言われるまま、更に召喚魔法で、まとめて30個入りのイチゴ味の飴を出したのである。
「ありがとう。この世界は甘い以外の味は無いからな。お前のそのチョウミリョウというのは、この世界を…この国の食事情を変えていく手助けになるかも知れないな」
エリックは改めて礼を言うと、テレポート魔法で部屋から掻き消えたのだった。


「それにしても…印って?体のどこかにあるって言っていたけれど………って何コレ!?」

部屋に一人残されたリリアは、エリックに言われた印が気になりながら、右胸に金と銀に輝く竜みたいな印が輝いたかと思ったら、徐々に輝きは薄れ、記された印は薄くなったのである。

「もしかして…コレのことだよね。とりあえず、今日の所は寝よう。色々と疲れたし…」
リリアは呟くように言うと、ランタンの明かりを消すと眠りの中に落ちていったのである。



テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
  1. edit

剣と魔法と竜と異世界

  1. 2021.05.07(Fri) _10:40:44
  2. 剣と魔法と竜と異世界
<第1話>

「うー…こ・ここは?」


気が付くとぼくは、とある部屋のベッドへと寝かされていた。
えっと…確かさ?
あのシルヴィアと名乗った子と一緒に森の中にいて、その時、目の前にいた超巨大な犬に襲われそうになった所で魔法を放って、それから…あー…頭がゴチャゴチャして来た。


「というよりもさ?あのシルヴィアという子…父上って呼ばれていたような。どう見てもさ?あの子…女の子だったような。うーん。ここはいわゆるさ?異世界…だからなのかぁ」


そうぼくは、独り言のようにぶつぶつと呟いていると、コンコンッと軽いノックと共にカートを押しながら、ふくよかな体格の40代半ばの茶髪女性が中へと入って来たのである。


「おや?気が付いたかい?娘さん」
女性はカートを押しながら、テーブルの上に手際良くと、どこからどう見ても肉を焼いただけのお皿を並べながら言った。
「は、はい。あ・アレ?ぼくが着ていた制服は…?」
見れば、ぼくは白のローブを着せられていたことに気付いた。
「あー…すまないね。汚れていたから洗おうとしたんだけどねぇ…」
「う、うわ…な・何かすっごくボロボロ…」
「そうなんだよ。あの子…じゃなかった。あの方が『ボクもてちゅだうのー』って言い出してね…」
「そ、それで…ボロボロになったってことなんですね」
「そうなんだよ。それにこういうことをするような身分じゃないんだけどねぇ…」
「そうなんですか」
「まあ、それは一先ずおいといて…お腹、空いてるだろう?」
「そういえば、朝、家を出てから何も食べていないや…」
「そうだろうと思ってたくさん食べるといいさね」
「は、はい………って肉だけなんですか?」
「そうだよ。それ以外に何かあるかい?」
「い、いえ…」
(つーか。この世界って肉しかないの?あのシルヴィアって子が言っていた、何とかの苺って気になっていたんだけどなぁ…。仕方ないといえば仕方ないか)





一方、王家専用のホールで、また、今日で三度目としてシルヴィアは泣き出しそうになっていた。

「シルヴィア様。また、やらかしてしまいましたな…」
シルヴィアの教育係であると同時に仙人の白髭を蓄えた、白髪の老人は言った。

「ごめんなちゃいなの…」
「謝って済む問題ではないのですぞ。今回の件で何十億という犠牲が出たことか…。いや、それだけでは済まないのですぞ…」
「ううー…」
「もうこの辺にしてくれないか?マリウス。シルちゃん…いや。フリックは疲れているんだ」

膨大な魔力を制御しなければ、意図も簡単に全世界は消滅し兼ねないことから、日に日に制御に疲弊しているシルヴィアを見ていられないが故にシルヴィアの双子の兄であるエリックは言ったのである。

只でさえ、いつも、シルヴィアの額に身に付けていたサークレットは、膨大な魔力を制御し切れず、水晶玉にまた、少しヒビが出来ていたのであった

「フリィ…じゃないもん…ひっく…ひっく…」
成人名である「フリック」と呼ばれることにシルヴィアは嫌っているが故にサフィールにしがみ付きながら、泣き崩れそうになってしまった。

「ご、ごめん。シルちゃん…」
「全く…シルヴィア様はいつまで経ってもまだまだ子どもじゃな…。さて、今日の所はこの辺にしておかないと食事は冷めてしまいますな。話は明日にしようかの」
そう老人は言うと、メイドたちはテーブルの上にお皿を並べ始めたのだった。

「きょーも…おにくなの」
毎日、ただ単に焼いただけの肉が盛られたお皿を見ながら、シルヴィアは目に涙が今にも落ちそうになりながら、小さく言った。
「そうは言っても…肉以外だとシルちゃんの大好きなアルクスの苺しかないのだから仕方ないだろう?」
「うー…きょーね?もりでたしゅけてくれたリリアおねえちゃまは、しゅっごくあまくておいしーあめをもっていたのー」
「森と言いますと…またですかな!?シルヴィア様」
「だ、だって…アルクシュのイチゴ、おいしーの」
「あれ程、森は…モーンストルムの森は…危険だといつも言っておるじゃろう。それに、帝国の人間に見付かりもしたら…」
「つぅ……………」
「マリウス様。もうこの辺にしてくれませんか?父上、大丈夫ですから…大丈夫」
帝国という言葉にシルヴィアの中で、トラウマのあのことが脳裏に駆け巡ってしまい、震えが治まらないシルヴィアをサフィールは、そっと優しげに抱き締めながら言った。
「サフィール。すまないが、シルちゃんを部屋に行って休ませてやってくれ」
「はい。分かりました…」
これ以上は酷だとエリックは判断すると、サフィールは未だ震えが治まらないシルヴィアを抱き上げると、テレポート魔法でホールを後にしたのである。

「すまぬことをしたのぉ…」
「マリウスもお互い様だと思うがな…。フリックにはあの話は酷だ…」
味付けも何もされていない肉を一口に切り分けながら、エリックは口に運びつつ言った。
「…そうじゃな。それはそうと…リリアというのは?」
「あ、ああ。リアル・ワールドの消滅寸前、俺がこの世界へと転移させた異世界人だ。どうやらシルヴィアはそのリリアという子から“あめ”という丸いモノを貰ったらしい…」
「異世界人…か。実に500年振りじゃな…」
「ああ。500年前はまだ、異世界人は魔法なんて使えない人間だったんだが、いつの間にこちらと同じ魔法を使う異世界人も増えたんだな…」
「そうじゃのぉ…。それはそうと、そのリリアという者はどうしておるんじゃ?」
「どうやらテレポート酔いしたみたいで、部屋で休ませているが。世話の方はペコラに頼んでいるし」
「そうか。エリック様はどう為さるつもりですかのぉ?」
「さあな…。まだ考えていないが、もし、食事情の改善が出来るのならば、あのリリアという者に生活と身の安全を与えるつもりだ。何たって異世界人は、帝国に狙われているからな…」
「そうじゃのぉ…。シルヴィア様のこともありますからのぉ…改善が出来るといいのぉ」
マリウスもまた、一刻も早く食事情を改善が出来るのならばと思いながら、陰ながら異世界人であるリリアに協力しようではないかと言ったのである。
「まあ…それはリリア次第ということだが。無理に強制はしたくないからな…」
「そうさのぉ。シルヴィア様のように暴走されては困りますからのぉ…」



一方、肉の丸焼きをテーブルの上に用意されたリリアは、疲弊していた。
何たって肉に何も味付けは、全くされていないのだから。

「あ、あの…」
「ん?何だい?」
「調味料…ってあります?塩とかマヨネーズとか」
「それは何だい?初めて聞いたんだけど」
「えっ!?そ、そうなんですか?食べ物に味を付けるモノですよ。だ、だって…このお肉。何も味がしないというか、まるで味が無くなったしないガムを食べているような感覚だから」
「味がしないと言われても、他に味というのは…シルヴィア様の大好きなアルクスの苺だけなんだけどねぇ」
「そ、そうなんですか!?その…アルクスの苺って?」
「モーンストルムの森で採れる、虹色に輝く苺さ。凄く甘いんだよ」
「へ、へぇー…甘味はあるのに、他の味が無いのは勿体ないですね」
「そうなのかい?あたしは生まれてからずっと、この肉とアルクスの苺の味しか知らないからねぇ」
「な、何だかそれはちょっと…食の楽しみがないですね。じゃ、じゃあ…試しにちょっとやってみたいことをしていいですか?」
(何たって森でファイア・ボールが出来たってことはさ?召喚魔法も出来るんじゃね?どこから召喚されるのか分からないけど、試してみなければ始まらないし)
「試してみたいことかい?いいさ。やってみるといいさね」
「は、はい。お言葉に甘えて…」
≪出でよ…調味料セット≫
ポンッ!と軽い音と共にテーブルの上にイメージした調味料が出現したのである。
「う、嘘…マジ!?マジで出た」
「こ、これは…失われた魔法かい!?」
「失われた魔法…?と、とりあえず、掛けてみていいかな?」
「いいよ。あたしもそういえば、夕飯はまだだし、一緒にしていいかい?」
「いいですよ。そういえば、お名前…聞いていませんでしたね。ぼく…じゃなかった。私はリリア。本村リリアです」
「そうだったね。リリアと言うのかい。あたしはペコラ。ペコラ・シアールさ。ここマジックフォスター王国の城でメイド長をしている者さ」
お互いに漸くと、自己紹介する機会を得ると、改めて、夕飯を再開することになったのである。



テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
  1. edit

剣と魔法と竜と異世界-キャラクター設定-

  1. 2020.12.29(Tue) _11:44:06
  2. 剣と魔法と竜と異世界
名前:本村リリア
性別:女
年齢:15歳
身長:155cm
髪の色:プラチナブラウン
目の色:オッドアイ(右は青、左は黒)
好きなモノ:キノコ
苦手なモノ:虫
設定:春から高校生になったばかりだったのだが、世界消滅する寸前、異世界へと転移してしまった少女。ごく普通の女子高生の筈だったのだが、イメージするだけで魔法を扱うことが出来るが故に召喚魔法の使い手と呼ばれていた、リリアルドの持つ金銀竜の印に目覚めてしまい、失われた魔法である召喚魔法を用いながら、異世界の事情に巻き込まれていく。

名前:フリック・S・マジックフォスター
性別:男
年齢:999歳
身長:85cm
髪の色:青のグラデーションの掛かった銀髪
目の色:青色
好きなモノ:アルクスの苺、甘いモノ
苦手なモノ:肉、虫
設定:3歳の時、額に消滅魔法の使い手と呼ばれていた、シルヴィーナの銀青竜の印に目覚めて以来、ずっと同じ容姿を保っている。それ故に膨大な魔力は制御出来ず、度々と癇癪を起こす度、失われた魔法を使ってしまい、リリアのいた世界を消滅させてしまった張本人である。甘いモノに目が無く、リリアに懐いている。過去に心に深い傷を負い、それ故に黒と帝国という言葉に恐怖する。

名前:サフィール・E・マジックフォスター
性別:男
年齢:984歳
身長:180cm
髪の色:青のグラデーションの掛かった銀髪(普段は金髪)
目の色:青色(普段は碧眼)
好きなモノ:甘いモノ
苦手なモノ:なし
設定:シルヴィアの血と創造魔法で造られたクローンで、マジックフォスター王国で国王として君臨しているものの、王国は今となっては形だけという存在であるが故に数年前から病気で倒れた国民を療養させている。シルヴィアのクローンのため、シルヴィアと同じ銀青竜の印を持つが、シルヴィアと違い、膨大な魔力は制御していることから、消滅魔法を使うことはない。

名前:エリック・R・マジックフォスター
性別:男
年齢:999歳
身長:185cm
髪の色:赤のグラデーションの掛かった金髪(普段は金髪)
目の色:赤色(普段は碧眼)
好きなモノ:辛いモノ
苦手なモノ:なし
設定:シルヴィアの双子の兄で、シルヴィアを守りたいという思いから、額に破壊魔法の使い手と呼ばれていた、レイグルスの金赤竜の印に目覚めて以来、18歳の容姿を保っている。普段は国王代理だが、今は形だけの存在で、リリアの持つ召喚魔法に興味を持ち、異世界の事情に巻き込んでいく。因みにリリアのいた世界がシルヴィアによって消滅させられてしまう寸前、リリアを異世界へと転移させた張本人である。

名前:ペコラ・シアール
性別:女
年齢:46歳
身長:165cm
髪の色:茶髪
目の色:茶髪
好きなモノ:野菜
苦手なモノ:なし
設定:マジックフォスター王国に代々とメイド長として勤めている、メイド長。国の料理番として1000人超の人数分を作っていたが、国で採れる食材は肉だけだったことから、いつも丸焼きしか出していなかったものの、リリアの召喚魔法で、様々な料理があることを知り、メキメキと料理の腕を上げていく。



テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
  1. edit

05  « 2022_06 »  07

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

プロフィール

蒼樹 煉

Author:蒼樹 煉





現在の閲覧者数:
























アフィリエイトのアクセストレード

カプセルサラダ

スピラティー

天然水のウォーターワン

【AT独占】【プレミアムメンズ青汁】

Locca



ゼクシィ縁結びエージェント

スマホの結婚相談所【naco-do】

価格.com 自動車保険

楽天西友ネットスーパー

自然派スキンケア・エイジングケアの通販サイト【豆腐の盛田屋】

株式会社ニチレイフーズ

【中古車のガリバー】在庫検索

セシール-ハロウィーンルーレット

検索フォーム

最新コメント




PAGE
TOP.