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折角なので、異世界に転生してみました。

  1. 2021.01.04(Mon) _14:06:06
  2. 折角なので、異世界に転生してみました。
<第26話>

「んー…キノコ効果で少し体重は落ちたかな」
浴場に体重計を設置した、ノアは体重を見ながら言った。
「あたしも2日で2kg落ちたよ。やっぱり、キノコ様々だね」
「そうだね。キノコってホントーに魔性の食べ物だけど」
「うんうん。今まで丸焼きしか知らなかったけど、色んな調理法があるんだと初めて知ったよ」
「そりゃー…ぼくのいた世界は、キノコだけじゃなく他にも数え切れない料理はあるからね。最も殆どぼくの場合は病院食ばっかりだったけど」
「ホント…ノアのいた世界って羨ましいなぁ」
「なんで?魔法は使えないよ?序でに剣とかの特技もだけど」
「そういう意味じゃないって。ノアったら、乙女心は余り分からないの?」
「お・乙女心…!?そ・そういうのは、余り興味が無いかなぁ」
「それもそうだよね。ノアったら、自分のことを男の子みたいに“ぼく”って言ってるし、そうだよね」
「だって…女だから女らしくって嫌だもん。母さんにも言われたけど、自分らしく生きたいし、何よりもぼくにとってこの世界は第二の人生だからさ」
「そっか…そうだよね。ごめん…。でも、あたしの言う乙女心ってのはさ?ノアのいた世界って食べ物豊富なんでしょ?それが羨ましいなと思っただけなんだ」
「そ・そうなんだ。ってかそれ…乙女心じゃなくて食い気じゃん。乙女心じゃないし」
「確かにそうかも…。じゃあ、そろそろ行こっか」
「そうだね。キノコドリアだから…ちょっとカロリーが気になる所だけど…」
ノアとフィーネは、真新しい服に身を通すとすっかりと指定席と化している、テーブルへと向かったのだった。





「随分とボロボロだな…」
使いの男たちは、身も心もズタズタに穢されている、セーラとジェシカを見ながら言った。
「まあ、当然といえば当然だな。とりあえず………死んではいないな」
男は2人の鼓動を確認しながら言うと、馬車へと乗り込ませた。
「しかし…これはまた、開いたモノだな…」
「そうだな。一応は聖女様だ。清めたらまた、いつもの楽しい時間だ」
男たちの会話を聞きながら、セーラは弱々しく念を送るものの、余りにも微弱過ぎて表側の世界にいるノアの元まで念が届かなかったのである。

クレセディア・オールネンス王朝内のとある塔へと気が付いたばかりのセーラとジェシカに首輪を付けると、男たちは無理矢理にでも歩かせたのだ。
「ううぅ………」
「おらっ…!サッサと歩け。日が暮れちまうぞ」
男はぐいっと首輪のベルトを引っ張りながら、何とか塔へと入れるとすぐに男たちのエキスと自身の血で汚れた、2人の体を清めたのである。

「こうして見ると…実に綺麗な体だな」
辛うじて臍が隠れるぐらいの極薄のローブに身を纏った、セーラとジェシカを見ながら男たちは塔の広場へと連れ出すなり言った。

だが、セーラとジェシカは、何も言わなかった。
何を言ったところで、また、結果的にそれは目に見えているのだから。
それに微弱ながらも2人は、ノアに念を送り続けていた。
微弱でもそれは、信じる心は強くなるとノアに言われたことがあったから。

「どうした?この前のような捌け口は言わないのか?」
「まあいいじゃないか。無駄だと分かったんだろう」
「それもそうだな。さて…そろそろ始めるか」
その男の言葉で、セーラとジェシカは、僅かながらビクリと体を震わせている中、2人の真後ろに2本の棒が出現したのである。
「つぅ…!」
上へと一纏めに両腕を上げられ、セーラとジェシカは、思わずと苦痛の声を上げてしまった。
ガチリと両腕を枷で戒められてしまい、両足は目一杯と広げられながら、重石の付いた枷で足首を取り付けられたのだった。
「本当にお前たちは恥ずかしいと思わないのか…」
「まあまあ…そうさせているのは俺たちだし、騙されたこいつらが悪いんだからさ」
「そうだな。聖女として耐え抜いた女は勇者と共に大魔王討伐に出向くと表側にはそう伝わっているだろうけどな」

そう、それはここに来てすぐにその事実をセーラとジェシカは知ったのだ。
ここから抜け出そうと思っても、ここは世界の裏側。
どうやって表側に逃げることが出来るのか分からないが、念を飛ばすことが出来る以上、表側の世界にいる、超絶した力を持つノアならば、きっと…と信じ続けていた。
でも、だんだんと疲れて来ていた。
ひょっとしたら、ノアは、忘れているんじゃないかと思い始めてしまっていた。
だけど、諦める訳にはいかない。
何をされても、絶対に…!
表側に戻るんだと決意を固めながら、微弱でありながらも念を送り続けた。





「はぁ~…幸せだなぁ」
ノアは、もふもふとキノコのドリアを食べながら言った。
「いやー…こんなにもキノコが美味いもんとはなぁ。今までなんで知らなかったんだ…俺」
「すっかりとキノコの虜だね。カイン」
「ああ。そういえば、キノコ採取の後はノアっていつもどこかに出掛けてるけど、どこに行っているんだ?」
「ん?魔法広場だよ」
「そこでノアさ?未来の勇者様に魔法を教えてるんだよ。先生って呼ばれているんだ」
「先生って柄じゃないんだけどね…」
「そうだよな。ノアって先生って柄じゃないよな。でもさ…その勇者には一刻も早く魔法を覚えて、王朝で3年間修行を受けてる聖女様と一緒に大魔王ダン・ヴァルトークを倒して欲しいモノだな…」
「そ・そうだね…」
本当のことは話そうかどうか悩む所だが、今はこの場で話すのは気まずいが故にノアは言えなかったのである。

だって…折角のキノコドリアの味とか台無しになってしまうんだもん。
この味をセーラに食べさせてあげたいなぁ…。
僅かながらとノアは、セーラに『セーラ…』と言葉を心にしながら、念は届くかどうか試してみた。
とてつもなく強い念だと、世界の裏側である異次元は開くとはいえ、セーラの元へと必ずしも届くとは思えないからだった。




(ノア…?ノアなのね…や・やっと…届いたのね…)
(うん。ごめんね…セーラ。セーラの念はすぐに気付いたけど…世界の裏側で酷い目に遭っていることを知ったのに…念を…全然…返せなくて…というよりも…返し方が分からなかったんだ…)
(う・ううん…いいの…。こうして…やっと…念を通して…ノアと会話を返すことが出来るのね…)
(うん。でも…セーラの強い念がないと…こちら側から強い念を通して…セーラのいる場所に異次元を開けることが出来ないんだ。強い念を先に送ると…異次元に色んな障害が起きるみたいなんだ…)
(いいの…。私…ジェシカと…一緒に………耐えているから…)
(じぇ・ジェシカも…一緒にいるの…?)
(ええ………ごめん………なさい………今日は…もう…念を送る…ことが…出来そうにない…あうぅっ…!)
(せ・セーラ…?セーラ…!?)

やっと念を通して会話が出来たと思ったのに、セーラの身には、今はとてつもなく酷いことを起きているのだとノアは、改めて知ったのである。

「ん?ノア?どうしたの?折角のドリアが冷めちゃうよ?」
フィーネは、思わずとフォークを持つ手が止まったノアが気になって言った。
「あっ…!ごめん。うっかりと念でセーラと会話しちゃっていたみたい」
「そ・そんなことも出来るのか。ノア。さすがはチートだな」
「んー…さっき偶然、出来るようになっただけだけど?」
「そ・そうか。それにしても、大魔王ダン・ヴァルトークが復活したという割には、静かだな」
「そうなの?カインはぼくよりも2つ上だから2回目なんじゃないの?」
「そうなんだけど、俺、2歳の頃は余り覚えてねぇよ」
「あたしも1歳だったから分からないかなぁ」
「そっか。そうだよね。普通は覚えていないか…」
「俺は覚えているぞ。ノア」
トーヴィックは、空いた食器を片付けながら言った。
「じゃあ…教えて。本当に大魔王ダン・ヴァルトークがこの世界を攻めたのかどうか」
「ああ。実はな…何も無かった。復活した年には毎年20人前後の聖女が各地で裏側にある王朝に連れて行かれるけど、大魔王ダン・ヴァルトークってその3年間に魔王軍とか結成するのかと思ったら、何も無かったなぁ」
「そうそう。何もして来なかったさね。フラッとやって来たけど、普通に食事をしただけだったさね」
「ま・マジかよ。聞いてた話と全然違うじゃねーか」
「そうなんだよ。大魔王ダン・ヴァルトークって意外と平穏が好きみたいだったし、お金払いが実にいい客だったな」
「そうさね。過去に2回程見てるけど、悪い魔王じゃなかったさね」
「やっぱり、ゼティス様の言っていた通りなんだ…」
「勝手に大魔王として恐れられていただけだったんだな。何も恐れる必要はないのか」
「そういうことさ。今回もそんな感じだと思うぜ。テキトーに飯を食いに来るだけかもな」
「ということは、このことについて勇者を目指すリオンに話すべきなのかなぁ」
「それはやめておけ。今じゃ勇者の家系は根性無しだからな…。俺の先祖は勇者一行のパーティーとしてかつては大魔王と戦ったが、あの頃の勇者たちは強かった。光魔法を使いこなし、大魔王の悪を完全に浄化してしまったからな」
「そうなんだ。で、トーヴィックさんは速さだけ受け継いでるって聞いたんだけど」
「ああ。何たって俺のご先祖様は盗賊だったからな。速さだけは取り得だったからな」
「だから…速さだけ9京ステータスなんだ」
「そういうこった」
トーヴィックはそう言いながら、食器を持って台所へと戻ったのである。
「はぁ~…京単位って俺の何倍なんだか」
「んー?解析してみる?」
「お・おう。頼むぜ」
ノアはカインに分かるように頭にカインのステータスを数値化で表示させたのである。

<カインのステータス>
レベル:22
HP:85500
MP:1050
攻撃力:5680
魔法力:5500
防御力:5250
魔法防御:5350
敏捷性:5000
器用さ:4950
魔法:水魔法(Lv2)・風魔法(Lv3)
特技:空破斬、海破斬
その他:なし

「こうして見て見ると、ギルドランクの基準って良く分からない…」
「そういえば、そうだな。俺よりも魔法の種類が多いフィーネはCの割だが、俺はAだからな」
「んー…種類多いっていっても2ヶ月前と今は違うと思うけど」
「そうそう。きっとフィーネは冒険に出たことから自然と身に付いただけだと思う。カインは元から街の外に出ていたからじゃない?多分だけど」
「そうだな。俺は11の時からたまに街の外に出ていたからな」
「ぼくは3歳の時から父さんにアレコレと修行を受ける序でに登録したんだよね」
「ホント…早いな。ってことは…ギルドランクの基準は能力値+登録歴なのか」
「うーん。そんなことはないと思う。だって…今年登録したばかりのフィーネがCだよ?」
「それもそっか。とりあえず、気にしても無駄かも知れないな」
「そうかもね。じゃあ…ぼくはそろそろ部屋に戻るよ」
ノアはそう言いながら、歩いて部屋に戻る気力がないが故に瞬間移動魔法でその場から掻き消えたのだった。

「あいつ…なんか隠しているよな。セーラという子に念を送って何か遭ったのか?」
「う・うん。実はさ…」
フィーネは他に誰もいないことを確認すると、ノアが悩んでいることをカインに打ち明けたのだった。
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テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
  1. edit

折角なので、異世界に転生してみました。

  1. 2021.01.04(Mon) _14:03:47
  2. 折角なので、異世界に転生してみました。
<第25話>

「じゃあな…。俺たちは毎回とお前たちの相手をしてやる訳にはいかないからな」
「それにここ王朝には、何万、いや何十万の男がいる」
「じっくりとお相手してもらうんだな…」

男たちは、バケツ一杯に入った液体と柄杓をセーラとジェシカの隣に置きながら言うと、その場を後にしたのである。
だが、セーラとジェシカは、男の言葉に耳が入らず、ヒクヒクと中心は息衝いたまま、意識を手放していた。

その日の夕方、漸くとセーラとジェシカは気が付いた。

「せ・セーラ…だ・大丈夫…?」
「だ・大丈夫…じゃないわ…。そ・それぐらい…見て…わ・分かる…でしょ…?」
「そ・それも…そう…ですわね…ごめんなさい…」
「い・いいのよ…ジェシカ………はぁ……はぁ……う・うぅ…」
セーラは、付けられている、そのグロテスクなモノによる重みで更に苦しめていた。
「セーラ………こ・この状況で…今は…無理かも…知れないけど…聞いて…くれるかしら…?」
「な・何…?ジェシカ………」
「こ・ここから…わ・私と…出ない?じ・自由になった…隙に…に・逃げるのよ…」
「そ・そうね…わ・私…が・頑張って…ノアに…念を送るわ…今までも…念を送って…いたの…。気付いて…くれていると…思うけれど…む・向こうから…念が…返って来た時…どこかで…異空間が…開くと思うの…」
「そこを…と・飛び込めば…き・きっと…」
「え・ええ…そ・その先に………ノアが…いるわ…」
僅かな希望を元に今は負ける訳にはいかないことを決意した途端、聞いたことのない男たちの声が聞こえ出したのである。


(おいおい…アレを見ろよ)
(ああ…。例の聖女という言葉に騙されていた女だよな)
(どうするよ?ヤッチまうか?)
(これを見て興奮しない男はいないだろ?)
お互いに膨れ上がりながら、甲冑を身に付けている男たちは、セーラとジェシカの元へと近付いた。
「へぇー…見れば絶世の美少女2人じゃないか」
顔だけは暴行を受けられずにいた、セーラとジェシカの顔を見ながら、男たちはにやにやしつつ言った。
「それに…さすがは使いの男たちだな。既に下準備だけはしてくれている」
「でもよ…。コレはちょいとやり過ぎだけど、まあ、俺も人のことは言えないんだけどよ」
「確かに俺も人のことは言える立場じゃないな。夜になって更に増えるまでに頂くとするかな」
男たちはそう言いながら、バケツに入っている柄杓を使ってセーラとジェシカに液体を掛けたのである。
「つぅ…ううぅ………!」
「な・何…で・すの……」
液体を体全体に掛けられ、体は火照るように瞬時に熱くなり始めてしまい、更に下半身の中心はヒクヒクとしてしまったのである。
「イイ声を聴かせてくれよ…」
「俺はこっちの女だ…」
男たちは、甲冑したまま膨れ上がった男の相棒を、セーラとジェシカのモノが突き刺さっている中心にあてながら言った。
「ひっ…」
「ううぅ…!」
散々と男たちに突っ込まれても尚、一向に慣れないその痛みにセーラとジェシカは、嬌声に似た呻き声を上げる。
「さあ…一気に行くぞ」
男たちは、セーラとジェシカの腰を両手で掴みながら、あてているそれを一気に深々と貫いたのである。
「「いやあああああああああああ………ああああああああ……!!!!!!」」
甲冑のゴツゴツした感触にセーラとジェシカは、悲鳴を揃って上げる。
「イイ声だな…ほら入れるぞ」
ここ連日の警備で欲求が溜まっていた男たちは、並々と男のエキスをドクドクと射出したのである。
「ひっ…!いやああああああ…ああああああ…!!!!!」
「ふぅ…。スッキリした」
「また、頼むぜ」
男たちはそう言うと、任されている警備の場所へと戻ったのである。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「い・いつまで…されるの…かしら…」
「わ・分からない…わ………!」
ジェシカの問い掛けにセーラは何とか応えるものの、先程の悲鳴をどこかで聞いていた男がまた現れると、いきなりと前触れもないまま、セーラの中心に突き上げたのである。
「おっと…お喋りしている暇は無いぜ?」
「そうそう。使いの男たちから十分にするようにと言われたからな」
「何たってアンタらは、魔剣か聖剣を生み出すための道具にしか過ぎない訳だし」
「なーに。コレが済んだら、ご褒美やるからさ」
男たちは、代わり代わりに突き上げながら、長い長い夜が明けたのだった。

「さてと…ちゃんとご褒美をやらないとなぁ」
殆ど意識のないセーラを見ながら男は、ガチャリと取り付けられている、そのグロテスクなモノを外すと、先日の男よりももっと強い水魔法を唱え始めた。

「ここに水の上位精霊を借り、この技を為す………セヴェス・シャイン・オブ・クライン」
男は、ヒクヒクと息衝きながら、注ぎ切れなかった男のエキスが溢れ出している、セーラの蕾に第7による水魔法の上位である氷の塊を並々と放ったのである。
「こっちの女にもしておけよ」
「へいへい」
男は言われるままにジェシカにも同じように施すと、両膝の枷を外すと共に男たちはその場を後にしたのだった。





一方、エルフィード王国の首都エルフィンドにいるノアは、今は再びと全知全能の神ゼティスの元へと訪れていた。

「ふあぁぁぁ…眠い♪また来たのねん…♪ノア」
「は・はい」
色々と今はすることはあるものの、一番の目的のためにノアは朝早くに訪れたのである。
「既に聞きたいことはご存知かと思いますが、セーラのいる裏側の世界から念は届くということは、こちらから念を送ることは可能なのでしょうか?」
「うん♪可能なのねん♪」
「じゃあ…その念ってどのようにして出せばいいのでしょうか?」
「んー…『ここにいるよ!』とかで強い念を送ることね♪ただそれだけなのねん♪でも、ノアの場合は念を送ると異次元が開く可能性があるのねん♪」
「異次元?じゃあ…その異次元に飛び込めば、セーラの元へと行くことが出来るんですか?」
「無理なのねん♪異次元は裏側の世界で、あちら側はゴチャゴチャしているのねん♪何が待っているのか分からないのねん♪でも、強い念が届いた時、その瞬間だけを強く強く強く念じたら、向こうに繋がるかも知れないのねん♪」
「そう…ですか。やってみます」
「ここではやめてなのねん?ノアの念次第では神殿が壊れるのねん」
「は・はい。分かりました」
「それとなのねん?あの子………ノアの想像している以上にヤバい状況になっているかも知れないのねん。早く…助けてあげてね…。向こうから念が届いた瞬間に念を送るといいのねん…。序でに男たちも来るかも知れないけどねん…。それと大魔王ダン・ヴァルトークは意外と変な人かもなのねん?」
ゼティスはアドバイスすると、ノアは宿屋の方へと戻ったのである。

「念を強く…か」
宿屋の部屋へと戻り、ノアはベッドに座りながら呟いた。
隣のベッドでは、フィーネは静かにまだ眠っていたのである。
今は向こうからの念は途切れているが故に念が届いた瞬間に一か八かで、とてつもなく強く念を入れようとノアは決意したのである。





「ったく本当は突っ込んでやりたいけどよ?こいつで我慢しろよ?」
朝日が昇り始めた頃、セーラとジェシカは四つん這いにされながら、男たちの相棒の相手をさせられていた。
「んんっ…!んんんー………!」
「涙が出る程に美味いってか?ほら…たっぷりと飲みな」
男はそう言いながら、並々と吐き出せない程の生温かいエキスを吐き出す。
「「んんんっーーーーーーーーー!!!!」」
慣れることがないその行為を毎日のように続けられ、漸くと2人には束の間による休息が与えられるものの、意識を失ったセーラとジェシカには殆ど意味が為さなかったのである。






ノアはいつものようにフィーネと共にキノコ狩りを終えると、今日はリオンの魔法の相手をするために広場へと午後は向かった。

「宜しくお願いします、ノア先生!」
リオンはノアが来た途端、礼をしながら言った。
「せ・先生はいいよ。それに敬語もいらないって言ったじゃん」
「で・でも、この前のノア先生…いえ、ノアのあの凄い魔法を見たら…やっぱり…先生って呼んだ方がいいかと…タメも失礼じゃないかなと思っただけです」
「はぁ…分かったよ。もう…好きに呼んで」
「はい!では、僕に出来る魔法を教えてください」
「じゃあ…ホントーに君の今のレベルに合わせて簡単な魔法を考えてみたからね」
そう、昨日はアレコレソレドレと考え抜いた結果、思い付いた魔法があったのだ。
「は・はい!何でしょうか?ノア先生」
「今から見本を見せるから、多分だよ?これなら、今の君でもすぐに出来るようになる」
ノアはそう言いながら、明かり魔法である≪ライティング≫を唱えたのである。
「す・凄い。こ・こんな簡単な魔法ってあったんですね」
「へぇー…ノアっていつも派手な魔法は多いけど、こんな簡単な魔法も使うんだ」
「当たり前じゃん。ってフィーネ…いたの?」
「うん。さっき来た所。あっ!カインは今、今日採ったキノコをトーヴィックさんと一緒に料理してるから」
「そう。で…この明かり魔法は、超基礎中の基礎なんだけど…」
「そ・そうなんですか…」
「まあ、いいけどさ…。で、明かりはイメージ出来るよね?蝋燭とかの明かり位」
「は・はい。じゃ・じゃあ…やってみますね」
「あっ!ぼくは無詠唱したけど、魔法が点で駄目なら、詠唱しないと駄目だよ。慣れたらいらないけどね」
「えっ!?そ・そうなんですか。え・詠唱からお願い出来ますか?」
「分かった…」

「我、ここに今、明かりを灯す…ライティング」
先程と同じようにノアは、明かりを灯しながら見本を見せたのである。
「じゃあ…やってみて?」
「は・はい」
ノアに言われるまま、リオンはイメージしながら明かり魔法の詠唱を始めた。
「我…ここに今、明かりを灯す………ライティング」
ポォ…とリオンの手の平に明かりが灯ったのである。
「で・出来た。僕にも魔法が…つ・遂に…」
「出来たじゃん。んー?」
「どしたの?ノア?」
「う・ウソ…明かり魔法を教えただけで?」
「ど・どうしたんですか?ノア先生」
「いや…解析したら数値が上がっていたんだ」
「えっ!?ま・マジですか?ど・どんな感じですか?」
「う・うん…こんな感じだよ?」
2人に分かりやすくノアは、リオンのステータスを見せたのである。

<リオンのステータス>
レベル:2
HP:15
MP:1/4
攻撃力:14
魔法力:4
防御力:12
魔法防御:4
敏捷性:12
器用さ:3
魔法:ライティング
特技:なし
その他:なし

「レベルが2へと上がってる!」
「うーん。これなら少し魔法は更に増やせそうだけど、まだ1で使える魔法に専念した方がいいかもね」
「も・もっと教えてください。ノア先生」
「教えてやってもいいけど、魔法力が尽きるよ?明日にした方がいいんじゃない?」
「そ・そうですね。ノア先生、今日はありがとうございました!」
リオンは走りながら広場を後にしたのである。
「あの子…やっぱり、勇者だ。今までロクに魔法を教えられなかったんだろうな…。それで…代々と勇者は弱体化した原因だったのかも知れない…」
「そうかも知れないね…ノア。じゃあ、宿に戻って今日もキノコ食べよっか」
「そうだね。今日はキノコたっぷりのドリアだし、楽しみだしね」



ひと時の平穏の中にいるノア、そして、ボロボロに男たちにその身を穢されていくセーラの運命を助けるため、ノアは今は出来ることをするしか無かったのである。


テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
  1. edit

折角なので、異世界に転生してみました。

  1. 2020.12.29(Tue) _11:36:30
  2. 折角なので、異世界に転生してみました。
苦手な方は、ご遠慮お願いします。

<第24話>

「んっんん………!」
セーラは、元・級友ジェシカに気付いたものの、氷一杯に口と下半身の中心に埋め尽くされているが故に呻き声しか出せなかった。
(セーラ………)
ジェシカは上へと上げられてしまっている、両手を握り締めながら、セーラを見ていることしか出来なかったのである。
「さてと…貴様もあのセーラという女と同じように拷問をしてやるとするか」
男はそう言うと、地下からもう一人の男がやって来たのである。
「この女の拷問かい?」
「ああ。さっき俺の大事な相棒を噛みやがったからな」
「それはそれは…ご愁傷様。それなら猿轡を付ければいいだろう?」
「それだと意味が無いだろう。だが、お前の言うことにも一理はありそうだ」
男はそう言うと、見張っていてくれと頼むと共にある場所へと向かい出した。
「しかし、お前たちは、俺たちが“気”を与え、ただ魔剣や聖剣を生み出すための道具にしか過ぎないというのに、どうして聞き分けがないんだ?」
「…………………………………………………………っ!」
男の問いにジェシカは応えなかった。
「まあいいさ。お前たちはどうせ…捨てられるだけだからな」
その後のことは知らんばかりに男は見張っていると、先程の男は戻って来たのである。
「戻って来たか…って凄い臭いだな」
「ああ。コレで生意気な口を塞ごうと思ってな」
そう男は言いながら、強烈な臭いを発する男たちの古着を丸めるとジェシカの口に押し付ける。
「んっ…!」
「ほら…口を開けろ!」
男はドカッ!とジェシカのお腹を殴りながら言うと、ジェシカはじわりと涙を流しながら従うしか無かったのである。
押し込めると男はベルトを更に口元に巻いたのであった。
「んんっ………!」
「そうかそうか。そんなに嬉しいか?」
泣き濡れるジェシカの反応と意味を反しながら男は言うと、セーラの血で濡れてしまった鞭を手にした。
「さてと…俺の気が済むまで打つとするか。レック…俺に合わせろよ」
「分かった」
男2人は、バンッ!バンッ!と音を立てながら、ジェシカの体を痛め付けたのであった。



一方、クレセディア・オールネンス王朝の表側の世界へと現れた男たちは、セディア王国のネートの村に潜伏していた。
「しかし、あの時、村を焼いたのは失敗だったかも知れないな」
セーラを連れ出した男は、ボチボチと村の復興を始めている、ネートの村にある酒場で飲みながら言った。
「お前は熱くなりやすいからな…。だが、ここに来たら分かるかと思ったが、誰一人と知らないとはな…」
「だってよ…村人は一人残さずと始末してしまったし、殆ど金では動かないヴィンセントの人間だからな」
唯一の生き残りのルークは、口を閉ざしたまま、男たちの会話を盗み聞いていた。
ティーナの呪術から漸くと解放され、やっと自分自身に正直な気持ちに目覚めてから、ノアの両親である、アルンとノエルのお墓を作ったのである。
いつでも、ノアが帰って来た時にお墓参りが出来るようにしたのだ。
「おい。そこのお前、ノアという女のこと…知ってるか?」
ちみちみとビールを片手に飲んでいる、ルークに男は声を掛けた。
「いえ、知りませんが」
あの時の男だと分かった瞬間、ルークは、前以ってノアから姿かたちを変えてくれるペンダントを貰っていたことから、別人へと成り済ましながら返したのである。
「ほらな?聞いても知らないってことはよ?あの時、やっぱよ?焼死したんじゃねえの?お前の火魔法はレベル8だし、水魔法はレベル7だしさ」
「そうだよな…。幾らセーラがノアの生存を信じているとはいえ、レベル8の火魔法よりも勝る人間っていねぇよな」
「さてと…そろそろ戻って調教してやらんとな」
「ああ…」
男たちはそう言いながら、世界の裏側である異空間を開けるとその場を後にしたのである。
「これは…ノアに一刻も早く知らせを行った方がいいだろうけど、今は無理だな………」

だが、今は残念なことに昼であると同時に一人で森を抜けるには、危険過ぎた。
何たってS級のモンスターがうようよとフィーリカの森にいるからである。

「何かお困りかい?兄さん」
ヴィンセントの元・兵士は、深い溜め息を吐いている、ルークに気が付いて相席しながら言った。
「あ・ああ…実は」
ルークは、ノアの名は出さずに事情を話したのである。



「は・は・は・は・は・ハクショイ!うー!」
ノアは、お風呂上がりに着替えながら豪快なくしゃみをしてしまった。
「な・何かすっごいクシャミだったけど、大丈夫?」
「う・うん。誰か噂をしているのかなぁ」
「そうかもね?誰かがノアの悪口を言っていたりして…」
「うー…ティーナが生きて悪口だったら、嫌だなぁ」
「ティーナ?誰なの?」
「うん。ぼくのいた村のすごく嫌な子だったんだ…」
「そうなんだ…」
「まあ、そんな筈は無いだろうけど」
あの時、殆どの村の人間は、セーラを連れて行った男によって村全体は焼かれてしまい、生きている筈がないのだから。





クレセディア・オールネンス王朝の裏側の世界へと戻った男たちは、グレイス王の呼び出しを受けていた。

「先程、王朝の人間に造られていたモノがある」
グレイスはそう言いながら、男にズッシリと重みのあるモノを渡した。
「重いですね…」
「そうじゃ。20kgあるからのぉ…」
「これをどうするんですか?まさかと思いますが、セーラにですか?」
「その通りじゃ…。あの小娘にはじっくりと甚振ってやらねば、ワシの気が治まらぬ」
「…分かりました。では、早速と付けることにしましょう」
「うむ。頼んだぞ…」
あのセーラの目を見る度に抑え切れない何かに襲われるが故にグレイスはそう言うと、男は、セーラのいる、トルトゥーラへと向かい出した。

「ほ・本当に…久しぶり…ね。でも、こんな形で会いたく…無かったわね…」
セーラは、途切れ途切れになりながら言った。
「え・ええ…。私も…ですわ…。ま・まさか…こんなことに…なるとは…思いもしませんでしたわ…」
猿轡を漸くと外されたものの、トルトゥーラから出ることが許されず、担当していた男が食事から戻るまでの間、束の間による休息を与えられた、ジェシカもまた、弱々しく返したのである。
「そ…うね…。私は…信じて…いるの…」
「あの子なら…きっと…ね…」
「え・ええ………!」
セーラが相次ぎを返した途端、ギィィィ………とトルトゥーラの扉が開いたのである。
「氷は解けたようだな…セーラ」
「それと…やっぱり、お前たちは知り合いだったようだな」
一部始終と会話を聞いていた男たちは、にやにやとしながら言った。
「こ・これ以上…されたら…もう…」
本当に死んでしまう…とジェシカは、今は表側の世界にいる、ノアが助けに来てくれることを信じながら言った。
「そうだな…。下手したら、次の儀式まで持たずに死んでしまうかも知れないな」
「それだけは、絶対に避けなければいけないなぁ」
男たちの言葉にどこか、セーラとジェシカは安堵感が生まれた。
「よし…お前たちは特別な処置をしてやろう」
男たちはそう言うと、2人を外へと連れ出したのである。


ずっと王朝内の重苦しい中にいた、セーラとジェシカは、両腕を後ろ手に鉄枷で戒められながら、実に久し振りに外の空気に触れることは出来たものの、今は時期が悪かった。
今、この時期は冬を迎え、毎日のように雪が降り注いでいるのである。

「ううぅ………寒い………」
セーラとジェシカは、ガタガタと体を震わせた。
「ほら…足を曲げながら仰向けになれ」
男はそう2人に命じながら、言われるまま、雪で積もっている地面にセーラとジェシカは従うしか無かった。
「そうそう…いい子だ。次は腰を高く上げろ…」
「「ううぅ………」」
キツイ体勢で、セーラとジェシカはぶるぶると震えながら、腰を高く上げると、もう一人の男は、枷でガチリと両膝に取り付けたのである。
「さてと…まずはセーラにはグレイス王から言われたモノを付けてやるとするか」
男は懐から以前のモノよりも更にグロテスクで、歪な形のした黒々としたモノを取り出すと、ヒクヒクと息衝く中心である蕾にそれをあてる。
「い・いや…!や・やめ…て…!」
泣き濡れながらセーラは言うものの、男はにやりと不敵な笑みを向けると、一気にそれを容赦無くと貫いたのである。
「ひっ…!いやあああああああうぅぅぅぅ…!!!!!」
裂けちゃう…!とセーラは、悲鳴を上げながら、男は奥深くとそれを突き刺したのである。
一旦は止まった筈の傷からまた、血が滲み出していた。
「後でじっくりと“料理”してやるから大人しくしてろ」
「せ・セーラ………」
「次はお前の番だな…ジェシカ」
「わ・私を…セーラと…お・同じ目に遭わす…つもりなの…?」
「そうだな。だが、お前の場合はそれを付けているからな…」
男は、コスモスの花の形のしたそれを見ながら言うと、召喚魔法で“ワイン”を出したのである。
(えっ…!?そ・それは…の・ノアと…同じ…魔法…?)
声には出さず、ジェシカは、ノアが使っていた、あるある魔法の一つである召喚魔法に気付いたのである。
「元・貴族であるお嬢様には、慣れ親しんだモノをくれてやるぞ…」
男はそう言いながら、栓を開けると花の中心にワインを突き刺したのである。
「ひっ…!あ・あああ…ああああああああ……!!!」
「懐かしい味だろう…?」
グリグリと男は更に太くなっていく瓶を奥深く底が見えるまで突き刺していく。
ドクドクとワインの液体によって体が焼かれる感覚にジェシカは、とうとう泣いてしまったのである。
「やっと…鳴いたのか」
食事に出ていた男は、厚手のコートを着用しながら話を聞いて来るなり言った。
「ああ…。やっと鳴いたさ…」
男は瓶の底を切り取りながら言った。
「しかし…2人共、良くもまあ…ここまで拡がったモノだな」
「2、3人と相手に出来そうだぞ…」
「止めてくれよ…。俺は女以外、触れられたくないぜ」
「俺もだ…。とりあえず、セーラを料理してやらんとな…」
念入りにしておくようにとグレイス王から言われていることから、男は、下ごしらえは済んだことから、そのグロテスクなモノの上から、ワインを突き刺したのである。
「ううぅ…!」
「ほら…極上のワインだ。しっかりと味合いな」
男はドクドクとワインをセーラの中に注ぎながら言った。

ワインによって、セーラとジェシカの体は、火照るように熱くなると同時に屈辱的な格好のまま、身動きが取れず、突き刺されていたワインの瓶は引き抜かれた頃には、一夜が明けてしまったのであった。




テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
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折角なので、異世界に転生してみました。

  1. 2020.12.26(Sat) _11:48:00
  2. 折角なので、異世界に転生してみました。
苦手なシーン、到来です。
苦手な方は、ご遠慮お願いします。

<第23話>

「それにしても、ノアのさっきの魔法…メッチャ凄かったね」
「うん。久々に思いっ切りと放つことが出来てスカッとしたよ。あんな場所があるんだね」
ノアは、フィーネと共に長風呂と称して貸切状態のお風呂に浸かりながら、雑談していた。
「そうだよ。何たってエルフィンドは、魔法に特化した国だから。それに全知全能のゼティス様がいる上に精霊魔法が発展した国だしね」
「そうなんだ。これからたまにストレス解消で行こうかな」
「そうそう。ノアって意外と溜め込んでるんだし、スカッとしなきゃダメだよ?ストレスってさ?溜め込むと良くないって聞くしさ」
「そうだね。はぁ~…それにしても、あのリオンという勇者。ヤバいわー…」
「どういうこと?」
「だって…全然魔法が開花しそうにないんだよね」
「そ・そうなの?で、どうやって教える気なの?」
「うん。どうしよっかと悩んでいるんだよね。魔法力が2だから…修行次第では伸びるだろうけど、やる気があるかどうかだし」
「えっ!?ま・ま・魔法力が2って…2ってメッチャ低すぎじゃん」
「そうなんよ。少ない魔法力で魔法って…あったっけ?ぼくなら色々とあるけど、万人受けの魔法で、2以下で使える魔法って…」
「少ない魔法力で使えそうな魔法………うーん。あたしもちょっと心当たりがないかな」
「だよねー………」
ノアがひと時の平穏の中にいる頃、世界の裏側は再びと闇へと落ちていた。





世界の裏側にあるという、クレセディア・オールネンス王朝の儀式の間で、2回目の儀式が行われようとしていた。

2人目の聖女としてミリアは、炎の魔法陣の上に拘束されたまま、繋がれていた。
「ううぅ……あ…つい…よぉ………!」
泣き濡れながら、ミリアは必死に手足を動かそうとするものの、無意味でしかなかった。
だが、周りの聖女たちは、ただただ見ているだけで、何も出来ず、グレイスや男たちに憎悪を抱いていた。
「っ…!」
ミリアを見ながらジェシカは、ここへと連れて来られた時からずっと後悔していた。
共に学院で学んだノアの言っていたことを聞かず、自ら進んで聖女へとなる道を歩んでしまったのである。
女性特有のあの日を迎えた時、生前、父から聖女について詳しく聞かされたものの、それでも、心のどこかで、誰かのために役立ちたいと思っていた。
聖女になって、勇者のために癒しの力で助けになりたいと子どもの頃からそう願いながら、治療魔法を必死に習得したのだ。
でも、こんな形じゃなかった。
気が付けば、毎日のように男たちに慰み者にされ、時には、地獄のような苦痛を与えられる日々なのである。
ふと、ジェシカは、セーラがこの場にいることに初めて知った。
(そ・そうだわ…。セーラがいるんですわ…。こ・こうしてはいられませんわ…)
そんなに親しく話していた訳でもないが、儀式が終わり次第、セーラにある事を告げるつもりでいた。

そして、儀式の格好へと整えながらグレイス王は、その儀式の間にやって来ると、召喚の儀を始めたのである。

「我、ここに偉大なる“モノ”を呼び出したまえ…」
グレイス王は、持っていた杖に念を込めながら唱える。
「ひっ…!あ…あ…あうぅぅぅ……………!!!!!」
灼熱の炎と共にミリアの体から、炎の剣であるスルトが生み出されたのである。
その炎に耐え切れず、ミリアは、炎の中へと包まれてしまったのだった。
「いやああああうぅぅぅ……………!!!」
泣き濡れながら、ミリアは悲鳴を上げると共にその体は、炎によって朽ちてしまったのである。
「うっ………」
その光景を終始、強制的に見せられていた多くの聖女は、苦痛を訴えるものの、休む間も与えられず、いつものように地下へと戻される中、セーラは、地下奥にあるトルトゥーラへと連れて行かれ、ジェシカはグレイス王に呼ばれてしまったのである。


「お主は自ら聖女へとなる道を歩んだと聞いておるが、その言葉に偽りは無いであろうな?」
グレイス王は、ミリアから生み出されたばかりのスルトの剣を見るものの、視線をジェシカの方へと移して言った。
「……………はい」
「ならば、既に分かっておろう?」
使いの男からあるモノを受け取りながら、グレイス王は続けて言った。
「元・貴族の娘というからには、特別なモノを作らせておいたからのぉ…」
使いの男たちによって、ジェシカの足は目一杯と開かせながら、グレイスは近付いた。
思わずとジェシカは視線を外すものの、男たちに視線を戻されてしまった。
「コレから入れるモノにじっくりと見るんじゃ…。ククク…既にもう濡れておるわ…」
先程の儀式で、ジェシカのそれは、既にじんわりと濡らしてしまっているが故にグレイスは、不敵な笑みを向けながら、コスモスという花の形のしたモノを中心に填め込ませたのである。
「ううぅ………痛い………」
「主は治療魔法の使い手として優れておるからのぉ…特別な処置じゃよ。それにすぐに慣れる。痛いのは今だけじゃ…」
それ相応に苦痛には変わらず、ジェシカを地下へと連れて行くと、いつものように男たちの相手をさせ始めたのである。


トルトゥーラへと連れ込まれた、セーラは、“人”という形で、鎖で戒められていた。
その場所は、その名の通り「拷問室」である。
また、何十年に渡って、聖女として連れられた少女たちの独特の赤と白で、その部屋は既に汚れていたのである。

「こ・これ以上…な・何を…させる気なの…?」
セーラは、恐る恐ると頭のどこかでは分かっていながら、今もまだ理性は失わずに聞いた。
というよりも、ここにいる以上、理性を失う訳にはいかない少女たちが多く占めていた。
勇者と共に旅が出来るという憧れから聖女という言葉に騙された少女もいた。
理性を失い、男たちの快楽に堕ちる訳にはいかないからだ。

クレセディア・オールネンス王朝へと連れられて以来、食事といっても、数日に一度だけミルクと豆の入った少量のスープだけ与えられるだけで、まともに食事は与えられず、一日の殆どは、男たちの慰み者にされ、一日が終わる毎日を送っているのである。

「ここは、その名の通り拷問を行う場所だ。あのノアという女のことを吐かない限り、今日はたっぷりと6時間は痛め付けてやれとグレイス王から言われているのでな」
「何、殺さない程度に加減してやるから安心していいぞ」
男たちは、鞭という鉄で作られた金属製の棒を始めとするモノを持ちながら、言った。
「ぜ・絶対に教えない…。ど・どんなことをされても…絶対に…」
ノアが転生者であることと超絶したチート能力を持っていることを、セーラは、これから地獄という名の悪夢が待ち受けていることを分かっていながら、言い放ったのである。
また、ノアがこの場所を掴めたら、絶対に助けに来てくれることを心の底から、セーラは信じている限り、ノアのことを喋る訳にはいかないのである。

「そういう強情な態度…俺は嫌いじゃないね」
「ああ。さてと…そろそろ始めるか」
男は鞭を握り締め直しながら、セーラの後ろへと回った。
「いいか?セーラ。ちゃんと1000回、数えろよ」
交互に今から打つということから、セーラにカウントさせるために男は言った。
「そ・そんなの…無理よ…」
「出来る出来ないは聞いていないと前にも言っただろう。ったくお前は物覚えが悪い女だ」
「ううぅ…」
「さて、始めるぞ」
セーラの前にいる男はそう言うと、バンッ!と音を立てながら鞭を振るい、セーラは痛みに堪えながら「い…1回…」と数えると、次は後ろの男もまた、バンッ!と鞭を振るい、「に…2回」と数えながら、男たちは交互に鞭をセーラの首から下に掛けて振るい続けたのだった。

漸くと1000回を数え終えた時、セーラの体は、100回の時点から羽織っていたローブは、ボロ状に裂かれ、ボロボロに体の至る場所は鬱血し、2ヶ月前に付けられてしまった、グロテスクなモノによって少し、下半身の中心は広がってしまったのである。

「少しは広がったみたいだな…」
男は、ヒクヒクと息衝く中心である蕾を見ながら、言った。
「ううぅ………も・もう……や・休ませて………」
朦朧とした意識の中、セーラは力無い言葉で言った。
「何を言っているんだ?拷問を始めてから経った1時間しか経っていないんだぞ?休むなんてまだまだ先だ」
「で・でも…も・もう……」
「それとも何だ?喋る気になったか?」
「そ・それだけは…ぜ・絶対に…言わないわ…」
「よしよし…まだ喋る元気はあるようだな。次の拷問を始めるとしよう」
「そ・そんな………」
これ以上は無理の中、セーラは、今はただ、耐えるしか無かったのである。



「いってぇな…また噛みやがって。自称・お嬢様はまだ使い方が分かっちゃいないな」
ジェシカに自身の相棒の相手をさせている男は、怒鳴り付けた。
「ううぅ………そ・そんなことを言われても…も・もう…無理だわ…」
「ったく…仕方ないな。貴様もセーラと同じ場所に連れて行って躾けてやるか」
上手く出来ない聖女には、特別に拷問を掛けることが許されているが故に男は、ジェシカをトルトゥーラへと連れ出したのである。


「ああああああぁぁぁぁぁ…!!!!!」
ビクリとジェシカは、トルトゥーラからセーラの悲鳴に反応してしまった。
「お前も同じように鳴いていいんだぞ?そうすれば楽になるぞ?」
「わ・私は…ぜ・絶対に…泣かないわ…」
「ふっ…お前も強情なことだな」
そう男は言いながら、ガチャリとドアを開けると、ジェシカは余りのそのセーラの姿に言葉を失ってしまったのである。

学院にいた頃は、長くて美しい黒髪をしていたセーラは、今はその面影が殆ど無くなっていた。いや、ここに連れて来られてからのセーラは、学院の頃とは面影が無かったのかも知れない。
今のセーラは、男たちによってボロボロに体は痛め付けられ、自分と同じように大事な場所を開かれながら、前後に茨で作られた極太の縄で、2人の男によって押し引きされながら血を流していたのである。

「これ位にしないと、本当に死んでしまうからな…」
真っ赤に血で濡れた茨の縄を引き抜きながら、男は言った。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
セーラは、脂汗を流しながら、苦しげに息を吐いていた。
「せ・セーラ………」
「何だ?知り合いか?」
男はジェシカを上から吊るされている鎖で戒めながら、不敵そうな笑みを向けつつ言った。
「い・いえ……………」
「そうか。ほら…大人しく腕を頭上に上げろ」
「は・はい…」
今は耐えるしか無かった。
セーラも今は同じ気持ちで耐えているのに、ジェシカもまた、弱音を吐く訳にはいかなかったのである。

「とりあえず、止血だけでもしておくか」
セーラを拷問していた男は、今もまだ血を流し続けているセーラの下半身の中心である蕾に手を添えながら言うと、水魔法の詠唱を始めたのである。
「い…いや………!」
セーラは、その詠唱は聞いたことがあったのである。

昔、真夏の暑い時期、ノアが珍しく詠唱を使っていたのだ。
その時は、セーラもノアと同じ気持ちだった。
ノアは、召喚魔法でいつものように『かき氷器』を出すと、「かき氷」を作るために繊細な加減が必要な氷を出すため、詠唱を珍しく使ったのである。
『そうしないと、繊細な加減が利かないんだよね』とノアが言っていたことを思い出したのだ。

「我、ここに水の上位精霊を借り、この技を為す………サーレス・シャイン・オブ・クライン」
男はそう魔法を唱え終えると、ドクドクと氷の小さな塊を並々と蕾に埋め尽くしたのである。
「ううぅ……………」
「そうだな。序でにその口も氷を入れておいてやるとするか」
「それで今日の拷問は終わりにしてやる」
もう一人の男はそう言うと、先程の男と同様に氷の塊をセーラの口に目一杯と押し込めたのである。
「んんんっーーーーー…!!!!!」
余りのことにセーラは、声にならない呻き声による悲鳴を上げてしまった。
「じゃあな。今日は特別に調教無しになるかもな…」
セーラを担当していた男たちは、チラリとジェシカを見ると共に一杯引っ掛けるべく、久々に外界へと出たのである。

(な・何て…酷いことを…)
ジェシカは直接と声には出さず、この場に今はノアのような力があればと思ってしまったのであった。



テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
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折角なので、異世界に転生してみました。

  1. 2020.12.21(Mon) _13:01:53
  2. 折角なので、異世界に転生してみました。
<第22話>

「ノア?ノアったら!」
さっきからボーっとしちゃっている、ノアに気付いたフィーネは声を掛けたのである。
「えっ…あ・ああ…ごめん。何だっけ?」
「さっきからね?ノアったら、しめじを手にしたまま止まっていたから」
「ごっめーん。何か急に昔のことを思い出しててさ…」
「そうなんだ。それよりもノア。見て?3時間余りでお腹周りがスッキリしたと思わない?」
フィーネは、くるりと回りながら言った。
「う・うーん。そ・そうだね」

はぁ…なんで、今更ながらとあんな昔のことを思い出したんだろう。
セーラのことをフィーネと重ねて見ちゃったからなのかなぁ。
そういえば、セーラ。
ちゃんとご飯って摂っているのかな。
それに念を飛ばしていたということは、本当にこの世界の欲が集まる中心にいるってことなのかなぁ。
その中心に行くには、どうやって行くんだろう。
近い内にあの全知全能の神らしいゼティスに聞いた方がいいかな。

「あのさ。ノア。これだけ摂れたらさ?大丈夫かな?」
「そうだね。って…すごっ!籠いっぱいじゃん」
「えへへ…ノアが余りにもボーっとしちゃっている間にガンガンとさ。あたし、頑張ったんだよ」
「で、カインは?」
「そういえば、カインって見ていないね。どこまで行ったんだろう?」
「ま・まさか…森のモンスターに襲われている…とか?」
「あ・ありそう…。この辺りもさ?奥の方に行くとすっごいモンスターがいるんだよね」
「へぇー。じゃあ…キノコは一先ずと異空間収納魔法で…」
ノアは、籠いっぱいのキノコを収納魔法で仕舞うと、フィーネと共に森の奥へと走って行った。


「うわああああああああああ…!た・助けてくれー!!」
案の定、カインは樹のモンスターである、人面樹に絡まっていたのである。
「か・カイン…!ま・待ってて…ふぁ・ファイア…」
「待って。樹は確かに火弱点だけど、この場で使うとカインも巻き込んでしまうし、それに森だから火の海になってしまうかも知れない。まだ、火魔法を覚えたばかりのフィーネが使うと危険だよ」
「そ・それもそうだね…ノア。ど・どうするの?」
「どうするも何も触手の樹を切り裂くしかないじゃん。フィーネは矢であの目のあたりを狙って」
「う・うん。分かったわ」
フィーネは弓を構えながら、ノアは複数に伸びて来る触手を剣で切り裂いていく。
「うっ……………!」
人面樹は更にカインを絡めている触手に力を入れ、ポキッ…と嫌な音がした。
「えっ…ちょ・ちょっと…か・カイン!?」
「大丈夫。気を失っただけだよ。後で治療魔法を掛けるから」
「う・うん」
「いつも剣の技はテキトーで技になっちゃいないんだけど、今は父さん直伝のこの技を使うしか…ないか」
「剣の技?何それ?」
「うん。まあ…見てて」
ノアは剣を鞘に納めると、一点に集中を始めた。
心眼で人面樹の急所を見極めると同時にノアは、瞬時にそれだけを狙いを切り裂いたのである。
「す・凄い…。剣を抜いた瞬間と鞘に戻した瞬間しか見えなかった…」

ばらばらに砕け散った人面樹にノアは、咄嗟にマットレスを召喚魔法で出したのである。
その上に気を失ったカインが落下したのであった。

「はぁ…見事に骨、折れちゃっているね」
「う・うん。治せる?ノア」
「うん。勿論だよ」
ノアは自信満々に治療魔法で、全快魔法を唱えたのである。
「こ・コレって…あたしが病気してた時に使ったヤツ?」
「うん。そうだよ。コレって万能なんだよね。重傷の怪我は勿論、病気だって一発で治せちゃう優れものだからさ」
「そ・そうなんだ。治療魔法って完全には治せないって聞いてたけど、そうじゃないんだ」
「あー…コレ?ぼくのあるある魔法なんだ」
盛大にズコッ!とフィーネは、転んでしまった。
「ちょ・ちょっと…フィーネ?大丈夫!?」
「だ・大丈夫。ノアってホントーにこの世界にない魔法を次から次へと…。やっぱり、転生者だからなの?」
「うーん。多分そうだと思う。前世では何も出来なかったし…ただ死を待つだけの体だったし…。とりあえず、フィーネはヒールだけでいいかな」
「た・ただのヒールがここまでの回復量。ノアは只者じゃないわー」
「そりゃー…いわゆるチートだからね」
「その内、もっと凄くなりそう…」

そのフィーネの一言で、ノアの何かに変化が現れようとしていることは、今は誰も分からなかったのである。

「う・うーん。あ・アレ?俺は…一体」
「あっ…!気が付いた!?カイン」
「あ・ああ…ノアにフィーネか。俺は確か…奥で凄いキノコを見付けて…そ・それから…って何だコレ!?」
カインは頭を振りながら、ふと粉々に砕け散っている、S級モンスターの人面樹を目の当たりにしたのである。
「何ってそのモンスターに絡まっていたから助けたに決まっているじゃん?ねえ?フィーネ」
「うん。ホントにノアって凄かったんだよ。剣を抜いた瞬間と鞘に戻した時しか分からなかったけど、一瞬で人面樹を粉々にしちゃったんだから」
「そ・そうなのか。はぁ~………結局、そのキノコは見付からず…か」
「そうなんだ。どんなキノコだったんだろう」
「うんうん。気になる」
「あ・ああ…黄金色に輝いていてな…手に触れようとした途端にあのモンスターに絡まったんだ」
「お・黄金色に輝くキノコ!?そ・それ…ダメなヤツじゃなかったっけ?」
「うん。それって…人面樹が人間を餌に使うヤツだったよね」
「そ・そうだったのか…。で、お前たちはキノコの方は…」
「うん。凄く集めたよ。とは言っても…ノアは途中でボーっとしちゃったから代わりにあたしがいっぱい集めたんだよ」
「う・うん。何かちょっと…思い出しただけだから。気にしなくていいよ」
「そ・そうか。とりあえず、戻るか」
「それからカイン。奥の方に行っちゃダメなんだからね?分かった?」
「あ・ああ…そうするよ。ここの森ってB級だけかと思ったが、そうじゃなかったんだな」
「いつの間にかこの森…S級モンスターの住処になっていたみたいだよ」
「そうそう。カインを見付けるまで、ノア一人でS級モンスターを倒しちゃったんだからさ」
「ま・マジかよ…。流石は5Sランクってだけあるな」
「とりあえずさ…戻りながらだとまた出くわすかも知れないから、瞬間移動魔法で戻らない?」
「それもそうだね。また、さっきみたいなことになったら嫌だし」
「そうだな…」
「じゃあ…酔うかも知れないけど」
「「酔う…!?」」
カインとフィーネの問いに答える前にノアは、強制的に瞬間移動魔法を唱えたのである。


「あ・あっという間に首都エルフィンドじゃん」
「う・うげ………こ・これが…酔いか…」
「大丈夫?カイン」
「あ・ああ…うっ…!」
「ホントに男ってどうして絶叫系って駄目って多いのかなぁ。フィーネは大丈夫だった?」
「うん。何だかね?瞬間移動魔法って…一気に急降下している感じで楽しかったー!」
「そうそう。そんな感じなんだよねー」
「うぅ…は・吐きそうだ………!」
カインはもう我慢出来ず、脱兎の如くで公衆のお手洗いへと走って行った。
「相当、ヤバいって感じだったね」
「そうだね。とりあえず、あたしたちは先に宿の方に戻ってようか?」
「うん。何だかゆ~っくりとお風呂に入りたい気分だし」
フィーネに言われるまま、ノアはエリシアのいる宿屋の方へと向かい始めた。



「本当に僕が勇者というのならば、どうして…魔法の一つも出来ないんだよ!」
首都エルフィンド内にある、誰でも自由に使える魔法広場で、リオンは魔法を唱えようとするものの、分裂ばかりを繰り返していた。
「どうやって魔法のイメージって掴めるって言うんだよ!?」
半ばヤケになりながら、リオンはひたすらに『ファイア!』『アクア!』『ウィンド!』『スパーク!』と声に出しながら、アレコレと唱えるものの、一向に具現化する欠片も見せなかったのである。
「どうやってって…言われても…火は熱いし、水は冷たいし、風は吹くと気持ちいいし、雷はピリピリするって感じだよね」
「そう思うのは、ノアだけじゃん?と言いたい所だけど、あたしもそんな感じなんだよね」
「な・何だ?その自然の原理を無視した感じのイメージって」
ノアとフィーネの会話にふと気になって、リオンの方から近付いて言った。
「何ってそのまま思ったイメージだよね?フィーネ」
「そうそう。ノアに言われるまで、魔法のイメージは精霊をイメージだと思っていたけど、実際問題…精霊って良く分からないし」
「せ・精霊は精霊だろう。精霊をイメージしなければ魔法は…」
「じゃあ…精霊ってどんな感じをイメージしちゃっている訳?自称・勇者さん」
「え・えっと…そ・それは…そ・その………」
「ほら?やっぱり…言えないじゃん」
「じゃ・じゃあ…実際にやってみろよ。どうせ…魔法が出来ないからそんな理屈なんだろ?」
「へぇー…そこまで言うなら仕方ないね?フィーネ」
「ノア。ガッツリと本気でやっちゃえー!ここは5Sでも耐えられるからさ」
「そうなんだ。ってことは、あの的って5Sで耐えられる特殊な素材ってことなのかな」
「そういうこと。ノアみたいな人がちらほらとこの国にはいるからさ」
「ふぁ・ふぁ・ファイブ…エス…!?」
「それじゃー…超ひっさびさの全力でやっちゃうよん!」
「イエーーーーーーイ!どんなかな?どんなかな?どんなかな?わくわく!わくわく!」
「ゴッド・オブ・アーシェル・フレイム!」
地上最大級の技の一つ、火の魔法をノアは全力で放ったのである。
それは、もう凄まじい爆発音と共に炎は見たことのない色合いで、的に直撃したのだった。
「うーん!今日も絶好調!」
「だねー!ノア」
「お・お・お・おいおい…ま・マジか…マジかよ…こ・これ程の…魔法の…使い手…って…マジかよ………」
勇者の家系として生まれたリオンは、ノアの魔法に相当ショックを受けてしまったのである。
「おーい?大丈夫?」
「だ・大丈夫…………………………………な訳がないだろ!な・何だよ?アレ!あんな魔法を使うヤツが既にゴロゴロいるってことなのかよ!?」
「そう言われても…勇者の力がだんだんと弱まっていると聞いているし?」
「うん。君って本当に勇者?」
「うう………た・確かに僕は勇者の家系に生まれた勇者だ。でも、僕は…僕は…魔法が使えないんだ」
「ちょっと…君のステータス。解析させてくれない?どうして魔法が使えないのか解析したら分かるかも知れない」
「か・解析?ギルドに行かないと分からないだろ?」
「大丈夫。ぼく…ギルドと同じ解析魔法が使えるから」
「そ・そうなのか。それなら…」
「ノア。後であたしもしてくれない?」
「うん。分かった。じゃあ…まずは君のステータスを見せてね」
そうノアは言うと、そっとリオンの頭に手を触れた。

<リオンのステータス>
レベル:1
HP:10
MP:2
攻撃力:12
魔法力:1
防御力:10
魔法防御:2
敏捷性:10
器用さ:1
魔法:なし
特技:なし
その他:なし

「ど・どうなんだ?」
「…ごめん。君って魔法の才能はないかも知れない。というよりも、勇者って感じがない」
「ど・どういう結果が出たんだ?僕…」
「え・えっと…紙に書くけど、引かない?」
「あ・ああ………」
ノアは解析結果を紙にサラッと書くと、それをリオンに渡した。
「はい。こういう結果が出たんだけど?もし、本当に疑うなら、ギルドに行ってもいいよ?」
「あ・ああ………ま・マジ!?マジでこの結果か。ど・道理で…魔法が使えない訳か」
「うん…。残念だけど、君には魔法は向いていない感じだね。でも、イメージ次第で出来るようになるかも知れないけど」
「イメージ…か。もし、暇さえあれば…僕に魔法を教えてくれないだろうか?君たちが言ってたイメージだけでは、いまいちと分からないんだ」
「うーん。どうしようか?フィーネ」
「そうね。ノアは凄く魔法の才能もあるし、教えてやったら?」
「そうだね。明日から合間に教えてあげるよ」
「あ・ありがとう。え・えっと…」
「さっき解析した時に名前は分かったから…いいよ?リオン君」
「じゃ・じゃあ…え・えっと…ノアだっけ?明日からこの場所で宜しくお願いします」
「うん。タメでいいよ?同年代っぽいから」
「そ・そうかい。じゃあ。宜しく…ノア」
「うん。明日の午後3時ぐらいにこの場所で」
「分かった」
リオンはそう言うと、家の方へと走って行った。
「ねえ?あたしも解析して欲しいな。ノア」
「そうだったね。フィーネの解析をしてみるよ」

<フィーネのステータス>
レベル:20
HP:67800/67850
MP:2020/2050
攻撃力:4550
魔法力:4525
防御力:4220
魔法防御:4250
敏捷性:4800
器用さ:4550
魔法:火魔法(Lv3)・水魔法(Lv1)・風魔法(Lv1)・雷魔法(Lv1)
特技:なし
その他:キノコ発見スキル(MAX)

「んー…なかなかの結果だね」
「そうなの?どんな感じ?」
「それは…こんな感じだよ?」
ノアは直接とフィーネの頭に触れながら、解析結果を送ったのである。
「ホントだ。あたしっていつの間にか火魔法以外に他の精霊魔法も使えるようになっていたんだ」
「そうだよ。まだ、レベルは1だけど初歩なら出来るんじゃない?才能がないって言っていたけど、いずれ…ぼくのようにMAXになるんじゃないかな?」
「うん。そうだね。あたし…もっともっと頑張ろうっと」
「とりあえず…宿に戻ろう。もう…いい加減にこの土汚れと汗臭さと格闘したい」
「だね。あー…キノコを使った料理、早く食べたいなぁ」


ノアとフィーネは、宿に戻った直後、エリシアにキノコの収穫報告を済ますと共に汗と格闘を始めたのであった。


テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
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折角なので、異世界に転生してみました。

  1. 2020.12.16(Wed) _13:43:28
  2. 折角なので、異世界に転生してみました。
<第21話>

それから6年が経ち、必死に勉強した甲斐もあって、ノアは学院で次席という好成績を収め、セディーネ学院を卒業したのである。勿論、首席はセーラであった。

卒業後の進路は、ノアは父であるアルンと同じ冒険者であるハンターへの道を選び、セーラはノエルに習いながら、魔導具作りの道を選んでいた。また、レーテは父親と同じ道として宮廷魔術師の見習いに就くなど、それぞれの道を歩み始めていた。ただ、ぼくは暫くと当面は冒険の旅に出ず、フィーリカ周辺でモンスター狩りだけど。


「はぁ…やっと思う存分と魔法が出来るー!」

何しろ学院内で魔法を思う存分と使うことが出来ず、常にセーブした状態だったのである。

「そうは言ってもな…。一応、言っておくが…ノア。森を破壊するようなことはするなよ?生態系が崩れるからな」
「うん。分かっているよ。父さん。はぁ~…どっかで思う存分と出来る場所ってないのかなぁ…んっ!あるじゃん!」
「…また、良からぬ予感がするんだが…父さんの気のせいか?」
「気のせいだよ?ねぇ?父さん…この辺りに洞窟って作っていい?」
「あ・ああ…。ま・まさか………」
「むむむ………精神と時の洞窟!」
ノアは、前の世界で読んでいた、あるマンガの修行に出て来る部屋をイメージしながら、創造魔法で生み出してしまったのである。
「はぁ…もう、父さんは何も言わないさ。好きにしたらいい…。お前はもう父さんと母さんをとっくの昔に超え、更に壁を超えていることだろう」
「んっ?何か…悟った?父さん」
「いや…。ただ、お前はいつまで経っても父さんとノエルの子だからな。お前とセーラに何か遭った時、何も出来ないかも知れないが、出来得る限りと守るからな…」
「う・うん。じゃあ…1時間後に帰るから」
「あ・ああ………父さんはもう先に家に戻っているからな」
「うん。分かった」
ノアはアルンの背中を見ながら手を振ると、洞窟の中へと入って行った。


「おおっ…!殆ど再現は出来ているじゃーん」
マンガ通りの重力に加え、急降下する温度差のある洞窟となっていた。
「よしっ…!ここなら思う存分と魔法が出来そう。前々から試してみたかったんだよねー。ガッチガチと堅い鉱石はここに置いて、やってみようっと」
洞窟の奥へとノアは辿り着くと、広々とした広場で、ノアは3つの合体魔法のイメージを始めた。

ガッチガチと堅い鉱石は、前にノアがアレコレと素材を集めて、オリジナルで作り出した、とてつもなく堅い鉱石である。

「炎雷旋風!」
ノアは両手に火魔法と雷魔法と風魔法の上位をイメージしながら、ノアは、オリジナル魔法を放ってみた。

ドドドドドドォォォォォォォォォォォンッ!!!!!
凄まじい爆音とガッチガチと堅い鉱石は、木端微塵に砕け散ったのである。

「うー…これは威力、あり過ぎたかなぁ。でも、成功かな。うんうん…」
既にノアは、この時、既に京単位のステータスへと化していることを知らず、ガンガンと魔法を1時間近くと洞窟内で放ちまくっていた。



「はぁ~…ノアはもう俺たちを軽く超えているかも知れないな」
一足先と家へと戻った、アルンはノエルの家事を手伝いながら言った。
「あら?あの子はとっくの昔から超えているわよ。で、アルン…。何度言えば分かるの?塩を入れる時はね…」
「あ・ああ…すまん」
「まだ入れる前だから良かったものの、ちゃんと塩分と糖分は量って入れてよ?ノアがまた怒るんだからね」
「そ・そうだったな…。そういえば、セーラは?」
「セーラなら作った魔導具を売りに首都へと行っているわよ。もうすぐ帰って来るんじゃないかしら?」
「そうか。セーラの魔導具はどんな感じだ?」
「そうねぇ…。まだ、ノアよりは格は落ちるけど、A級かしらね」
「………比べる相手と違うような気がするが」
「それもそうね。ノアは一通りの武器の扱い方と魔法、そして、魔導具すらも作っちゃうからね…。ホントに毎日、頭痛しかないわ」
「た・大変だな…お前も」
「ええ。でも、悪い頭痛じゃないわよ」
「言えてる。俺もだ」
「とにかく…話は変わるけど、あなたは混ぜるだけにして。調味料とか入れるのは私がするから」
「あ・ああ………」
ノアに書いてもらったレシピ集を元にノエルは、料理の道へと励み始めていた。



一方、首都セディーネで、セーラは、出来たばかりの魔導具を用意された場所で、売っていた。

「なかなか良く出来ているのね。セーラ」
宮廷魔術師の見習いとして、今は小さい子どもの貴族を相手に簡単な魔法を教えている、レーテは、セーラの作った魔導具のペンダントを見ながら言った。
「ええ。ノアに言われて魔力量の消費を抑える、ペンダントを作ってみたの。どう?」
「そうね。頂くのね」
「ありがとう。昔のよしみで…銀貨20枚でいいわ」
「ありがとうなのね。で、ノアって相変わらずなのね?」
「ええ。相変わらずとハンターとしてアルンさんと森でモンスター狩りしているわ。ただ、思う存分と魔法が使えなくて不満そうだけど」
「そうなのね。じゃあ…セーラも頑張ってなのね」
「ええ。レーテもね」
レーテが去った後、次から次へとセーラの作った魔導具に買い手が決まる頃にはすっかりと夕方へとなっていた。
「さてと…そろそろ帰ろうかしら。んっ?アレはノアだわ。おーい!ノア」
「あっ!セーラ」
「どうしたの?ノア。首都まで来ちゃって」
「うん。いつものようにモンスターの素材を売ろうかなと思ってさ」
ノアは、異空間収納魔法で、たんまりと溜まっている素材をセーラに見せながら言った。
「相変わらずだけど、すっごい量ね」
「うん。でも、一部は残しておくけどね。色々と作りたいし」
「ねぇ…ノア。素材の一部、魔導具作りにもらっていいかしら?私ってノアと違って精霊魔法が点で駄目だったから…」
「うん。いいよ」
ノアはそう言いながら、素材の大半は、商人ギルドで買い取ってもらうと、金貨30万枚を手にしたのである。
「調合していたら、もっと高くなっただろうに…勿体無いね」
「うん。だけど、今日は派手な魔法をガンガンと使い過ぎて疲れたんだ。調合する余裕は無かったし」
「そ・そう。ノアなら異空間収納している間に調合もやっているかと思ったわ」
「…!そ・その手があったのか。今度、やってみようっと」
「あ…やっぱり、出来るのね」
「んー…したことはないけど、やろうと思えば出来るんじゃない?」
「…ノアなら出来るわ。うんうん。絶対にね」
「そ・そう。まあ…この世界で出来ないと思ったのは、勉強ぐらいかなぁ」
「そうね…ノアは、とにかくと算数と国語の問い掛け問題って苦手だったものね」
「うー…それだけはもう言わないで。思い出したくなーい」
「でも、勉強は頑張って次席だったじゃない」
「それはセーラが教えてくれたからじゃん」
「それもそうか。そろそろ帰らないとね」
「うん。いつもの魔法だね」
学院の行き来していた時と同様にノアは、瞬間移動魔法を唱えたのである。


「「ただいまー」」
「お帰り。あら?ノア、セーラと一緒だったの」
玄関へと出迎えたノエルは、セーラと一緒に帰って来たことから言った。
「うん。ギルドに寄ろうとしたら、セーラに声を掛けられたんだ」
「そうなの。ノアったらまた、すっごい量の素材だったわ」
「全く…そういう所はアルンに似たのね。じゃあ…2人とも、手を洗って夕飯にしましょう」
「「はーい」」
この世界では15歳になれば、大人へと認識されるのだが、まだ12歳のノアとセーラは、子どもであることから、両親と共に住んでいるのである。


そして、夕飯の後、ノアは早速と異空間収納したままの素材を使い、調合をやってみた。
調合というよりも、錬金術に近い気がするんだよね…とノアは心の中で思っていた。
「で・出来た…」
異空間からノアは、調合したモノを取り出してみた。
「ペン…よね?ノアがいつも使っていた、書き心地最高の…」
「うん。今は商人の間ですっかりと役立つからと量産を頼まれているんだ。これだと、わざわざとインクを付けながら書かずに済むしね」
「全く…ノアったら、調合の手順は…」
「別にいいじゃないか。ちまちまと作っていることには変わらないだろう?」
「うん。これだと収納したまま作りたいモノを予めに記憶させておけば、自動的に調合可能になるし…」
「ふぅ………もう、私は何が何やらと頭が追い使わないわ。ノア」
「俺もだ…」私もちょっと…」
(両親の前ではなるべくと今は私って言った方がいいよね。ぼくって言いたいけど、また、母さんの雷が落ちるし…)
「ノアの“あるある”は、もう…突っ込まない方がいいかも知れないわ。おばさん、おじさん」
「そ・それもそうね。セーラ。じゃあ…私は今日、一番にお風呂に入らせてもらうわね」
「うん。お先に」
「ふぅ…。この調子でいくと、ひょっとしたら…お前なら大魔王は倒せるかも知れないな」
「えーっ!?やめてよ…。大魔王ってすっごく強い存在なんでしょ?そんなの無理だって」
「確かにそうだな。悪い」
「で、ノア…約束の素材だけど、もらうわね」
「うん。何でも好きに使っていいよ」
「さてと…ノア。そろそろギルドカードの更新の時期…だな」
「今回は絶対に割るなよ?いいな?」
「う・うん。多分…大丈夫。大丈夫だと思う…」
何たって精神と時の洞窟で、完全に無に近い状態にする方法を身に付けたことから、ノアは多分としか言いようが無かったのである。



翌朝、ノアはアルンと共に首都セディーネにある、商人ギルドへと顔を出していた。
「ノアさん。昨日、素材はどうもありがとうございました」
ギルドの一人は、ほくほく顔で言った。
「いえいえ。で、今日は更新をしたいんですけど…」
「えっ!?こ・更新ですか。そういえば、試用段階の水晶玉があるんですけど、ノアさんはこちらの方を使ってみます?」
「試用段階の水晶玉?どういうこと?」
「はい。毎回とノアさんは更新の度、水晶玉を割られてしまうので、ギルド開発した特別の水晶玉です」
「特別の水晶玉?それって割ってしまうと高いんじゃ…」
「そ・そうですね。1玉辺り………金貨10万枚はしますね」
「た・高過ぎっ!ぜ・絶対にむ・無理無理!」
「あ・ああ…今度は割らないようにしようと来たからな」
「う・うん。気になるけど、絶対に割っちゃうから…」
「そ・そうですか。そうですよね。では、いつもの方へどうぞ」
ギルドの案内員はそう言うと、ノアとアルンは、いつもの計測室へと向かった。
「ま・まあ…試用段階まで来ているということは、何年か前にノエルが言っていた通り、近い内にお前の数値を正確に測ることが出来る水晶玉が出来るかも知れないな」
「そ・そうだね…」

「アルンさん。どうぞ」
魔力計測する水晶玉付近に立つ、ギルドの案内員は声を掛けた。
「あ・ああ…俺って魔力は皆無だからなぁ」
「そうですね。そうは言っても数値はSクラスの5000ってホント勿体無いですね」
「まあな…。俺もそう思う」
今回も5000数値のアルンは、無事に更新を終えるとノアは呼ばれたのだった。
「はぁ…手を絶対に抜かなきゃ…抜かなきゃ…抜かなきゃ…」
「そうですね。今回は割らないと決めたんですよね」
「うん。じゃあ……………」
ピコンッ!と音と共に数値は5000と出たのである。
「あら。今回は割らなかったわね」
「うん。昨日は頑張って制御に精を出したから」
「そう。じゃあ…今回もアルンさんと同じSってことで」
「ふぅ………」
「よ・良かったな。ノア…今回は割らずに済んだな」
「うん。はぁ~…もう、今日は精神的に何から何まで疲れた………」
ホントにもう、更新って気を抜くとすぐに割ってしまうが故に今回は割らずに済んだことにホッとしながら、ノアは言うと、アルンから喫茶店で何か飲むかと言われるままに喫茶店へと向かったのである。



それから3年後、まさかのあのような出来事が起きようとは思いもしなかったのだった。


テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
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折角なので、異世界に転生してみました。

  1. 2020.12.11(Fri) _14:19:01
  2. 折角なので、異世界に転生してみました。
<第20話>

「はぁ~…ふかふかのベッドってやっぱり落ち着く~…」
家のベッド同様のふかふかのベッドで、ノアはバッタンキューと倒れ込んでいた。
「ノア。寝るなら着替えたら?」
先に部屋で休んでいたセーラは、ノアにパジャマを渡しつつ言った。
「うー…めんどくさーい」
「まあ…分からないでもないけど。それにしても、ノアの魔法って改めて凄いよね」
「そう?そうかなぁ?セーラ」
「そうよ…こんなすっごい施設も創造魔法で生み出しちゃうし、施設だって城下町にあるものがそのままよ?まあ…学院だけは出来なかったみたいだけど」
「だって…ぼく…勉強きらーーーーーーーーーい」
「ふぅ…魔法と武器の扱い方は超一流といっても過言でもないのに…勉強だけは本当にダメよね。ノアって…」

この前のテストの結果は、何とか70点台をキープしていたとはいえ、ガッツリと勉強する気が無いようである。
6歳といっても、この世界の学校における国語・算数・社会・理科は、小学1年のままではないのである。
この世界の学問は、6歳の時点で読み書きや数の単位は億、簡単な加減乗除は終わるとすぐ、小学5・6年の内容になるため、前の世界で学校に行けなかったノアにとって、高学年以降の内容は付いて来られない現状に陥っていた。

「だって…こんなに難しいと思わなかったし…」
「そうかしら?まあ…ノアは復習するということをしないからかもね」
「めんどくさいもん。算数なんて加減乗除出来たら十分じゃん。関数とか変数とかってもーダメ………無理。限界」
「今度のテストで70点以下だったら、お小遣い…減らされるかもよ?」
「うー…それだけは嫌かも」
「だったらさ?少しはやってみたら?分からない所は教えてあげるから」
「セーラが言うなら…やるしかないか。はぁ~…眠い………」
ノアはセーラに言われるまま、勉強するために異空間魔法で収納していた、勉強道具を取り出すと、召喚魔法で、24時間働けマスか!?というエナジードリンクを召喚し、眠気と戦いながら、勉強をやり始めたのである。



「折角…ここまで来たのに戦なしかよ」
「あーあ…試しに魔法を試すいい機会だったのになぁ」
「そうだな。転生したら魔法とかってホントに出来るのか試したかったよな」
「そうそう。俺たち転生者の憧れだよな。魔法を使ってモンスター退治とかさ。とはいえ、戦だから嫌々と人と戦う羽目になっていたか」

ヴィンセント王の話を聞いた、軍の何人かが愚痴をこぼしていた。
彼らは、転生してすぐどういう訳なのか、成人になってしまったため、ノアのように赤ん坊の内から人生をやり直すことが出来なかったのである。
この世界に気が付いた早々、彼らは、ヴィンセント側に彷徨っていた頃、保護されたのであった。
保護されてから彼らは、この世界の言葉と読み書きを中心に覚えさせられてしまったのである。

「そんなに魔法を使いたかったのか?お前たち」
「当たり前だろ。どっかで魔法を思う存分と使える場所ってないのかよ」
「それなら…フィーリカの森に行ったらいいんじゃないのか?あそこには、昼間はスッゲー強いモンスターはうようよと出るって聞くぜ?夜は逆にスッゲー弱いけどな」
「ってことは、無事にセディア王国との盟約を交わした暁には、その森に入っていいってことか?」
「そういうことになるな。今までセディア王国とエルフィード王国の者同士だけが行き来する森だったが、盟約を交わせば、俺たちヴィンセントの人間も自由に出入り出来るようになるさ」
「あー…5日後と言わずに明日にでも盟約を交わして欲しいモノだ」
「そう言うな。あちら側も準備が必要なんだろう」
「それはそうだよな。あのさ…この世界の魔法ってどういう風に使うんだ?」
「魔法か?この世界の魔法はイメージだな。自然の力を借り、詠唱と共に放つんだ」
「へぇー…試しに簡単なもんでいいからやって見せてくれない?」
「あ・ああ…分かった。簡単なモノだな」
≪我、ここに光を灯す…ライティング≫
転生者の一人に言われた、ヴィンセントの兵士は簡単な魔法として明かりを灯した。
「これが魔法か。俺も出来っかな…」
「おれもやってみよう」
「ああ…。魔力量があれば誰でも出来るさ。この魔法以外に火・水・風・雷という自然の力を借りた魔法もあるが、コレは相当な魔力量が必要になるがな」
「よし…え・えっと…我、ここに光を灯す…ライティング」
転生者の一人は、イメージしながら明かり魔法を唱えてみた。
が、パリッと光が分裂してしまったのである。
「あ・アレ?ライティング…!ライティング…!ライティング…!」
パリッ!パリッ!パリッ!とひたすらに光が分裂するだけで、明かりが灯ることがなかったのである。
「んー…どうやらお前さんは魔力量が少ないようだな」
「そ・そんな…」
「そう凹むな。魔力量が少ないと言ったが、訓練すれば、少しは身に付けられるかも知れないぞ。それにさっき解析したら、お前さんの魔力数値は3だから訓練次第だな」
「そ・そうなのか?」
「そうだ。で、お前はどうだ?出来そうか?」
「あ・ああ………我、ここに光を灯す…ライティング。おっ…で・出来た!出来たぞ…あ・アレ?」
もう一人の転生者は、明かり魔法に成功した途端、光が分裂してしまったのである。
「途中で気を抜くからだ。さっきも言ったが、魔法はイメージ次第だからな」
「はぁ~…イメージって大変なんだなぁ。セディア王国の魔法もどんなもんなのか見てみたいものだな」
「我が国と大して変わらないと思うが。まあ…折角とここまで来たんだ。後学のために見て行くといいさ。それにしても、我が国はお前さんたちのような転生者は大多数と占めているとはいえ、こんなにも魔法が使えない連中は初めてだな」
「そうなのか。出来れば、同じ転生者に教えてもらいたかったな…」
「仕方ないだろう。女性を戦に連れ出す訳にはいかん」
「確かに言われてみればそうだな…。女性に危ない目を遭わすのは、男がすたるってもんだぜ」



そして、約束の5日後を迎え、セディア王国とヴィンセント連邦は、無事に盟約を交わしたのである。今後は盟友としてお互いに何か遭った時には協力することを約束したのであった。

「はぁ~…結局、地下の生活空間、無駄になっちゃった…。折角、創造魔法で作ったのに~…」
「別にいいじゃん?今後は国問わずで申請すれば、衣食住に困っている方々のために使われるんだから」
今後は直接と城へと行かず、地下へと繋がる道を通って出入り可能になったのである。

「それはいいんだけどさ…。で、さっきから…何?おじさんたち」
ノアは、学校帰りにいつもの瞬間移動魔法で帰らず、のんびりとセーラと共に首都内を見ながら帰ろうと思っている中、後を付けて来る気配を感じて振り向くなり言った。
「け・気配を完全に殺したつもりだったが、さすがは剣と魔法の発展した国だな」
「そ・そうだな。まだ、こんな子どもに気配を察知されるとは、我々もまだまだだな」
「んー?こんな子ども?」
「ノア。おじさんたちに喧嘩を売っちゃダメよ?」
「分かっているよ。セーラ。で、何?」
「あ・ああ…。お嬢ちゃんがあの地下の生活空間を生み出したって聞いたんだが、本当かい?」
「そうだけど、それが何?」
「す・スッゲーな…。あ・あのさ…お嬢ちゃんで良ければ、俺たちに魔法を教えてくれないか?」
「どうして?魔法は他の人でもいいじゃん?」
「そうそう。まだ、ノアは6歳だよ?おじさんたち…そんな私たちに魔法を教えてって可笑しくない?」
「言われてみればそうなんだが、ちょっとお嬢ちゃんだけ来てくれないか?」
「変なことをしないって約束してくれるなら」
「ああ…。じゃあ…セーラお嬢ちゃんはちょっと待っててくれ」
「う・うん。ノア、気を付けてね」
「うん。危なそうだったら、ファイア・ボールでも放って逃げて来るよ」
「…それ、危険じゃん」
ぼそりとセーラは呟くと、ノアは男たちに連れられると耳打ちされたのである。

(で、何?おじさん。セーラに聞かれたら拙いこと?)
(あ・ああ…。お嬢ちゃん。正直に言ってくれ。お嬢ちゃんもその…俺たちと同じ転生者だろう?)
(…!ど・どうして…それを!?両親にもセーラにもいや、それ処か誰にも言っていないのに)
(やはり…そうかい。いや…何。この世界の魔法は自然の力を借りたモノと神々の力を借りた魔法のみと聞いたが、あの地下の魔法はどちらでもない魔法だったからな。で、あの地下の生活空間を作った主を女王に聞いてな…)
(それで、ぼくを尋ねたってこと?おじさんたち)
(そういうことだ。同じ転生者に魔法を教わった方が身に付けられるんじゃないかと待ってたんだよ)
(ふーん。で、森に行ってコテンパンにされたってことなんだ)
(そ・そうだ。昼間はスッゲーモンスターがいるって聞いて運試しに行ったら、キメラとかコカトリスとか有り得ねー強さで、逃げるのがやっとからな)
(最初はこの世界の森は夜が基本だよ?ゲームだと夜の方が強いのが基本だったけどさ)
(確かに言われた通りだな…。てな訳で…夜の森で魔法の手順を見せながら教えて欲しいんだ。俺、スライムですら倒せないんだよ)
(んー…夜はごめん。ぼく…夜って余り得意じゃないんだよね)
(そ・そうだよな…。まだ、嬢ちゃん。6歳だから夜は無理か)
(そういうこと。前世の年齢だったら夜は大丈夫かも知れないけど、ぼくはゼロからやり直しているから。体だけはどうしても、追い付かなくて…)
(無理を言って悪かったな。仕方ない。独学で身に付けるしかないか)
(そういうこと。ぼくだって前世のゲームとかアニメなんかの知識を元にやっているだけだからね)
(そ・そんな単純な理由で!?)
(そうだよ。おじさんたちもしたことがあるっしょ?某国民的RPGとかさ)
(あーあるな。それをイメージしたって訳かい?)
(そうだよ。じゃあね…。来週、テストだから帰って勉強しないと拙いんだ)
そうノアは男たちに言うと、セーラの元へと戻って行った。
「な・何だか…魔法ってもっと難しいイメージかと思ったが、あの子の言葉で分かったような気がする」
「あ・ああ…。今なら俺、スッゲー魔法が出来そうかも!?」
「オレもオレも…!」
「よし!みんなで森に再挑戦に行くぞー!」
男たちは、装備を整えるために一旦、市場の方へと向かい出したのである。


「ノア、大丈夫だった?」
「うん。おじさんたちって魔法の使い方に困っていただけみたい」
「そう。だからってノアに聞くって不思議ね」
「そうだね。そ・それよりも…今日は帰ってガチで勉強しなきゃ!解の方式とかってもう…何度もやらなきゃ無理…!」
「そ・そうだね。今度の算数のテスト、ガチで難しそうだもんね」
いつものように瞬間移動魔法で帰ると、ノアはノエルが用意していたおやつに手を付けず、机へと向かって行ったのである。


「こ・今度の俺はひと味違うぜ!モンスター共!」
ノアに魔法のコツを聞いたヴィンセントの兵士たちは、フィーリカの森へと足を運ぶなり、早速と出現した、スライムに向かって言った。
「え・えーっと…あの子が言うには、あのゲームをイメージにしたって言っていたよな」
「あ・ああ…。で・でもよ…スライムってこんなに強かったっけ?」
「そ・それはどうでもいいだろ。とりあえず…スライムといえば、火が弱点の筈だ」
「そ・そうだな。火魔法といえば…○ラだっけ?」
「そ・そうそう。よし…襲われる前にやるぞ…!」
「「おうっ!」」

「○ラ!」
男の一人は、未だ気付きもしてくれないスライムに向かって火魔法を唱えてみた。
「あれ?可笑しいな。あの子はイメージって言っていたよな」
「あ・ああ…全然反応しないな」
「も・もしかして…某国民的RPGの魔法はこの世界では使えないってことなのか!?」
「そういえば、あのセーラって子…ファイア・ボールとか言っていたよな。つまり、この世界の魔法は、RPGツ○ール系じゃないと通用しないってことか?」
「そ・そういうことになるかも知れんな…」
「よし…気を取り直して………」
≪ファイア・ボール≫
男たちは一斉に口笛を吹いているスライムに向かって、火の球をイメージしながら放ってみた。

ドォォォォォォォン…!!
3人一斉に放った、ファイア・ボールは見事にスライムに命中と共に討伐されたのである。

「ま・マジで…で・出来たぞ!」
「よっしゃー!」
「初めて魔法でモンスターを倒したぞー!」
「やっぱり…同じ転生者の意見は参考になるな。自然の力とかってどうイメージすればいいのか分からなかったし」
「そうだな。それに国にいる転生者は、召喚魔法と創造魔法だけだったからな」
「それはそれで凄いけどな…。やっぱり、モンスター狩りだな」
「よし、モンスターの素材を売って格安の魔法書を買ってこの世界で使える、自然系の魔法を使っていくぞー」
「「おーっ!」」

3人の男たちは、魔法を使いこなすべく、新たなる道を歩み始めたのである。


テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
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折角なので、異世界に転生してみました。

  1. 2020.12.07(Mon) _12:31:42
  2. 折角なので、異世界に転生してみました。
<第19話>

翌朝、ノアはアルンに連れられるまま、首都セディーネにある城へと来ていた。
何しろ、首都には学校がある日以外は行く用事はないため、城まで行ったことがなかったのである。

「はぁ~…まるでボーマリス城みたい」
資料によると、未完成のままで終わったといわれている、イギリスの城のようだと思いながら、ノアは言った。

「ボーマリス城?何だ?それは?」
「う・ううん。何でもない。昨日、資料を色々と読んでいたんだ」
「そうか。とりあえず、女王の前では失礼がないようにな…ノア」
「うん。分かっているよ…お父さん」
そう、今朝方とノエルから、正装を着せられた挙句に王家との言葉遣いを仕込まれたのである。

とはいえ、実際問題、上手く話せるかどうか怪しい所なんだよね。

アルンに連れられるまま、王座の間へとやって来たのである。
「良く参られましたね、ノア」
アルンとは昨日の会議で会ったことから、女王セレスティーヌは要所を省きながら言った。
「は・はい。初めまして、ノアです。女王セレスティーヌ様」
「そんなに畏まらなくてもいいのですよ、ノア。良い目をしていますね…」
女王もまた、オッドアイとして右は青、左は金の目をしていたのである。
「そ・そうですか…」
「さて、既にアルンから聞いているかと思いますが、ノア。あなたには早速と地下に生活空間を魔法で出してもらいたいのです。大国であるヴィンセント連邦とは話し合いだけで付けられればいいのですが、万一ということもありますから」
それ故に一週間以内にはセディア国民を地下へと避難させたいが故にセレスティーヌは言ったのである。
「は・はい。分かりました」
「では、アルン。ノアを頼みましたよ。好きなように地下を変えて下さって構いませんから」
「はい。分かりました。では、失礼します」
アルンはノアを地下へと連れ出したのである。

「はぁ…き・緊張した…」
「ま・まあ…初めてにしてはなかなかだったぞ。ノア」
「う・うん。本当に地下を好きに変えちゃっていいの?お父さん」
「ああ。女王が言っていただろう?お前の思い描く生活空間にしたらいい」
「分かった…じゃあするよ………」
ノアは、頭の中でイメージしながら、地下に余りにも立派過ぎる、言葉には説明出来ない、生活空間を創造魔法で生み出したのである。

この創造魔法は、お風呂の時も実は使ったんだよね。召喚魔法と似たような感じだけど、これは一から何までイメージしなければいけないから、ガチでイメージ力を問われるんだよね。

地下には、城下町と同じ施設が用意されたのである。屋台は勿論、魔導具店、武器屋、防具屋、鍛冶屋、雑貨屋、そして、宿屋代わりにノアは、前の世界で見たホテルを創造魔法で、生み出してしまったのである。

「す・凄いな…。改めて思ったことだけどな」
「コレでいい?お父さん」
「あ・ああ………一部、見たことのない施設もあるが、問題は無いだろう」
余りにもアルンは、言葉に出来なくて言った。

すると、セレスティーヌ女王は補佐と共に地下へと降りて来たのである。

「まあ…!これは凄いわ。ノア」
「あ・ありがとうございます」
「本当にアルンとノエルから聞いていた通りの子だわ。本来ならば頼むべきではないかと思いますが、万一と戦へとなった時、ノア。あなたに軍へと入ってもらえないでしょうか?」
「そ・そんな…わ・私には…」
「そ・そうです。まだ、ノアは6歳です。戦に出るのはさすがに早過ぎます」
「そ・そうですわね。私としたことが…戦になるのかも知れないと思うと焦っていましたわ」
「では、女王。そろそろ…」
「はい。では、ノア…あなたのためにも私も頑張りますからね」
誰もが安心して暮らせる国を作りたい一心で、セレスティーヌはそう言いながら、補佐に連れられるままに王座へと戻って行ったのである。

「はぁ…女王様ってまだ若いね」
「それもそうだ。女王は15歳になったばかりだからな」
「そうなんだ。それにしても、来月の連休…宿に泊まりたかったなぁ」
「すまないな。こればかりはどうしようもないさ」
「う・うん。そうだね。じゃあ…一旦、家に帰って避難準備しなきゃ…。といってもいつものあるある魔法を使うんだけど」
「…またか。まあいいけど」
それに戦が始まれば、学校処では無いだろうと思いながら、歩いても15分足らずのネートの村へと着いたのである。


村は既に避難準備にバタバタと誰もが走り回っていた。
「や・やっと…帰って来たか。アルン。な・なあ…連邦と戦になるって本当なのか?」
「あ・ああ…まだ戦になると決まった訳じゃないぞ」
村人の一人がアルンに気が付いて走って来るなり言うが否やアルンはそう返した。
「そ・そうか。あー…何を持って行ったらいいんだ…」
「必要最低限の衣類だけでいいと思うが?」
「うん。そうだよ…おじさん」
「そ・そうか。まだ、ノアの魔法がどのような感じなのか分からないが、アルンが言うからには問題はないんだろうね?」
「それは勿論だ。俺が保証する」
オマケに更にノエルの結界魔法の上乗せとして、ノアもまた、結界魔法を首都全体に施したのである。
「じゃあ…ぼくたちも準備するから」
「あ・ああ………」


「薬の用意はしたし、着替えもこれ位で大丈夫かしらね」
ノエルは、バッグの中に避難準備を詰めていた。
「わざわざとバッグに入れなくても、異空間収納魔法を使えばいいんじゃ?好きな時に自由に出し入れした方が楽なんじゃ?」
「ま・また…ノアのあるある魔法が始まったわ」
ある意味合いで、頭痛の種だわ…とノエルは溜め息を吐きながら言った。
「だって…楽じゃん?さっきも言ったけど」
既にその魔法を使いながら、必要な物は収納してあることからノアは返した。
「ふぅ…今に始まったことじゃないだろう。ノエル」
「それもそうね…はぁ~…頭痛いわ」
「ごめんなさい。それよりもお母さん。セーラは?」
「セーラならちょっとした買い出しを頼んでいるわ」
「そうなんだ。はぁ~…来月、首都にある宿屋に泊まりたかったなぁ…」
「それは仕方ないだろう。今は世が世なんだし…」
「うー………」
「それもそうね…。あの時のように戦争にならなければいいけれど…」
「そうだな。先代の王は交渉に失敗して戦争へと発展してしまったからな…」
「あの時?」
「あ・ああ…父さんたちが若い頃さ。先代のヴィンセント王は言葉を巧みに操り、戦争へと発展してしまったことがある…。今の王は違うと噂には聞いているがな…」
「そう…なんだ」


「聞いたか?なあ…」
セーラはノエルに頼まれた買い出しを終え、帰る途中、村人たちの話に聞き耳を立てていた。
「あ・ああ…あのノアという子。まだ6歳の子どもだというのに、既に魔法はあのノエルを超えているらしいな」
「な・何と言う…末恐ろしい子を産んでしまったんだ。あのノエルは…」
「そ・そうだな。とにかく…余り近付かない方が身のためかも知れんな」
「だ・だが…どうするんだ?万一と避難する際、あのノアが魔法で作ったという生活空間に行かないと駄目じゃないか?」
「そ・それはそうだが…お・おれたちは非難するのをやめとこうぜ?」
「そ・そうだな…」

(ノアが恐ろしいって…そんなことない。ノアは凄いだけだもの…。自分たちの実力不足だけじゃないかしら)
心の中で大人たちの会話にセーラは思いながら、帰って来たのである。


「ただいま。もう帰ってたの?おじさん、ノア」
「ああ…ついさっきな。コレで明日にでも避難は出来るぞ」
「うん。ぼく…がんばったよ。あー…もうイメージ嫌…頭が疲れるー…」
「そう。あっ…はい。おばさん。例のモノを買って来たわ」
「ありがとう、セーラ。何か言われなかったかしら?」
「何もなかったわ。それよりもノアにアレコレと言う大人たちがいたわ」
「はぁ~…どうせ末恐ろしい子とか言う連中ね。ノアはノアだし、私は私なのに…」
「そういうヤツこそ自身の実力を認めないだけさ。ノア、気にしなくていいぞ」
「う・うん。分かっているよ…ぼくはぼくだし」
「ノア。何度言えば分かるの?自分のことは…」
「いいじゃないか。学校で先生と話をする時だけ気を付ければ…」
「だって…私って言いにくいし」
「アルン。子どもの内からしつけをしておかないと、治らないのよ?ノアも分かってちょうだい」
「確かにそうだが……………」
「いいこと?ノア、あなたは女の子なのよ。セーラを見習いなさい」
「………はーい」
「そうそう。普段からノアったら男の子っぽいんだから…服もね」
「だ・だって…動きにくいし…」
学校に行く時以外は、アルン同様の動きやすさを重視した格好でいることが多いノアを見ていることから、セーラは言ったのである。



一方、セディア王国へと進軍している、ヴィンセント連邦は、王自ら軍を率いていた。
国境付近で、天幕を張り終えた中、王はワイングラスを傾けつつ、確かめるために大臣に聞いていた。

「本当にセディア王国を攻め入る価値はあるというのか?大臣よ」
「言われてみればそうですな。我が国は昔から転生者という訳の分からない者が国のためにあれよこれよと発展していますが、攻め入る価値のない国を攻めるというのは、些か…心が痛みますな」
「だろう?文化的価値のない国を攻めるというのは、先代の王は何をしていたんだか」
「そうですな。ただ単に代々と近くにあるというだけで攻めているだけのような気がしますな」
「うむ…。では、話し合いだけで済まそうではないか?あちらもそう望んでいる筈だ」
「分かりました。では、使者をあちらに送りましょう」
「うむ…頼んだぞ。大臣」
「畏まりました」
大臣は王に言われるまま、明日の明朝に使者を首都へと送ることにしたのである。




「こ・コレが…あのノアという子の魔法か…」
「とても…6歳の子どもが生み出した魔法とは思えませんな…」
「お・お前も…ノアに負けない父さんと同じ宮廷魔術師になるんだぞ?レーテ」
「う・うん…分かっているのね」
城の地下で生活空間を見渡しながら、誰もが驚きを隠せずにいた。
「昨日の疲れが全然取れなかった…」

あの後、ノアは創造魔法を使いこなすために、家の前の広場で練習していたのである。

「少しは魔法をセーブしなさいという意味が分かったかしら?ノア。幾ら魔力量は無限とはいえ、使い過ぎも禁物なんだからね」
「ふぁーい…これから気を付けるよ。お母さん」
「あっ!ノア!」
クラスメートの一人であるレーテがノアに近付くなり、声を掛けた。
「んー…何?レーテ」
「ノアってすっごいのね?どうやってこの空間をつくったのね?」
「それは…創造魔法というヤツを使ったんだ。ただ、すっごくイメージが大事で、疲れたんだよね…お風呂と違って地下はメッチャ広いし」
「そ・そうなのね。ノアも疲れるってことがあるのね」
「当たり前じゃん…。ふぁぁぁ…眠い………」
「ほら…ノア。先にそのホテルという所で休んでなさい。セーラも先に行っているわよ」
「う・うん。分かった…」
「お疲れだね。あたしも後でホテルに行ってみようかな。パパは会議があるってアルンさんと行っちゃったし…」
「んー…レーテ。お母さんは?」
「ママは後から来るのね。それにしても、みんな…来ないのね」
「そうだね…。ボチボチと来るんじゃない?ぼく…じゃなかった。私は先にホテルの方へ行って休んでいるよ」
「うん。分かった。じゃあ…後なのね。ノア」
レーテは、今はとにかくとこの広い地下を走り回りたいが故に手を振ると、走って行ったのである。
「じゃあ…お母さん。ホテルに行って休んで来るね」
「はいはい。ちゃんと休むのよ?ノア。で、勉強もちゃんとしておくこと。いいわね」
「うん」


ヴィンセント連邦の使者から書状を受け取った、セレスティーヌ女王は、5日後、聖堂にて話し合いに応じることを使者にそう返事を返したのであった。




テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
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折角なので、異世界に転生してみました。

  1. 2020.12.03(Thu) _11:31:15
  2. 折角なので、異世界に転生してみました。
<第18話>

「すっごく美味しかったー」
「うんうん。牛肉ってこんなにうまかったんだと思うと新発見だな」

何たってぼくは、最高牛と呼ばれている、松○牛とか神○牛を召喚したし。
コレで不味い!ってことはないし!?
前の世界で、月に数回と検査の結果が良かった日、良くお父さんがたまにテイクアウトで、ステーキを用意してくれた肉がそれだったんだよね。
心の中でノアは、クラスメートの感想を聞きながら頷いていた。

「んっ?どうしたの?ノア?何だか涙が出てるよ?」
「ううん。何でもない。ただ…何て言ったらいいのかなぁと思っただけ」
(懐かしいなぁとか、さすがに今、ぼくが転生者なんだってセーラを始め、周りには言えない)
「そうなのね。どう説明したら分からないのね」
「ええ。ノアって連邦に多い転生者みたいですわ」
「そ・そうなんだ…へぇー」
(連邦って確か…ヴィンセント連邦だっけ?で、前にお父さんは、ある小国を滅ぼしたんだっけ?)
「何でも不思議な魔法を使うと聞いていますわ。まあ、ノアの魔法を見ていたら、それとはまた、違うと思うんですけど…」
「そうなんだ。ジェシカって物知りなんだね」
「一応、わたくし…貴族ですから。いろいろとお父さまから教えてくれるのですのよ」
ジェシカは、父であるアルフレッドを尊敬していることから言ったのである。


一方、首都セディーネの城の中にある大広場で、女王セレスティーヌを始め、国の猛者たちが集まって会議が開かれていた。

「しかし…それは本当なのでしょうか?ヴィンセント連邦が100年という休戦を破って侵攻して来ているという話とは」
女王セレスティーヌは、休戦期間は100年間という約束を交わした筈だということを、先祖から聞いていたことから言った。
「恐れながら女王。今年でその休戦期間は100年目なのです。100年目の今日を破って侵攻をして来た模様です」
「そう…でしたか。私としたことがすみませんでした」
「いや。女王自ら謝罪するべきではありませんな。ただ、近隣の村や街の住人の避難を受け入れとなると、我が城だけでは足りませんな…」
「そうですね…。となれば、城に地下を用意するか無さそうですね」
「今からだととてもじゃありませんが、間に合いませんな」
「いや。大丈夫だろう。女王だけにお話しましたが、我が娘を使えば…」
恐らくはあっという間に生活空間のある地下へと作ることが出来る筈だということから、アルンは言った。
「しかし、まだ…我が娘ジェシカと同じ6歳の子どもだろう?ゼノ…いや、今はアルンか」
「そうだが…あいつは俺とノエルの血を引いている。それにあいつは…普通の子どもとは何か違うような気がするんだよ。アルフレッド」
「それは私も存じております。彼女の魔法はとても同年代の子とは違いますから」
学院でノアの担任に当たるシャロンは、ノアの才能を高く買っているが故に言った。
「さすがは先生という訳…あるな」
「ええ。こう見えても私は人を見る目はありますから」
「では、そうと決まれば、民の避難と軍の結成を…」
女王はそれぞれに指示を与えながら、ヴィンセント連邦との戦争への準備を始めたのである。



「じゃあ。ノア、セーラ。また、学校で」
「うん。バイバーイ。気を付けてね」
クラスメートたちを村の出入り口まで、ノアはセーラと共に見送ったのだった。

「さてと…セーラ。今からお父さんたちが帰って来る前に夕飯の支度をしよっか?」
「そうね。今日は何するの?」
「うーん。今日はサッパリとしたモノかな」
「サッパリか。いいかも知れないね。それにしても、ノアにはちょっと手加減というのを覚えた方がいいかも知れないわね」
「コレでも十分に加減はしているつもりなんだけどなぁ…セーラ」
「そうだけど、まだちょっと…よ?」
「う・うん。分かった。頑張ってみるよ…うん」
「そういえば、ノア。前々から気になっていることを言っていいかしら?」
「何?セーラ」
「あなた…魔力量って大丈夫なの?ずいぶんと毎日のように凄い魔法を連発しているけど」
普通は一日に10回程度しか使えないのだが、それを優に越えに越えまくっていることから、不思議に思いながら、セーラは言った。
「うーん。何かさ…全然って感じなんだよね。ゲームでいうMPってヤツが減ったって感じがないんだ」
「ゲーム?MP?何なのそれ?」
「えーっと…どう言ったらいいかな。うーん。そうだ。例えばだよ?ここに軽量カップの水を入れるじゃん?普通は使えばどんどんと水って減っていくじゃん?」
「うんうん。それで?」
「それがさ…減るってことがないんだ。幾ら使っても…減らないって感じなんだ」
「そ・そうなの!?だから…ガンガンと魔法を使っているのね。ノア」
「うん。可笑しいのかな?ぼく…」
「そんなことないわ。きっとノアは何かをするために生まれて来たんだね」
「何かって何?」
「分からない。でも、きっと何かだと思うわ」
「そう、何をするかどうかはまだ将来のことなんて全然分からないけど。さてと…ぼく、魚はさばけないから………」
「そうよね。私もまだ分からないわ。で、また、召喚魔法で出すんだね。ノア」
「うん。分かっているじゃん。セーラ」
「そりゃー…もう3年も一緒にいるんだから分かるわよ」
「じゃあ…出すよ」
ノアはそう言いながら、召喚魔法で、生魚の柵数種類を出したのである。
サーモン、マグロ、タイと好きな魚なんだけどね。
「お・お魚を生で!?」
「うん。魚ってホントは生で食べた方が絶対に美味しいと思うんだ」
「そ・そうなの!?で、コレをどうするの?」
「コレを1cmぐらいに切ってさ…さっき切った野菜とドレッシングを混ぜるだけなんだ」
「へぇー…意外と簡単なのね」
「うん。なんかの本で読んだんだ」
「そう。そういえば、ノアって休憩時間になると、たまに図書館に行っているなと思ったら、そういう本を読んでいたの」
「そういうこと」
(正確には前の世界で読んだ、マンガなんだよね。というか、なんで学校の図書館に前の世界にあったマンガとかある訳!?)
「ノア、今度…オススメの本とかあったら教えてね」
「うん。いいよ」
ノアは出来上がったそれをお皿に盛り付けながら言うと、首都へと出掛けていた、アルンとノエルが帰って来たのである。

「お帰り。お父さん、お母さん」
「あ・ああ…ただいま。ノア、セーラ」
「んっ?どうしたの?何か城であったの?それにお母さん。特に疲れているみたい」
「え・ええ…夕飯の後に話すわ。とても大事な話だから」
城を出る前にノエルは、首都全体に結界魔法を施したことから、立っているのがやっとということから、アルンに肩を借りていたのである。
「う・うん。分かった」


「ここまで出来るのならば、大丈夫そうだな…」
相変わらずとノアの召喚魔法で召喚された食材を使った、夕飯を見てアルンは言った。
「そうね…」
「んっ?どういうことなの?お父さん、お母さん」
「ええ。さっきからちょっと様子が変よ?おじさんたち」
「すまない。折角の夕飯時に見せたくないところを見せてしまったな…」
「そうね…。じゃあ、まずは頂きましょうか」
今は戦争の話をする訳にはいかないが故にアルンとノエルは、ノアとセーラが用意した、魚と野菜のサラダであるカルバッチョを食べ始めたのである。
「魚って…生でも食べられたんだな」
「そうね。新たな発見したわ…」
「…パンよりご飯かな」
「そう?私はパンの方が…」
「俺はどちらでもいいかな。まあ…ノアが用意したんだし、ご飯か」
「ええ。ホントにノアの魔法は私以上ね。6歳の頃の私はここまで出来なかったわ」
「そうなんだ。で…城に行って何があったの?」
2人がいつもよりも疲れ切った様子で帰って来たことから、どうしても気になってしまい、ノアは言った。
「あ・ああ…実は長らくと連邦との休戦条約を結んでいたんだが、ヴィンセント連邦が休戦を破り、この地を目指して進軍して来ているらしい」
「ということは…戦争になってしまう可能性があるってことなの?お父さん」
「ああ。で、明日…ノアにやってもらいたいことがあるんだ」
「何?お父さん」
「城の地下に生活空間を作ってほしい。先日のお風呂といい、お前の魔法はどうもノエルと別格みたいなんだ」
「そう。私はあなたたちも知っての通り…自然の力を借りた精霊魔法と神々の力を借りた治療魔法のみなの。でも、ノアは違う。私の知らない召喚魔法を始めとする様々な魔法を使っているわね」
「う・うん。魔法はイメージだってお母さん…言っていたし」
「確かに言ったわ。でも、私はあくまでも魔法書に書かれた魔法のみよ。ノアの使う魔法は、異界の魔法だと思うの」
「異界?」
「こことは違う世界にあるかも知れない、もう一つの世界…と言ったらいいかしら。ねぇ?アルン」
「あ・ああ…。クレセディア・オールネンスと呼ばれる、この人間界以外にあるのは、神々が住まう神界、精霊が住まう精霊界以外に別の世界があるのかも知れない」
「別の世界…?聞いたことがないわ。ねー?ノア」
「う・うん。スケールが広すぎてちょっと…それに戦争になるかも知れないと思うと、怖くなっちゃった…」
「すまんな。でも、大丈夫だ…。上手くいけば、女王曰くで話し合いだけで済むかも知れないからな」
「それでも、用心は必要なの。だから…ノア。出来るかしら?」
「………多分、出来ると思う」
「じゃあ…そうと決まれば、今日はもう休め。疲れただろう」
「そうそう。ノアったら、今日も派手な魔法をガンガンと使ったんだから、ちゃんと休まないと駄目だよ」
「う・うん。分かった。お休みなさい。お父さん、お母さん、セーラ」
ノアは言われるまま、歯磨きとお風呂を終えると共に部屋へと戻ったのである。


「また…派手な魔法を使ったのか。あいつ」
「ええ。おじさん…。それにノアったら魔力量って減らないらしいの」
「それはそうだろうな。初めてギルドカードの更新した時、あいつ…魔力測定用の水晶玉を幾つも割ってしまったからな…」
「そ・そうなの!?どうりで…更新の度、入って来る金貨が少ないと思っていたら、そういうことだったのね。アルン」
「あ・ああ…すまない。あいつは制御してやっと俺と同じ5000数値で抑えているだけだからな」
それにギルドでは5000までしか魔力量を量ることが出来ないことを付け加えながら、アルンは言った。
「制御しなくてもいい水晶玉を開発しているという話は来ているけどね。ノアのためにも早く作って欲しいところだわ」
「ホントだな…」
「じゃあ…私もそろそろ寝るね。おじさんたち」
「ああ。お休み…セーラ」


部屋へと一足早くと戻ったノアは、召喚魔法で出した、地下の生活空間の資料を読んでいた。

「んー…どれにしようかなぁ。これもいいなぁ…うーん」
どれもこれもとあり過ぎて悩んでいる中、セーラが部屋に入って来たのである。
「あー!ノア。もう休みなさいっておじさんたちに言われたでしょ」
「そうなんだけど、地下の生活空間の資料を読み始めたら、どれがいいか悩んじゃってさ…」
「はぁ~…ノア。寝ないと身長だって伸びないわよ?」
「うっ…!分かったよ。もう寝ますよ…うぅー」
「分かればよろしい。じゃあ…私も寝るからね」


確かにぼくって同年代の子よりも身長って頭一つ分、低いんだよね。
身長が低いとそれはそれでちょっと…と思いながら、ノアは言われるままに眠ることにしたのである。


テーマ : 異世界小説    ジャンル : 小説・文学
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折角なので、異世界に転生してみました。

  1. 2020.11.28(Sat) _10:45:02
  2. 折角なので、異世界に転生してみました。
<第17話>

「ただいま。んっ?ノエルは?」
今日もモンスターとの狩りを終えて帰って来た、アルンは剣を壁に掛けながら言った。
「お帰り。さっきルークを家まで送って行ったよ。ねー?お父さん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「んっ?何だ?ノア」
「あのさ。今日、転入生のジェシカって子が入って来たんだけど、お父さんの本名って…アルンじゃないって本当?」
「あ・ああ………。参ったな。余り本名を知られたくないんだが」
「えっ!?どうして?知られたくないの?」
「うん。どうしてなんですか?おじさん」
「そ・それはだな…。まあ…居間に行って話をしようか」

アルンから手土産を受け取りつつ、ノアは言われるままにセーラと共に居間へと向かった。

「で…さっきの話の続きで、どうして?」
「実はだな…父さん。本名はゼノという名なんだが、“国壊しのゼノ”と呼ばれていてな。ノエルと付き合う際、アルンと名乗ることにしたんだよ」
「「国壊しのゼノ?」」
「そう。俺は昔、ある国との戦争に参加していたんだが、そこで俺たち傭兵をまとめていた人物が人の道から外れていてな…。それで、父さん。そのやり方に合わず、持てる全ての力を出し切って………」
「国を滅ぼしてしまったということなの?」
「そういうことだ。それで逃げるようにしながらこの国に逃げ込んだって訳さ。で、ジェシカって子の父親は恐らくその傭兵の中にいた一人の貴族、アルフレッド・アンネンバーグだろう」
「そのことをおばさんは知っているのかしら?」
「ああ。あいつには全てを話したさ。あいつも俺と似たような境遇だからな…」
「そうなんだ。お父さんたちって若い頃、色々と無茶していたんだ」
「そういうことさ。さてと、今日は俺が夕飯を作ってやるとするかな」
「えっ!?お父さん。料理って出来たの!?」
「うん。おじさんが料理をしているところって見たことがないわ」
「2人揃って酷いな…。俺だって料理は出来るんだからな。まあ…見てろって」
そうアルンは自信満々に言いながら、ノアの出したキッチン用品を一切と使わず、ジャガイモの皮を丁寧に剥いていく。
「す・すごい。お父さんって…モンスター狩りだけの人だと思った」
「う・うん。ノアのお父さん。手先、器用だわ」
「何たって俺は…」
「超一流の剣士…でしょう?アルン」
「あっ!お母さん。お帰り」
「はい。ただいま。じゃあ…私は今日、ゆっくりとしようかな」
「おう。そうしといてくれ。洗い物も全て任していいからな」
「お父さん。洗い物ならさ…食器洗い乾燥機を使ったら早いと思うよ?もう、お母さんは使っているし」
「それは確かに便利かも知れないがな。ノア。俺はそのままで使っていきたいんだ」
「えーっ!?楽なのに?」
「そうそう。コレってすっごく便利よ?」
「俺はそのままでいいの。さてと…後はジャガイモを茹でている間にソース作りしないとな」
「おじさん。何を作っているの?」
「ああ。揚げないコロッケだ。俺のいた国でそれを作っている女の人がいてな。簡単だから覚えたんだ」
「へぇー…その作っていた人ってどんな人だったの?」
「そうだなぁ…。ノアみたいな人だったな。俺よりも少し年上の人だったけどな」
「そうなんだ。どういう人なのか会ってみたいなぁ」
「会わせてやりたいのは山々だけどな。今はその人、どこにいるのか分からないんだ。という訳でノア、セーラ。ジャガイモを潰してくれ」
「はーい。じゃあ…セーラ。ぼくがボウルを押さえているから」
「うん。ノアだと力を入れ過ぎてボウル毎、壊しちゃいそうだしね」

何だかんだと協力しながら、何とかと揚げないコロッケが無事に完成したのである。

「な・なんか…見た目は………コロッケって感じには見えないかな」
「すまんな。余り丸い形というのが出来なくてな。でもま…味は悪くない筈だ。多分」
「じゃ・じゃあ…食べてみようかしら?ノア、セーラ」
「う・うん………………!」
「こ・これは………………!」
「……………………………………………水、ください」
恐る恐ると3人はスプーンで口に運びながら、最後にセーラは水を要求する言葉を言ったのである。
「あ…や・やっぱり?」
「ふぅ…。アルン。塩、入れ過ぎだよ。本当にノアのあるあるキッチン道具をちゃんと使えばいいのよ」
「だ・だってよ…俺には使いにくいし」
「それ…苦しい言い訳文句だよ?お父さん」
「そうよ。セーラ…無理して食べなくていいわ。今から私が即席で作るから」
「う・うん。おばさん」
「ほ・本当にすまない!ノア、セーラ、ノエル」
「小さじスプーンとか使い方を覚えていけばいいのよ。おたまで塩を入れるから悪いのよ」
「だ・だって…小さいし」
「だから…言い訳じゃん?お父さん」
「……………………………はい」

その後、ノエルは即席で、オムレツと茹でたソーセージとレタスサラダとパンを用意したのであった。



そして、2日後。
ノアはクラスメートと約束した通り、フィーリカの森でセーラと共に待っていた。
「やっほー!ノア、セーラ」
「来たぞー!ノア」
ぞろぞろとクラスメートたちは、森の出入り口付近へと集まり始めたのである。
ルークもまた、ティーナの呪術から逃れたい一心から気を強く持つために来たのだった。
「お昼ご飯、何も用意していないけど…ホントーにだいじょうぶ?」
「だいじょうぶ。ホントにノアってすごいんだから。ね?ノア」
「うん!今、この時がすっごく強いモンスターがいるんだ。だから…みんなにはね?悪いんだけど」
「えっ!?ノアのすっごい魔法が見れないのか?」
「ううん。ぼくのこの結界内にいてもらうよ?万一と怪我したら困るし」
「あ・ああ…だけどさ?このスッゲー薄い結界。だいじょうぶなのか?」
「うんうん。すっごく割れそうなのね」
厚さ1mm以下という極めて薄いが故に不安に思いながら、誰もが口にしたのである。
「そう思うんならさ?昨日、学校でならった…魔法の球、放ってみたら?」
「おう。みんな…やってみようぜ」
いまいちと納得はいかないが故に一斉になって魔法の球を放ってみた。
が、魔法の球は光が分散してしまったのである。
「う・ウソ…ま・マジ?」
「わ・わたくしの魔法も分散してしまうんですの!?お父さまにみとめてもらったんですのよ!?」
ノアと同クラスじゃないかと思われていた、ジェシカの魔法も意図も簡単に分散してしまったのである。
「それじゃあ…早速とみんな?見ててね?」
「ゲッー!い・いつの間にキメラ3体いたんだ!?」
「ま・間近で見ると…や・やっぱり…モンスターって………」
「こわいのね……………」
「ほ・ホント…ここって別名、魔の森って…呼ばれるだけあるよな…」
超が付く大型モンスターであるキメラが奇声を上げながら、降りて来たのである。
「キィィィィィィィィ!!!!!」
キメラは、ノアの結界で守られているクラスメートに向けて、炎の息を吐いた。
「いやーーーーーーーーーー…ってアレ?」
「スッゲー熱くもない!それ処か程よい温かい?」
「何だか…お布団の中にいるみたいなのね」
結界の中にいる以上、キメラの息は勿論、衝撃もビクともしなかったのである。
「さてと…そろそろいきますかー」
「ノア…やり過ぎ注意よ?」
「分かっているよ。セーラ」
セーラに言われるまま、ノアは無詠唱で、氷系魔法のシャインと風魔法のクロノスの2つの魔法を合わせた、ノアのオリジナル魔法である「氷の嵐」を放ったのである。
「えっ!?え・えいしょう…スルー!?」
「ま・魔法ってさ?シャロン先生が言ってたよね?魔法にはえいしょうが必要だって!?」
「っていうか…ノアっておれたちと同じ6歳…だよな?」
「も・もう…コレって…コレって…大人と同じレベル?いや…それ以上!?」
口々にクラスメートは、驚きを隠せずに言ったのである。
「んー…ぼくってさ?3歳ぐらいの時からお父さんと一緒に実戦に出てて…もう商人ギルドに登録しているんだ」
「えっーーーーーーーー!?もーギルドに登録!?」
「そ・そりゃー…登録に年齢は関係ないけど、早すぎね?」
「早いけど、早い方がいいってお父さんが言っていたし…」
「た・確かに…。これでノアがすごいって分かったような気がする。そりゃ…あのアルンとノエルの血を引いてるってことだよな。オマケに3歳からって…はぁ………」
「さてと…さすがに森に長居していると、さっきみたいにモンスターがぞろぞろ出るし、森から出ようか?」
「そ・そうだね」
行きの徒歩とは違い、ノアは瞬間移動魔法で今度は酔いを控えながら唱えたのである。
何しろ、ノアは絶叫系が好きであることから、先日、ルークを送った際、乗り物酔いのような症状が残る、瞬間移動魔法だったのである。


「あ・アレ?この前と違って酔いがない?」
ルークは嘔吐がないことに不思議に思いながら言った。
「そりゃー…この前、絶叫系で使ったからね」
「ぜっきょうけい?何だそれ?」
「んー…高いところから一気に落ちる感覚みたいなモノ?」
「……………そ・想像しただけで、こえぇー…」
「う・うん。セーラもよく…ノアのそれに耐えていたのね」
「私?絶叫系ってヤツ…大好きよ?今日はすごく優しい瞬間移動魔法だったけど」
「そりゃー…貴族のジェシカがいるし?お父さんに言われたんだ。貴族相手に失礼な行為はしないことだって」
「別にわたくし、そういうのは気にしなくてもいいのですのよ?」
「そうなの?言葉遣いとかってめんどうだから素で言っているけど…」
「ええ。その方が皆さんのことをよく分かるよい機会ですから」
「そうなんだ。そういえば、ジェシカって聖女になりたいって言っていたけど、やめた方がいいんじゃないかな?」
「どうしてですの?わたくし、将来はゆうしゃさまにお役に立ちたいんですのよ?」
「そういえば、うちのお父さんもお母さんも言っていた。聖女はなるもんじゃないって」
「うん。理由はおしえてくれなかったけど、すごくおこられたのね」
「そうなの?お父さまからは人の役に立つことをしなさいって言われましたのに…」
「それでも、時と場合によると思うんだよね。それはそうと…そろそろお昼だね」
「うん。ノアに言われたとおり…何も用意しなかったけど」
「ノア。今度は何をするつもりなんだ?」
「まあ…見てて?…出でよ…バーベキューセット・改!」

前の世界で、テレビを観ていた時、すごく美味しそうだったんだよね。
で、今回はそれを改良として、バーベキューセット・改にしてみたんだ。
肉も野菜もこの世界のモノじゃなく、ぼくのいた世界の肉・野菜をイメージしてみたんだけど、ホントーにぼくのいた世界の肉と野菜が出ちゃったよ。
マジで、召喚魔法ってどこの世界から召喚されているんだろうとこの時から密かに気に始めたんだよね。

「うわっ!ど・どこから!?」
「どこから出たのね!?」
「そ・それに…み・見たことない肉と野菜なんだけど、コレって食べれるの?」
誰もが驚く中、ノアは「大丈夫。食べられるよ。それにぼくもどこの世界から召喚されているのか分からないんだよね」と返したのである。
「まあ…今更ともうあんなすごい魔法に加え、気にしても無駄ってことか」
「う・うん。ノアってホントにあるある魔法の宝庫だね」
「そういえば、アルンさんとノエルさんは?今日、朝から見ていないんだけど?」
「あー…今日、首都に行くって言っていたから夕方まで戻らないよ」
「そうなんだ。それにしても、コレって何の肉?」
「コレ?牛肉だよ。ミルク…飲んでいるじゃん?その肉だよ」
「へぇー…牛肉って堅いんだけど、こうして見ると…柔らかそう」

そう、この世界における牛肉は、食育用として育てられておらず、基本的にミルク、チーズとして使用されていることが多いのである。

「ふぅ…完成。疲れたー」
「お疲れー!そうだ…何も持って来ないってのは、ちょっと…だったからデザート持って来たよ」
「ぼくもだよ。ママにつくってもらったケーキ」
「私はクッキー」

それぞれと持ち寄ったモノを含め、今日は有意義な休日を過ごしたのである。



だが、平穏の時が崩れ、首都セディーネは、ヴィンセント連邦との戦争がもうすぐ始まろうとしていたのである。



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